諸嶽山總持寺は、鎌倉時代後期、お釈迦様の教えを全国に広める中心的寺院として開かれたお寺です。
一般的には「大本山総持寺(読み方はだいほんざんそうじじ)で知られています。
曹洞宗の大本山の一つであり、関東最大級のお寺。
広大な敷地には大租堂など多数の歴史建築物が残っているなど、歴史探索も楽しい境内。
境内は自由参拝が可能で、諸堂内では修行僧の案内による拝観も受け付けています(有料)。
目次
・歴史
・山門
・向唐門
・香積台
・仏殿(大雄宝殿)
・大粗堂
・宝蔵館「嫡々庵」
・双眸丘
・登録文化財
・御朱印
・イベント
・墓所
・アクセス
・主な行事・お祭り
・総持寺の見どころポイント
・近くにある神社・寺
大本山總持寺の歴史
曹洞宗であることからも、ご本尊はお釈迦さま。
お釈迦さまの教えを日本に伝え、永平寺(福井県)を開かれた道元禅師を「高祖(こうそ)」。
教えを全国に広められた四代目・瑩山禅師を「太祖(たいそ)」。
このお二人の祖師を「両祖」と呼び、この三師を「一仏両祖」としてお祀りています。
拝む時は、「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」とお唱えして礼拝。
その意味は「お釈迦様を敬い、御心のままに帰依します」。
曹洞宗の大本山は、(道元さまの)永平寺とここ(瑩山さまの)總持寺の2つ。
永平寺は高祖道元禅師が1244年(寛元2年)に開山。
總持寺の前身は諸嶽寺(石川県)。
1321年(元亨元年)に太祖瑩山禅師が「諸嶽山總持寺」と改め、明治時代の焼失をきっかけに横浜市に移転し今に至ります。
大本山總持寺の山門
總持寺はとても広く、案内の境内図も大きいです。
向唐門や三松閣を通り、百間廊下の先にある本堂や仏殿を見て回り、向唐門に戻って双眸丘の梅壽庵や穴熊稲荷などと、あらかじめ歩くコースを決めておくといいです。
公式サイトの境内マップには番号が振られているので、その通りに行ってもいいですね。
まず目に入るのが三松関(さんしょうかん)。
総欅造の1間高麗門です(登録有形文化財)。
その先の三門の楼上(二層部分)には、中央に僧形の地蔵菩薩と観音菩薩の二菩薩像を放光菩薩として安置。
そのまわりには十六羅漢像と四天王像がお祀りされています。
大本山總持寺の向唐門
三門をくぐった正面には、中庭的な広い境内。
石像などが点在しています。
なかでも向唐門と、道の始まりにある造像は中心的な存在。
向唐門は禅師の入山式やお正月、7月のみ霊まつり、11月の御移転記念日の時にのみ開扉されています。
大本山總持寺の香積台
総合受付所で、売店や休憩所もあります。
香積とは「香気が充満している世界」のことで、そこに住む如来の名でもあるとされています。
禅門では食事を調理するところの庫院や庫裡です。
切妻造、妻入りの大規模な二階建て(登録有形文化財)。
正面玄関には独住第三世・西有穆山禅師が揮毫された「香積台」の扁額、そして大きな「おしゃもじ」と「すりこぎ」。
中央廊下のつき当たりには、木彫りで日本一大きいといわれている、高さ約180センチメートルの大黒尊天が奉安。
中に入ると右手に拝観・墓地・法要・参拝等の受付をおこなう総受付があり、左手は売店・休憩所です。
大本山總持寺の仏殿(大雄宝殿)
登録有形文化財。
伽藍中心部に南面して建ち、方三間一重もこし付の形式で、屋根は入母屋造、本瓦葺。
達磨大師(だるまたいし)や釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)が祀られており、10月5日には「達磨忌」の法要、12月8日には「成道会(お釈迦さまが悟りを開いた日)」の法要がおこなわれています。
佛殿の前は、広い芝生スペースが広がっていて開放的です。
大本山總持寺の大粗堂
お堂も灯篭もかなり大きい。
大粗堂の前には、触れると仏様と結縁ができると言われる「五色の綱」があります。
五色の綱は「善の綱」や「縁の綱」とも言われており、触れることで仏様と結縁を得られると伝えられています。
總持寺開祖である瑩山紹瑾禅師の700年大遠忌を迎え、大粗堂に鎮座する禅師様の木造御手より繋がれた五色の綱が、この回向柱に結ばれています。
すなわち、回向柱に触れることで瑩山禅師様との御縁をいただけるとされています。
ちなみに回向柱は塔婆(とうば)といい、材は吉野杉。
60センチ角、高さ10メートルです。
大本山總持寺の宝蔵館「嫡々庵」
宝蔵館の前には、矢崎虎夫の石像作品「雲水群像」。
フランスのパリ、バンセンヌ公園にも同様の像が建っているそうです。
總持寺開山瑩山禅師650回大遠忌の記念事業として建立された宝蔵館「嫡々庵(旧、宝物殿)」では、1976年より總持寺所蔵の文化財を一般公開しています。
収蔵資料は絵画・彫刻・工芸・書跡・古文書と多岐にわたり、重要文化財5件・横浜市指定文化財5件も。
約3か月に1度展示替えがおこなわれています。
大本山總持寺の双眸丘
双眸丘は、三門付近にある小高い丘。
