JR線・田園都市線「長津田駅」南口より徒歩10分ほどの場所にある福泉寺は、厚木街道を挟んだ先にある王子神社(当時は王子権現)の別当寺。
詳名は薬王山医王院福泉寺(読み方はやくおうざん いおういん ふくせんじ)で、関東八十八箇所霊場の第65番霊場です。
1492年(明応元年)に僧・尊祐により開山され、宗派は高野山真言宗。
ご本尊は秘仏・薬師如来(木彫りの坐像)です。
脇侍には日光・月光菩薩や脊属の十二神将を従え、本堂床下には戒壇めぐりも。
また、境内には境内にはぼけ封じの楽寿観音、ぴんころ祈願の水かけポックリ大師、迷いの世界から救ってくれる六地蔵めぐり、七福神及び仏足石が祀られており、たくさんのご利益がいただけます。
目次
・歴史
・ご利益
・入り口
・本堂
・境内
・御朱印
・アクセス
・近くにある神社・寺
福泉寺の歴史
江戸時代文禄から慶長の頃に、徳川家康に仕えた千五百石取りの旗本である初代長津田領主・岡野房恒が開基となり、村の鎮守のため勧請した王子権現(現王子神社)の別当寺として開山。
領主岡野家の祈願寺として庇護を受け、徳川3代将軍・家光より14代将軍家茂まで御朱印を賜るなどして栄えていました。
これらの朱印状は1869年(明治2年)に神奈川県裁判所に接収され、現在は写しのみ残されています。
ところが、明治維新後の神仏分離によって別当職がなくなり、王子神社の別当寺・祈祷寺であったたため檀家がいなかったことからも次第に衰退。
1887年(明治20年)頃には本堂が売られ、本尊は小さな堂に安置されたものの失火で全焼。
無住職状態で境内は畑になってしまいますが、明治30年代に古義真言宗から派遣された僧・山崎戒心によって再興されます。
1955年(昭和30年)頃、寺領の一部が東急電鉄に買収され、その代金と信徒の寄付によって1970年(昭和45年)に本堂を再建。
祈願時として不浄を避けるため墓地は置かれていませんでしたが、墓地を求める声が増えた事から霊園も作られました。
福泉寺のご利益
御本尊である薬師如来さまは、仏様のなかでもお医者様的な役割を持たれている仏様。
薬が入った壺を左手に持たれています。
12年に1度、虎の年に御本尊のお厨子の扉がご開帳されますが、その年以外は常に閉鎖。
ただ、薬師如来さまの左手には五色のお手綱が結んであり、 本堂正面にある外の供養塔にまで続いています。
本堂から伸びる五色のひもが御本尊さまと繋がっていることから、姿は見えなくても五色のお手綱を触れることで本尊さまと握手しているとされ、お薬師さまの功徳を頂くことができると言われています。
福泉寺の入り口
福泉寺は、国道246号線「宮の前」交差点南側の丘の上にあり、坂を登る途中に本堂へと繋がる階段があります。
境内にはぼけ封じの楽寿観音、ぴんころ祈願の水かけポックリ大師、迷いの世界から救ってくれる六地蔵めぐり、七福神及び仏足石、本堂地下をめぐる戒壇めぐりなどがコンパクトに配置。
多数のご利益をいただけるスポットが集まる、まさにお寺のテーマパーク!
参詣順路は、本堂・ぼけ封じ観音・戒壇めぐり・ぽっくり大師・七福神。
その他、水琴窟・仏足石・イボ取り地蔵尊・摩尼車・水子地蔵尊・握手薬師如来・六地蔵めぐりは、特に順番は決まっていないようです。
福泉寺の本堂
まずは本堂正面でお参り。
お薬師さまに心と身体の健康を祈願します。
1970年(昭和45年)に再建された本堂は、間口10 m・奥行8.2 mの入母屋造。
屋根は瓦葺き。
関東八十八カ所霊場の第65番霊場で、武相寅歳二十五薬師札所の第23番札所です。
浄財箱の隣には大念珠があり、願い事を念じながら静かに下に引きます。
上から珠が一つずつ落ちてきてカチンと音がします。
福泉寺の境内
①ぼけ封じ観音
足元のおじいさん、おばあさんを撫でながらぼける前のぼけ封じを祈願します。
夏は熱くなっているので要注意です!
