お遍路で有名な四国88カ所・西国33カ所の霊場を巡るのと同じ御利益が得られる、玉川大師こと寶泉山玉眞院の地下霊場(地下仏殿)。
荘厳な雰囲気に包まれた地下霊場を、「南無大師遍照金剛(なむ だいし へんじょう こんごう)」と唱えながら回ります。
四国八十八か所の仏像などが祀られた場所は灯りがありますが、2ヶ所(3カ所だったかな?)ほど真っ暗闇の中を壁に手をついて、文字通り手探りで進むところもあります。
地下霊場内は、通常は撮影禁止。
…なんですが、玉川大師創設100周年記念イベント第一弾として2025年9月1~30日の期間中は撮影可能に!
あの荘厳な雰囲気を写真に残しておくことができるなんて、こんな機会は滅多にないとして、さっそく参拝してきました。

目次
・地下霊場(地下仏殿)のお参りの仕方
・弘法大師様の仏具
・懺悔文と脱衣婆
・圓満地蔵尊地蔵
・お遍路八十八ヶ所
・涅槃像さまと弘法大師像
・十二支御守本尊と打ち上げの鐘
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
玉川大師の地下霊場(地下仏殿)のお参りの仕方
1934年(昭和9年)に完成した玉川大師の地下霊場は、竜海阿闍梨(龍海和尚)が6年の歳月をかけて完成させた地下仏殿。
秘密マンダラ大殿堂です。
地下5メートルの深さの場所に、長さ100メートルにも及ぶ総鉄筋コンクリート造りの拝殿で、密教における最高仏・大日如来様の胎内を表しています。
胎内めぐりでは、「南無大師遍照金剛(なむ だいし へんじょう こんごう)」とお経を唱えながら回ることで、四国八十八ヵ所霊場巡りと西国三十三観音霊場巡りをしたのと同じご利益が得られると言われています。
参拝時間は9時から16時半まで(最終来寺は16時)。
地下霊場に入る際には、お寺の方から詳細な説明があります。
参拝料は高校生以上が1,000円、中学生以下は500円で、住職祈願済みの「光運石」が授与されます(※2025年9月)。
光運石は強く念ずることで願いが叶うお守りでもあり、集めることでより強いパワーを発揮するようになるのだそうです。
ちなみに毎年8月には、暗闇修行を体験できるイベント「提灯会(ちょうちんえ)」を開催。
地下霊場内の石仏があるところは小さな明かりが灯されているのですが、提灯会の際には、お遍路の雰囲気を体験すべく明りはなし。
手に持った提灯だけを頼りに地下仏殿を参拝します。
地下霊場(地下仏殿)にある弘法大師様の仏具
地下霊場(地下仏殿)への入り口は、大師堂の左隅。
サンダルを履いて階段を下り、地下世界へ地下へと降りていきます。
参拝した日は蒸し暑く、外にいるだけで汗が噴き出すほどでしたが、地下は涼しく、ひんやりした空気。
参道の幅は人が1人通れるくらいで、最初は何も見えない真っ暗闇!
壁に手をついて、おっかなびっくり進んでいきます。
足元はおろか目のまえも見えない。
どこにいるのかもわからなくなるほどで、手が触れている壁だけが頼りです。
しかも、坂道があるところも!?
暗いのでどれくらいの傾斜かはわからないので余計に怖い。
体感では45度でしたが、実際は本当にゆるやかな坂道だったと思います。
真っ暗闇で坂道はやばいです(汗)。
しかも、クネクネと複雑に曲がりくねっているので、進むのが大変でよけいに怖い。
真っ暗闇の道の途中には弘法大師様の仏具がありますので、そちらに触ることで更にご利益が。
見つけたときは、必死に両手で触っていました。
地下霊場(地下仏殿)の懺悔文と脱衣婆
最初の暗闇ポイントを抜けると、そこには地獄をあらわす回廊。
壁には懺悔文が書かれています(といっても読めない…)。
参拝者は、ここで自らの罪と向き合います。

そして、仏教の世界において、三途の河を渡った先で最初に出会う葬頭河(しょうづが)の脱衣婆(だつえば)が鎮座。
死者の衣服をはぎとり、その重さから業の深さを測り、天国もしくは地獄行きを決める冥界の官吏です。