階段の右側には梅壽庵と駐車場(100台)があります。
駐車場では元旦から3日間は車祈祷が行われており、7月のみ霊まつりでは盆踊り会場になります。
※みたままつりの様子はこちら
祭事がない時は、参拝者専用で駐車できます(無料)。
階段を上っていくと、穴熊稲荷・大梵鐘・三寶殿(さんぼうでん)・平成救世観音に繋がる道に枝分かれ。
どこから行っても繋がっているので、好きに散策できます。
千本鳥居が並ぶ穴熊稲荷は、穴熊稲荷大明神が祀られています。
五穀豊穣をもたらす福の神様です。
横浜市指定文化財の大梵鐘は、1913年(大正2年)に1万6千人の願いや祈りを淨財にして鋳造。
鐘銘は独住4世・石川素童禅師、勧進元は9世・伊藤道海禅師です。
鐘の重さは18.75トン。
大晦日には一般参詣者も大梵鐘を撞くことができます。
三寶殿(三宝殿)は、總持寺の守護神・荒神様(三寶大荒神)を祀っています。
三門と三松閣を見下ろす位置にあるのが、平成救世観音(聖観世音菩薩像)。
東日本大震災の犠牲者の慰霊と被災地の復興を祈念。
大本山總持寺の登録文化財
境内には多数の登録文化財があり。
總持寺仏殿(大雄宝殿)・三松関・香積台・待鳳館・紫雲臺・御霊殿・虎嘯窟・放光堂・鐘鼓楼・衆寮・大僧堂・百間廊下及び門・向唐門・鐘楼・三寶殿・放光観音台座が建造物の登録文化財です。
大本山總持寺の御朱印
御朱印は香積台の総合受付で頂けます。
御朱印には何種類かあり、通常版や参拝記念。
さらには、太祖瑩山禅師700回大遠忌本法要(令和6年)にあわせて、太祖瑩山禅師700回大遠忌木製御朱印帳や限定御朱印も。
御朱印帳も何種類があります。
大本山總持寺のイベント
大本山總持寺では「開かれた禅苑」を掲げていることから、境内は自由に参拝可能。
さらに、諸堂内もガイド&食事付きで拝観できます(1日2回実施/要予約/有料)。
また、参禅や写経会、月例法話会をおこなっています。
参禅では様々なコースが用意されている自由参加参禅と大体向けの予約参禅(有料)とあり。
拝観や精進料理のお膳を組み込むことも可能です。
一般参禅者に開放されている坐禅堂の中央には、准胝観世音菩薩(じゅんていかんぜおんぼさつ)が祀られています。
毎月一回おこなっている「写経の会」は予約制(有料)。
写経・写仏で心を落ち着かせ、精進料理をいただきます。
午後は、月例法話会にも参加できます。
月例法話会は、全国各地から布教師をお招きしての法話会。
入場無料で、当日直接会場(三松閣四階大講堂)に行きます。
大本山總持寺の墓所
大本山總持寺の墓所には、各界の著名人が眠っています。
よく知られているのが俳優の石原裕次郎氏、実業家の浅野総一郎氏、政治家の芦田均氏など。
アントニオ猪木さんのお墓はその銅像があることからも、もはや観光地化している節も…。
仏教徒であり、總持寺の護持にご協力いただける方を対象に、一般公募もおこなっています。
大本山總持寺の詳細
大本山總持寺へのアクセス
- JR各線:鶴見駅より徒歩5分
- 京急本線:京急鶴見駅・花月総持寺駅より徒歩7分
- 公式サイト:https://www.sojiji.jp/
大本山總持寺の主な行事・お祭り
- 1月:初詣祈祷、寒行托鉢、高祖降誕会
- 2月:節分追儺式、涅槃攝心会、釈尊涅槃会
- 3月:東日本大震災物故者慰霊法要、春季彼岸施食会
- 4月:釈尊降誕会
- 5月:夏五則行持
- 6月:伝光会攝心
- 7月:盂蘭盆施食会、み霊まつり
- 8月:夏季参禅講座
- 9月:秋季彼岸施食会
- 10月:達磨忌
- 11月:御移転記念行持、冬五則行持、太祖降誕会
- 12月:臘八攝心会、釈尊成道会、年窮歳尽
- その他:参禅会、梅花講、水子地蔵尊縁日、写経会、法話会、三寶荒神祭日その他
総持寺の見どころポイント
穴熊稲荷 | 総持寺の山の上にある境内社。穴熊稲荷大明神が祀られています。 |
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三寶殿/三宝殿(總持寺) | 大本山總持寺の守護神。仏・法・僧の三宝を守護する三寶大荒神が祀られています。 |
禅カフェ 茶房おかげや | 三松閣内にある禅カフェ。境内の四季折々の風景を眺めながらモーニングやランチメニューが楽しめます。 |
總持寺近くのおすすめ神社・寺
鶴見神社 | 岩の上から見下ろすようにいる狛犬と、並んだ境内社と見どころが多い横浜最古の神社。 |
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成願寺 | 赤門を守る可愛らしい仁王像が目印の曹洞宗の寺院。薬師殿と仁王様の御朱印があります。 |
東福寺 | 鶴見七福神のひとつ。白く美しい慈悲観音や子育観音像、日本庭園があります。 |
鶴見中央神明社 | 伊勢神宮内が本家の照大御神をお祀りする、路線沿いにある神社。 |
五の日稲荷大明神 | 鶴見銀座商店街の一角にある商店街の守護神。鶴見の粉屋が商売繁盛を祈願し建立したそうです。 |