興禅寺(読み方はこうぜんじ)は、武相不動尊七番、関東百八地蔵尊霊場八十六番、そして横浜七福神の福禄寿尊をお祀りする天台宗派の寺院です。
正式名称は「圓瀧山 光明院 興禅寺(えんりゅうざん こうみょういん こうぜんじ)」。
すぐ近くにある高田天満宮の創建にも関わっている古刹です。
コンパクトな境内にはいたるところに石仏が置かれ、本堂近くにある朱塗りの薬王殿はとりわけ目を引きます。
また、横浜市認定の「雅楽会」は明治時代から継承されている民俗芸能でも知られています。

目次
・歴史とご本尊・ご利益
・山門
・境内
・本堂
・薬王殿
・鐘楼堂
・御朱印
・横浜七福神巡り
・駐車場
・アクセス
・近くにある神社・寺
興禅寺の歴史とご本尊・ご利益
ご本尊は十一面観世音菩薩。
安産のご利益がある安産観音として信仰されてきました。
山号は圓瀧山。
院号は光明院。
宗派は天台宗。
852年(仁寿3年)に天台座主の慈覚大師が開山。
本山は比叡山延暦寺、宗祖は伝教大師最澄和尚です。
慈覚大師(円仁和尚)が東国を下っている際にこの地に錫を留め、自ら十一面観音菩薩ならびに勝軍地蔵の尊像を刻まれ安置したのが始まりと伝えられています。
1871年(明治4年)頃までは、境内の一角に寺子屋「高田学舎」が。
高田小学校の前身とされています。

1969年(昭和44年)から始まった不動明王を祀る寺院による武相不動尊霊場では、興禅寺は七番。
ちなみに1番札所は川崎大師で、28番の高幡不動尊まであります。
港北区内では他に、8番の金蔵寺(日吉本町)、9番の西方寺(新羽町)、26番の光明寺(新羽不動尊)が入っています。
12年に1回、酉年に秘仏開帳が期間限定でおこなわれています(前年は2017年)。
興禅寺の山門
入り口の左側には六地蔵尊、右側には横浜七福神の福禄寿尊。
六地蔵尊は、向かって左から日光地蔵(天道)・除蓋障地蔵(人間道)・持地地蔵(阿修羅道)・宝印地蔵(畜生道)・宝珠地蔵(餓鬼道)・檀陀地蔵(地獄道)。
前段の六地蔵尊は比較的新しく、後段には昔からある六地蔵尊が安置されていました。



福禄寿尊は、幸福・財宝・長寿にご利益があるとされる七福神の一神。
背丈が低く、長い頭と長いあごひげ、大きな耳たぶをしており、左手に宝珠、右手に巻物をくくりつけた杖を持っており、鶴を伴っていることも。
興禅寺の山門前に鎮座する福禄寿尊は、その特徴である「長い頭」はほどほどのようです。

山門前には、勇ましい姿をした阿形吽形像(金剛力士像)。
比較的、新しいもののよう。
二十三夜塔(にじゅうさんやとう)や地蔵尊も。



さらに左側には松尾芭蕉の句碑「清瀧や 波に墨なき 夏の月」。
奥には橋が架かった小池の社、そして橋の手前に鎮座する眼鏡(!?)をかけた石仏。



右側には十二支護守観音像。
向かって左から阿弥陀如来(戌亥)、不動明王(酉)、大日如来(未申)、勢至菩薩(午)、普賢菩薩(辰巳)、文殊菩薩(卯)、虚空蔵菩薩(丑寅)、千手観音(子)。
生まれ年の守り本尊にお詣りすることで、開運招福・諸願成就のご利益が得られると言われていますので、自分の守本尊様をしっかりとお参りさせていだきました。



山門の扁額には「圓瀧山」。
上部には七福神の彫刻が。


興禅寺の境内
山門から伸びる参道の先には本堂。


右側には横浜市の名木に指定されている「モッコク」と、六面に地蔵尊が刻まれている石幢(せきどう)。
モッコクの前には、木彫りの福禄寿尊が置かれていました。
こちらは、福禄寿尊の特徴である「長い頭」を体現しています。


鎌倉時代領主・桃井播磨守直常の寄進とされている石幢は、回りに六地蔵が掘られ天部には宝輪。
石幢の右下に立てられているのは、死者の追善供養のために建てた平たい石の卒塔婆(そとば)。

他、境内には「東叡山(上野寛永寺) 有徳院殿尊前(八代将軍・徳川吉宗)」と刻まれている旧寛永寺灯籠や、1879年(明治12年)の宝篋印塔、四方に仏の種子と仏像名(釋迦像・普賢像・文殊像・弥陀像)が刻まれている石塔などがあり、見ごたえがあります。
興禅寺の本堂
1806年(文化3年)に改築された、密教造りの本堂。
扁額には「光明院」。
堂内にはご本尊の十一面観世音菩薩、聖観世音菩薩、阿弥陀三尊、薬師如来、不動明王、地蔵尊、十王像、七福神など多くの仏堂が安置されています。

興禅寺の薬王殿
本堂の左側、石段を上がったところには薬師瑠璃光如来像を安置する薬王殿。
和様式建築による朱塗りの多宝塔です。
左側には、伝教大師・最澄の教えである傳教大師御遺誡碑(でんぎょうだいしごゆいかいひ)があります。


興禅寺の鐘楼堂
薬王殿のっ左側には、鐘楼堂に続く小径。




興禅寺の御朱印
御朱印は庫裡でいただけます。
ご本尊「十一面観音」、武相不動尊霊場「善立不動尊」、関東百八地蔵霊場「延命地蔵尊」、横浜港北七福神「福禄寿」とあり。
興禅寺の横浜港北七福神巡り
興禅寺では横浜七福神の福禄寿を祀っており、お正月には七福神巡りに対応しています。
「七つの災いがたちまち消え、七つの福がたちまちやってくる」として、港北区内の七つのお寺で古くから祀られている七福神様がご開帳。
この時期には、開運招福のご利益を求めて毎年多くの人々がお参りされています。
・弁財天…菊名池畔妙連寺境外社(最寄駅は東急東横線:妙蓮寺駅)
・恵比寿大神…西方寺(市営地下鉄ブルーライン:新羽駅)
・福禄寿神…興禅寺(市営地下鉄グリーンライン:高田駅)
・寿老神…金蔵寺(市営地下鉄グリーンライン:日吉本町駅)
・大黒天…正覚院(各線:新横浜駅)
・毘沙門天…蓮勝寺(東急東横線・JR横浜線:菊名駅)
・布袋尊…東照寺(東急東横線:綱島)
興禅寺の駐車場
道路沿い、山門近くにある七福神の福禄寿尊の背中側にありました。

興禅寺の詳細
興禅寺へのアクセス
- 横浜市営地下鉄グリーンーライン:高田駅より徒歩10分
興禅寺近くのおすすめ神社・寺
| 高田天満宮 | 2025年で創建700年。境内社に出世稲荷社と招福弁天社があり。 |
|---|---|
| 薬王山 塩谷寺 | 馬頭観世音菩薩を祀る稲毛七薬師の一寺で、薬師霊場第一番札所。 |
| 圓應寺 | 秋に横浜市無形民俗文化財の「火渡り修行」がおこなわれている真言宗のお寺。 |






