京急本線弘明寺駅から徒歩2分、横浜市営地下鉄ブルーライン弘明寺駅から徒歩5分の場所に鎮座する弘明寺(読み方はぐみょうじ)は高野山真言宗のお寺。
横浜市内最古の寺であり、坂東観音霊場14番札所です。
正式名称は「瑞慶山 蓮華院 弘明寺」。
観音信仰の霊場として鎌倉時代では源頼朝も帰依。
鎌倉時代は求明寺と称していましたが、観音経偈文(かんのんぎょうげもん)の「弘誓深如海(ぐぜいじんにょかい)」から「弘」を取り弘明寺と改称しています。
また、弘明寺の山門前に延びる弘明寺かんのん通り商店街は門前町として発展。
地元では「観音様」と呼ばれ親しまれ、各種行事などで賑わっています。
目次
・歴史とご本尊・ご利益
・仁王門
・身代地蔵菩薩
・本堂(弘明寺観音)
・大師堂
・聖天堂
・七ツ石
・鐘楼堂
・稲荷大明神
・御朱印・お守り
・護摩修行(御祈祷)
・友の会・病苦研究会・巡拝の会
・駐車場
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
弘明寺の歴史とご本尊・ご利益
山号は瑞慶山
院号は蓮華院
宗派は高野山真言宗。
御本尊は、十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)。
十一面観世音菩薩像は像高181.7cm、1本のハルニレの木から全身を掘り出す一木造。
疫病退治を願ってつくられたことから、右手が疫病退治の印を結んでいます。
721年(養老5年)、インドの善無畏(ぜんむい)三蔵法師が渡来した際、この土地を霊域と感じて7つの石を据えたのが始まりとされています。
737年(天平9年)、全国を巡り歩いていた僧侶・行基(ぎょうき)がこの地を訪れ、一刀三礼(一刀刻む毎に三度礼拝する)による彫刻祈願で、御本尊十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)を作られています。
814年(弘仁5年)には空海(弘法大師)が一千座の護摩をたき、庶民の除災招福を祈願。
1044年(寛徳元年)に行僧侶・光慧(こうえ)が瓦葺き本堂を建立。
明治時代の神仏分離で新政府に没集され無住職となりますが、1901年(明治34年)に渡辺寛玉師によって復興。
今に至ります。
弘明寺の仁王門
横浜市営地下鉄ブルーライン弘明寺駅から、弘明寺かんのん通り商店街を抜けた先に仁王門。
京急本線弘明寺駅からは、坂道を下ったところに仁王門があります。
仁王門は江戸時代に再建されたもので、「瑞應山」の扁額は徳川幕府に仕えた書家佐々木玄竜の書。
安置されている金剛力士像(仁王像)は鎌倉仏師造。
弘明寺観音の名の赤提灯も。
仁王門を通った先、右側には六地蔵と観音様。
左側には授与所と竹観音さまのお堂、馬頭観音菩薩の石碑など。
正面には本堂につながる石階段。
木造十一面観世音菩薩の赤色の幟旗が並びます。
弘明寺の身代地蔵菩薩
石階段参道の中段の踊り場には、京浜急行電鉄株式会社が会社設立100周年の記念事業として奉納した身代地蔵菩薩。
人々の病気平癒・身体健全が祈願されており、身体の悪いところと同じ場所をタオルやハンカチでさすり祈願することで、自身や家族の身体を癒してくれると言われています。
それ用の身代りハンカチお守りが授与所にあります。
身代地蔵菩薩の奥にも。
弘明寺の本堂(弘明寺観音)
1044年(寛徳元年)に、光慧(こうえ)上人が建立。
現在の本堂は1766年(明和3年)に、智光(ちこう)上人により再建されたものです。
別名「弘明寺観音」。
本堂で使われていたチョーナ彫の床板・はり・桁などがそのまま使われており、1976年(昭和51年)には茅葺きから銅板葺きに改修されています。
参拝の仕方は、身だしなみを整えて鰐口を二度打ちして合掌。
頭を下げ、ご本尊様の姿を念じ「南無観世音菩薩」とお唱えします。
弘明寺の大師堂
石段を上がった左側には、真言宗の宗祖・弘法大師を奉安した大師堂。
太子堂の側面(右側)は鏡張りになっており、並ぶ仏像が見れます。
また、左側奥には百度石や馬頭観音の石碑など。
弘明寺の聖天堂
太子堂の右側、奥には聖天堂。
弘法大師がこの地に不思議な力を感じ彫った聖天(大聖歓喜天)さまが安置されています。
一千座の護摩を焚いて庶民の幸福を祈願したとされています。
毎月3・13・23日は大聖歓喜天(聖天)様のご縁日。
縁結び、子宝、事業繁栄などの御利益がある「聖天浴油供祈祷(しょうてんよくゆくきとう)」を斎行しています。
弘明寺の七ツ石
