臨済宗建長寺塔頭寺院の一寺である長寿寺(読み方はちょうじゅじ)は、室町幕府を創立した初代征夷大将軍・足利尊氏の邸跡に建つ臨済宗建長寺塔頭寺院。
正式名称は「宝亀山 長寿寺(ほうきざん ちょうじゅじ)」。
境内には茅葺きの山門や2つの庭園、美しい観音堂、足利尊氏の遺髪を埋めたと伝わる五輪塔など見どころが多数。
季節・曜日限定拝観なのでいつでも参詣できるわけではありませんが、拝観日はお堂の中にも入ることができ、座るところも用意されているなど贅沢な時間が堪能できます。
今回は秋の紅葉シーズン中に参拝。
小雨がときおり降っていましたが、中止になることなく拝観できました(雨が強くなってしまったら中止になっていたかも…)。

目次
・歴史とご本尊・ご利益
・拝観料と拝観日
・山門
・境内
・本堂
・書院
・小方丈
・観音堂
・宝篋印塔(五輪塔)
・小径(裏側)
・出口
・御朱印・お守り・おみくじ
・アクセス
・近くにある神社・寺
・近くのおすすめグルメ
長寿寺の歴史とご本尊・ご利益
ご本尊は釈迦如来。
山号は宝亀山。
開基は足利基氏(初代鎌倉公方・足利尊氏四男)。
開山は古先印元禅師(初代住職)。
1336年(建武3年)に、鎌倉時代後期から南北朝時代の武将として活躍し、室町幕府を創立した初代征夷大将軍・足利尊氏の邸跡に創建した臨済宗建長寺塔頭寺院。
諸山第一位です。
足利尊氏は1358年(延文3年)に京都にて永眠(54歳)。
法名が京都では「等持院殿」、関東においては「長寿寺殿」と称されていたことから、「長寿寺」と名付けられたそうです。
初代鎌倉公方・足利基氏(あしかが もとうじ)は、尊氏の菩提を弔うため、七堂伽藍を備えた堂宇を建立。
境内裏山に尊氏の遺髪を埋葬したお墓があります。

長寿寺の拝観料と拝観日
拝観料は300円(※2025年12月)。
山門のところで奉納します。
長寿寺はいつでも拝観できるわけではなく、桜や紫陽花シーズンである春季(4~6月)と、紅葉シーズンの秋季(10~12月)の指定された日のみ。
また、雨の日は程度によりますが拝観中止(9時頃に判断されるそうです)。
途中で雨が降った場合は、その時点で中止になることもあります。
長寿寺は公式ホームページがない(※2025年12月)ですが、「鎌倉観光公式ガイド」で紹介されています。
境内は参拝順路が設けられており、本堂・書院・方丈で絵画のような美しい風景を堪能したら、庭に出て苑路に沿って観音堂、足利尊氏の墓地を巡り、方丈とは反対側から庭園を眺め、そして出口に。
一方通行で境内が回れるようにされています。
ちなみに、本堂・方丈・書院では会話を控え静かに鑑賞することが求められています。


長寿寺の山門
JR線北鎌倉駅より、大通りを鎌倉駅方面に向かって歩くこと11分ほどの場所に鎮座。
亀ケ谷切通に向かう道の角にあります。
階段を登った先には茅葺きの山門(四脚門)。
江戸時代後期につくられた禅宗様です。


山門向かって右側には、亀趺(きふ)の上に乗り五重塔を被っている佛頂尊勝陀羅尼碑。
上に彫られている梵字は、厄災を除く呪文だそうです。
そして左側には石仏。


長寿寺の境内
山門の正面には本堂に続く小径、右側には観音堂に続く小径とあり、まずは本堂に向かいます。


本堂と書院・小方丈は一続きになっており、書院は観音堂が建つ庭園を。
小方丈からは枯山水の庭園が眺められるようになっています。


長寿寺の本堂
2006年(平成18年)に新しく建てられた本堂。
本堂や書院・小方丈は一度上がって出たら再び入ることはできません。

ご本尊の釈迦如来像、開山古先印元像と足利尊氏像が祀られています。



長寿寺の書院
参拝を済ませたら書院に。
窓際には毛氈(もうせん)が敷かれ座布団ズラリ。
後方には椅子が並び、庭園を眺めながら鳥のさえずりや四季折々の自然を贅沢に鑑賞できます。
紅葉シーズンではモミジが枝葉をのばし、緑とのコントラストが鮮やか美しい景色を見せてくれます。