②戒壇めぐり
福泉寺に参拝された際には、是日一度は体験して損はない「戒壇めぐり(冥加金100円)」。
ぼけ封じの楽寿観音近くにある、本堂の地下に続く場所です。
中は真暗闇!
右手の腰の高さの手すりを頼りに進み、途中にある金属の輪に触れます。
鉄の輪はちょうど本堂真裏、ご本尊さまの真下にあり、輪の先はお薬師の薬壺と繋がっています。
出口付近で光が見えた時は心底ほっとすると同時に、目がみえるありがたみがわかります。
③ぽっくり大師(弘法大師御立像)
戒壇めぐりを出たら、ぽっくり大師にぽっくり祈願。
「ボケなくても寝たきりになるのも困る」という檀信徒さんの言葉から、「ぽっくり大師」と命名されました。
お薬師さまに健康。
観音さまにボケ封じ。
お大師さまには、ぽっくり大往生といった願いが込められているそうです(つまりは突然死?)。
ちなみに、お大師さまの足元には四国八十八ヵ所、 関東八十八ヶ所のお砂が埋められていますの、その砂を踏みながらのお参りに。
また、地下水が湧き出しているので、大師様の足に欠けてあげるといいそうです。
④七福神
一度にすべての七福神をお参りし、七つの福徳が得られます。
福泉寺の七福神の並びは、金剛流御詠歌 「七福」 の七番までの歌詞の順番で安置されています。
また、七福神の隣には、この世に生まれ出る前に亡くなった子供や生まれてすぐに亡くなった赤ちゃんを供養する水子地蔵尊。
腕の中に赤ちゃんを抱いたお姿のお地蔵さまが祀られています。
供養塔近くにある摩尼車にはお経が書かれており、回した数だけお経を唱えたのと同じ功徳があると言われています。
摩尼車の近くには、握手できるお薬師さま。
スッと手を伸ばされたお姿。
なかなか珍しい、アイドルの握手会を彷彿とさせます。
握手薬師如来さまの隣には「一願成就の鐘」。
願い事を念じながら鐘をつきます。
「一願成就の鐘」の隣には水琴窟。
民家の庭先のような場所で、ちょっと最初は入りにくい感じ?
一願成就の鐘の正面近くにあるイボ取り地蔵尊は、地蔵さまの前お供えしてある小石でイボや痛いところをさすると、気が付かぬ間にイボが取れ改善すると言われています。
治ったら、お礼に新しい小石を添えてお返しします。
イボ取り地蔵尊の向かいにあるのが、お釈迦さまの足裏の相を模した「仏足石」。
仏足石の下には坂東・秩父・西国の日本百観音霊場の砂が埋めてあり、仏足石の上に立ち砂踏みをすると功徳が得られると言われています。
「六地蔵めぐり」は、休憩所と霊園の近くにあります。
仏教では、この世の生けるものは地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道の6つの苦しみの世界で生と死を繰り返しているとされています。
・地獄道を救う地蔵菩薩(じぞうぼさつ)さま
・餓鬼道を救う宝処菩薩(ほうしょぼさつ)さま
・畜生道を救う宝手印菩薩(ほうしゅいんぼさつ)さま
・修羅道を救う宝掌菩薩(ほういんしゅぼさつ)さま
・人間道を救う持地菩薩(じじぼさつ)さま
・天上道を救う堅固慧菩薩(けんごえぼさつ)さま
入り口から時計回りに進み、それぞれのお地蔵さまにお願いをすると日々の迷いから救われると言われています。
福泉寺の御朱印
御朱印は、休憩所で頂くことが出来ます。
関東88霊場・薬師如来、弘法大師様の御朱印など数パターン。
期間限定でおこなっていた「東急線花御朱印巡り」では、ののるるん限定御朱印を授与されていました。
福泉寺の詳細
福泉寺へのアクセス
- JR線・田園都市線:長津田駅南口より徒歩10分
- 公式サイト:http://www.fukusenji.jp/
王子神社近くのおすすめ神社・寺
長津田大石神社 | 在原業平朝臣の伝説が残る歴史ある神社。 |
---|---|
金毘羅神社 八坂神社 | 線路伝いの丘の上にある神社。多数の石碑があります。 |
大林寺 | 江戸幕府の旗本岡野家の菩提寺。鐘は長津田十景の一つで、登録文化財も多数あり。 |
長津田王子神社 | 大道路から一本はいった高台にある神社。鳥居前の大きなモミの木が印象的です。 |