室町時代以前に創建された駒込富士神社(読み方はこまごめふじじんじゃ)は、富士山そのものを御神体としている駒込のスピリチュアルなパワースポット的神社。
境内には前方後円墳を利用したといわれている富士塚があり、江戸時代に流行した富士講の拠点の一つになっていました。
社殿に続く石段には富士山の溶岩だけでなく、当時の町火消したちが奉納した火消しのシンボルマークが彫られた石碑が多数。
どれも色鮮やかで目を引きます。
また、山開きには縁日が出て多くの人で賑わい、その日限定の麦藁蛇や麦落雁などは名物になっています。
目次
・歴史とご祭神・ご利益
・鳥居
・参道
・富士塚
・社殿
・曽我御霊社
・小御嶽社
・御胎内
・御朱印・お守り
・山開き大祭・鎮火祭
・アクセス
・近くにある神社・寺
駒込富士神社の歴史とご祭神・ご利益
ご祭神は、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)。
酒造業、海上安全・航海安全・安産祈願のご利益があるといわれている神様です。
創建は1573年(天正元年)。
本郷村の名主の夢枕に木花咲耶姫が立ったことから駿河の富士浅間社を勧請したことから。
当初は別の場所(現在の東京大学の地)にありましたが、1628(寛永5年)に加賀前田家がその地を賜ったことから現在地に移動。
社殿を富士山に見立てた山の上に建てました。
ちなみに、初夢で見たら縁起がいいとされている「一富士二鷹三茄子」のことわざは、駒込富士神社が発祥と言われています。
江戸時代の川柳にも、「駒込は一富士二鷹三茄子」と残っているほど。
「富士=不死」、「鷹=高い」、「茄子=成す」という意味が込められており、徳川家康が好んだ富士山(駒込富士神社)・鷹狩り(神社近くの鷹匠屋敷)・茄子(駒込ナス)を順番に並べたとか(諸説あり)。
駒込ナスは、江戸が発展し急速に人口が増え野菜が不足した時、駒込富士神社周辺でも各種野菜が生産されて特に茄子の質が良く、「駒込ナス」として人気だったことによります。
駒込富士神社の鳥居
JR山手線・東京メトロ南北線の駒込駅、東京メトロ南北線本駒込駅から徒歩9分、都営三田線千石駅からも徒歩10分ほどと3つの路線を利用できるアクセス良好な場所に鎮座しています。
駒込富士神社の参道
広々とした境内。
参道には「富士」と書かれた石塔や手水舎、赤堂、御神木が。
鳥居のすぐ近く、左側には彩色が施された石塔。
手水舎には水盤が2つ。
なんでも、山開き大祭の万燈回りで使用する万燈の奉納をめぐって、2つの町会で揉め事が起こったことに由来するのだとか?
手水舎の隣には赤堂(下浅間社)。
通常、扉が閉ざされていますが、山開き大祭の際には扉が開かれ中にある厨子が御開帳されます。
赤堂の前には、ご神木であるカヤの木。
大きな石が2つあるのが気になります。
駒込富士神社の富士塚
参道の先には、周囲を緑に覆われた大きな富士塚。
富士山信仰により、富士山に模して造られた塚です。
とはいえ、元々は前方後円墳だったという説も。
富士塚の斜面には、冨士講や「まとい」の絵、「九番組」「れ組」などの火消の纏を彫った石碑が、富士山から運ばれてきた溶岩と共に多数置かれています。
その色鮮やかさはなかなかのものです。
ちなみに、駒込富士神社の火消しによる組織・富士講は、江戸初の組織と伝えられています。
石段を登りながら間近で見てみたい石碑。
でも、石段は角度が急で幅もそこまでないので、夢中になりすぎないように要注意です。
また、石段は男坂と呼ばれており、富士塚の右側には末社に続く女坂があります。
こちから本殿に参拝することも可能。
駒込富士神社の社殿
社殿は、急な20段ほどの石段(男坂)を上がった高台に鎮座。
富士山に見立てた山の上(富士塚)に建てられた社殿は、富士山を崇拝する富士信仰の拠点の一つとして建てられました。