地下霊場(地下仏殿)の圓満地蔵尊地蔵
さらに進むと、お遍路を見守ってくれる圓満(えんまん)地蔵の像。

右側には愛染明王と吉祥天。
左側には不動明王。

地下霊場(地下仏殿)のお遍路八十八ヶ所
そしてまた真っ暗な道。
しかも、めっちゃ急な曲がり角あり。
ちゃちなお化け屋敷よりも怖い…。
くねくねとした道からまっすぐな道になり、やがて明りが!
ホッとする…。
そこには、四国八十八ヶ所・西国33カ所を表す計300体の手彫りの石仏が両サイドにズラリ。
二段飾りの祭壇に、四国八十八ヶと西国33ヶ所の大師と観音様が奉られています。

下段の弘法大師様のお顔はすべて異なるだけでなく、実際にお遍路で行く八十八ヶ所のお寺を表しています。
上段の仏さまは、それぞれのお寺のご本尊様になります。
つまり、実際のお遍路巡りのお寺に合わせて、弘法大師さまとご本尊が安置されているのです。



1つの石仏につき1つの霊場をお参りしたのと同じ御利益があるとされており、数え年の仏さまにお祈りすることでその年の厄払いができます。
なので、「自分の年齢+1(数え年)」の数え年の仏像にお参り。
ちなみに、「自分の年齢」の仏像さまは、昨年お世話になった仏様になります。

仏様との距離が近く乏しい明りからも、両サイドからの無言の圧がすごい。
普段、外で石仏を接するのとは迫力が違います。
本当に生きているようで、正直、怖かった…(涙)。
地下霊場(地下仏殿)の涅槃像さまと弘法大師像
八十八ヶ所巡礼の先には涅槃仏様。
その正面(向かい合うように)には、ご本尊の弘法大師様。
究極の悟りを開いている状態を表している涅槃像さまがいる場所は、地下仏殿のなかでも特にスピリチュアルなパワースポットと言われています。

天井には不死鳥・朱雀(すざく)の絵。
壁には2体の竜神。
神々しいことこの上ない!

涅槃像さまの前に立つ大きな弘法大師様は、その高さ2m20cm、重さ約2トン。

地下霊場(地下仏殿)の十二支御守本尊と打ち上げの鐘
弘法大師様の背後に続く道をさらに進むと、先で通った圓満地蔵さまのところに。
なんと!
ここで行違うんですね!?
(向こうから人が来ていたらかなりびっくりするかも…)

トイレの穢れをはらう神様・烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)さまのところを曲がると、十二支御守本尊。
干支の仏さまがズラリと並んでおり、自分の生まれ干支の仏像さまにお参りします。

最後に、お遍路終了の証になるお遍路の満願成就「打ち上げの鐘」を鳴らして終了です。
銅鑼の音は災いを沈める息災・幸福のシンボルでもあります。
出口は光の世界…つまりは現世への生まれ変わり。
このルートを通る事で、お遍路巡りと同じ御利益が得られるとされています。


玉川大師の詳細
玉川大師へのアクセス
- 東急大井町線・田園都市線:二子玉川駅より徒歩15分
- 公式サイト:https://tamagawadaishi.com/index.html
玉川大師の主な行事・イベント
- 1月:元朝護摩、初大師大祭
- 2月:節分護摩
- 3月:春彼岸会
- 5月:お砂ふみ大祭
- 7月:みたまつり
- 9月:秋彼岸会
- 10月:お砂ふみ大祭
- 11月:七五三ご祈祷
- 12月:星祭護摩
玉川大師近くのおすすめ神社・寺
瀬田玉川神社 | 高台にある神社。「おみたけさん」と呼ばれています。 |
---|---|
二子神社 | 多摩川沿いに鎮座する神社。岡本太郎の母・岡本かの子さんの文学碑があります。 |
用賀神社 | 天祖神社と複数の神社が合祀された、たくさんの神様を祀る神社。 |
中町天祖神社 | 等々力玉川神社が管理。境内社の弁天社には蛇石が奉納されています。 |
金剛寺 | 玉川八十八ヶ所第三十五番札所。境内には薬師堂もあります。 |