書院からは観音堂や入り口付近の庭が眺められます。
観音堂の近く、真っ赤な紅葉の下にポツンとあるのは宝篋印塔?
小径がありますが、立ち位置禁止で近くまではいけません。



長寿寺の小方丈
小方丈では枯山水の庭が眺めます。
白色の砂・苔・紅葉が見事に調和しています。






書院・小方丈では、内部の造りや額などの飾り物も趣がありますので、ぜひこちらもじっくり鑑賞したいもの。





長寿寺の観音堂
観音堂は、大正時代に円成寺(奈良)より移築・改造したもの。
室町時代後期に作られたとされていますが、たびたび改造されたことからもとの姿とはかなり異なっているそうです。


正面には両開きの板扉、その両脇は連子窓。
堂内には、高さ約1.1 メートル、右手に小鳥、左手は天衣を握る観音菩薩像。
観音菩薩像は桐の一本彫りで、背後には「迦陵頻伽(がりょうびんが)」が描かれており、天井絵も残っています。
本堂が新築されるまではこちらが本堂で、こちらに祀られている観音様がご本尊でした。
また、開山古先印元像と足利尊氏像もこちらに祀られていたそうです。


裏側から見える景色もまた良し。


長寿寺の宝篋印塔(五輪塔)
観音堂正面から右側向かう小道は、足利尊氏のお墓がある場所に続いています。
途中、真っ赤な紅葉と銀杏のコントラストが美しい場所が。
風に吹かれて銀杏が舞い降り、黄色い絨毯を作っていました。


階段を登ると奥にやぐら。
足利基氏が尊氏の遺髪を埋めたといわれる宝篋印塔(五輪塔)があります。

少し高台にあり、観音堂の背後の紅葉がみれます。

長寿寺の小径(裏側)
五輪塔から山すそを案内に従って下りると、庫裏向こうに庭園。
竹林もあり、梅雨の時期にはピンクや青色のアジサイが咲きそろいます。



長寿寺では書院と小方丈、そして出口へと向かう小径の3方向から庭園を観賞できます。





長寿寺の出口
小径の終着点は本堂の裏側。
「拝観者出口」の案内に沿って進むと、本堂向かって左側にある裏門が出口なっていました。
ここから再び戻る…ということはできないように、通行止めがされています。




裏門は亀ヶ谷坂に面しています。

長寿寺の御朱印・お守り・おみくじ
御朱印は本堂に入る入り口でいただけました。
紅葉シーズンということで参拝客が多いためか、平日でしたが書置き。
オリジナルのご朱印帳やおみくじ、お守りはみあたりませんでした。

長寿寺の詳細
長寿寺へのアクセス
- JR線:北鎌倉駅より徒歩11分
- 鎌倉観光公式ガイド:https://www.trip-kamakura.com/place/1102.html
長寿寺近くのおすすめ神社・寺
| 建長寺 | けんちん汁発祥のお寺。広い敷地内には多くの塔頭寺院と半僧坊大権現があります。 |
|---|---|
| 圓應寺(円応寺) | 鎌倉十三佛第5番札所の閻魔大王を本尊とするお寺。十王や奪衣婆、詫言地蔵も。 |
| 薬王寺 | 御本尊は久遠実成釈迦牟尼仏、日蓮宗のお寺。徳川家の家紋(三つ葉葵)が使われています。 |
| 明月院 | 悟りの窓と境内のアジサイや紅葉で有名な臨済宗禅寺。園内には地蔵様やウサギが点在しています。 |
| 浄智寺 | 苔の参道が美しい禅宗寺院。本堂をはじめ鎌倉十井ややぐら、七福神と見どころあり。 |
| 海蔵寺 | 扇ガ谷の最奥にある臨済宗建長寺派の寺。「底抜けの井」や「十六の井」で有名。 |
長寿寺近くのおすすめ喫茶・カフェ・食事処
| 点心庵 | 建仁寺駐車場沿いにある古民家レストラン。けんちん汁と御座敷のフォトスポットで有名。 |
|---|---|
| 龍華珈琲 | 圓應寺(円応寺)内にあるコーヒーカフェ。ハートの窓からのぞくお庭が特徴的。 |