現在のコンクリート造りの社殿は、1961年に再建されたものです。
社殿右側、一段下がった境内社広場には末社や石碑が。
社殿の左側にある小道は、拝殿・本殿の裏へ廻り、境内社広場へとつながっています。
駒込富士神社の曽我御霊社
「曾我兄弟の仇討ち」で知られる曽我兄弟をお祀り。
1711年(宝永8年)に歌舞伎役者らによって建てられ、1911年(明治44年)に再建と古くから鎮座しています。
「曾我兄弟の仇討ち」は、1193年(建久4年)に源頼朝が行った富士富士山の巻狩りの際に起こった事件。
曽我祐成(十郎)と時致(五郎)の兄弟が父・祐泰の仇である工藤祐経を討ちますが、兄(十郎)はその場で討ち取られ、弟(五郎)は護送途中で首をはねられます。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも演じられていました。
この「曾我兄弟の仇討ち」は「曽我物語」として、能や歌舞伎などの題材として広まっています。
そのため、歌舞伎俳優の方が参拝して芝居の成功を祈願されているそうです。
駒込富士神社の小御嶽社
富士講の小御嶽社。
石祠が多くみられるなか、こちらは鳥居のある祠でした。
ご祭神は、本社の御祭神・木花咲耶姫命の姉神である磐長姫命(いわながひめのみこと)。
駒込富士神社の御胎内
男坂と女坂の中間には「火難除神符授與」が立ち、胎内信仰に基づいて造られた御胎内があります。
洞穴内には三体の石塔が安置されているそうです。
朽ちた柵で入り口が塞がれている小さな洞穴で現在は立入禁止です。
駒込富士神社の御朱印・お守り
通常、境内ではお守りや御朱印などの授与はおこなっておらず、駒込天祖神社で頂くことができます。
ちなみに、富士神社の御朱印には参拝ではなく「登拝」。
6月30日から7月2日までの山開き大祭では駒込富士神社でも御朱印を授与しており、縁起物である神竜(麦藁蛇)や富士山型の麦落雁(むぎらくがん)も限定授与されています。
神竜(麦藁蛇)とは、「昔、境内で雨乞いをしていた時、天から龍が天降り、境内の神木に巻き付いた」という伝承に由来する、火伏せの利益があるお守り。
水道の蛇口にぶら下げておくと夏場に水あたりしないといわれています。
また、江戸で疫病が蔓延した時、神竜(麦藁蛇)を持っていた家では疫病患者がでなかなったということから、疫病除けの縁起物としても有名です。
そして、麦粉で作った麦落雁は大祭日限定販売の名物菓子。
雪化粧をした富士山の形をしています。
ちなみに、山開き大祭の後に再興される鎮火祭では、防火・安産の神符が授与されています。
駒込富士神社の山開き大祭・鎮火祭
例年6月30日から7月2日に、富士山の山開きにあわせて山開き大祭が斎行されています。
6月30日の朝に、1本の万灯を掲げ近隣を練り歩く万灯回りがおこなわれ、万灯は拝殿正面の石段脇に安置。
7月1日に山頂祈願祭、2日は納めとして、屋台などの縁日も開かれるにぎやかなお祭りです。
また、8月の上旬には盆踊り大会、8月28日には山開きに対する山終いの祭礼・鎮火祭も斎行されています。
駒込富士神社の詳細
駒込富士神社へのアクセス
- 東京メトロ南北線・JR山手線:駒込駅より徒歩9分
- 東京メトロ南北線:本駒込駅より徒歩9分
- 都営三田線:千石駅より徒歩10分
駒込富士神社近くのおすすめ神社・寺
駒込天祖神社 | 駒込富士神社の管理社。長い参道には摂社のほか亀石もあります。 |
---|---|
諏訪山 吉祥寺 | 吉祥寺駅の名前の由来となった寺院。八百屋お七の比翼塚や二宮尊徳の墓碑などがあります。 |
南谷寺 | 関東三十六不動第13番不動で、江戸五色不動の一つ目赤不動尊。六地蔵尊などもあり。 |
駒込日枝神社 | 境内社には日吉稲荷神社が鎮座。御朱印は大國神社で対応しています。 |
大國神社 | 駒込駅のほぼ目の前に鎮座。大國主命(大黒様)をお祀りしています。 |