石段上がった右側には、善無畏(ぜんむい)三蔵法師が陀羅尼(だらに)を書写して結界を立てた霊石。
尾りょ石と刻してある「尾閭石」や、大黒天の袋に似ているので名付けられた「福石」があります。
弘明寺の鐘楼堂
梵鐘は鋳銅製の和鐘。
川崎大師平間寺の梵鐘をつくった鋳物師・西村和泉守藤原政平作。
1798年(寛政10年)、阿闍梨(あじゃり)秀光が願主となり再々造したものです。
手前には地蔵祠。
鐘楼堂の奥にもお地蔵さま。
弘明寺の稲荷大明神
楓関門(ふうかんもん)の参道途中には稲荷大明神。
弘明寺の御朱印・お守り
御朱印は直書きと書き置きとあり、種類も豊富。
月替わりの御朱印もあり人気があります。
授与品では、各種お札をはじめ、厄除や良縁、安産、交通安全、学業成就などを祈願したお守りが各種あり。
なかでも、大聖歓喜天さまのシンボルである大根と巾着の絵馬、弘明寺参拝記念に人気の招福ダルマ、手術成功お守り、身代りハンカチお守り、本尊十一面観音御姿お守りなどは弘明寺ならでは。
弘明寺の護摩修行(御祈祷)
祈願成就を目指して祈りを捧げる護摩修行には、護摩行(通常・新年初護摩行・本尊十一面観世音菩薩 四萬六千日功徳参拝 護摩修行)、星祭祈祷、聖天浴油供祈祷とあり。
毎月8・18・28日は十一面観世音菩薩さまの縁日として、炎の力で煩悩を焼き尽くし願い事が成就するよう祈る「護摩供」がおこなわれています。
通常護摩行は参加は自由、参加費は無料。
お正月、四万六千日期間などは参拝方法が異なります。
また、ゴマ札は3,000円からで、炎に投ずる添えゴマ木は1本500円(※2025年8月)。
添えゴマ木は基本的に住職が炎に投じますが、ゴマ行修法時間に御来寺することで、御自身の手で火の中に投じることが出来ます。
冬至より正月・節分の期間中は、ゴマ供に併せ、古代インドの信仰に由来する星祭祈祷を修行。
宿曜経(すくようきょう)に基づき、生まれ年により運勢に影響を及ぼすとされる九つの星、九曜星を供養し、悪運を仏様と共に乗り越え、善運を伸ばしていこうとするものです。
聖天浴油供祈祷は密教に伝わる呪法の一つで、ご本尊・聖天様に芥子油を浴しておこないます。
大聖歓喜天(聖天)様の縁日に斎行しており、1回の申し込みにつき3ヶ月間祈祷(お札代は3,000円)。
原則として一月に1回以上の祈祷への参加が必要(1回毎の祈祷参加料は1,500円)など、そのお参りの仕方には決まりがあります。
また、事前に面接があります。
弘明寺の友の会・病苦研究会・巡拝の会
「弘明寺観音友の会」は入会金・年会費無料で入会できる会。
弘明寺でおこなわれているすべての行事、護摩行、諸祈願、お加持、供養などの案内がいただけます。
「病苦研究会」は、横浜近郊の高野山真言宗寺院の有志の僧侶が中心となって発足。
様々な病気で悩む方やその家族に、仏教の立場からどのようなケアが出来るのかを考え実践していくことを目的にした会です。
誰でも参加可能で入会金無料ですが、年会費が必要。
「弘明寺観音巡拝の会」は、各霊場や仏跡、名刹等の巡拝旅行を定期定期に開催している会。
檀信徒や会員に限らず誰でも参加でき、入会金・年会費は無料です。
各巡拝への参加・不参加は自由で、希望者が一定人数に達したら実施されます。
弘明寺の駐車場
京急本線弘明寺駅前と、本堂右側の梵鐘近くにある階段を下ったところに、参拝者・墓参者専用駐車場があります。
弘明寺の詳細
弘明寺へのアクセス
- 京急本線:弘明寺駅より徒歩2分
- 横浜市営地下鉄ブルーライン:弘明寺駅より徒歩5分
- 公式サイト:https://www.gumyoji.jp/
弘明寺の主な行事・お祭り
- 1月:初詣参拝、新年初護摩行、星祭祈寿
- 2月:節分法会(鬼・天狗の行列 福豆授与)
- 3月:春季彼岸会
- 4月:花まつり
- 6月:身代地蔵菩薩奉安記念、宗祖弘法大師誕生会、青葉祭り
- 7月:本尊十一面観世音菩薩、四万六千日功徳参拝、四万六千日特別護摩行その他
- 8月:旧盂蘭盆会
- 9月:秋季彼岸会
- 毎月8の日:本尊十一面観音様ご縁日
- 毎月3の日:大聖歓喜天(聖天)様ご縁日
弘明寺近くのおすすめ神社・寺
住吉神社(井土ケ谷) | 別名「住吉三神」の厄祓いの神様。稲荷神社や猿田彦大神も祀られています。 |
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若宮八幡宮 | たくさんの御祭神を祀る、武将・北条時宗が建立したと言われている歴史ある神社。 |
定光寺 | 東国八十八ヵ所霊場59番。岩をくり抜いたお堂に不動明王(明王立像)と弘法大師像。 |