目黒区内で最古の歴史があると言われている大鳥神社。
他の大鳥神社と区別するため「目黒大鳥神社」とも呼ばれます。
御祭神がご夫婦であることからも、良縁のパワースポットととして有名。
9月の例大祭では近隣の町内会の神輿が集まり、江戸時代から続く11月の酉の市は商売繁盛のご利益がいただけると毎年多くの方が参拝に訪れています。
また、「盲神(めぐらがみ)」の伝承からも、眼病に特化したお守りがあることでも有名です。
境内のいたるところに社紋の鳳凰(ほうおう)の紋があり、探すのも楽しい神社です。
目次
・歴史とご祭神・ご利益
・行き方
・境内
・境内社・目黒稲荷神社
・神楽塚
・大銀杏と櫛塚
・お守りと御朱印
・例大祭
・酉の市
・七五三
・大鳥神社を支える会
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
大鳥神社の歴史とご祭神・ご利益
主祭神は日本武尊(やまとたけるのみこと)。
相殿神は、日本の国開きの神様である国常立尊(くにのとこたちのみこと)と、日本武尊の奥様である弟橘媛命(おとたちばなひめのみこと)です。
大鳥神社は景行天皇(西暦71~130年)の時代にはあったとされています。
日本武尊が東夷平定の際に立ち寄り祈願。
合わせて、部下の目の病が治癒できるように祈願したところ、東夷の平定と部下の目の病も完治。
その事から、大鳥神社を「盲神(めぐらがみ)」と称え、感謝として十握剣(とつかのつるぎ)を奉納。
この剣は「天武雲剣(あめのたけぐものつるぎ)」と呼ばれ、大鳥神社の社宝となっています。
そうした日本武尊の祈願成就から、大鳥神社は「目黒の祈願所」と言われています。
また、大鳥神社の社紋に鳳凰(ほうおう)の紋を用いているのは、「尊の霊(みたま)が当地に白鳥としてあらわれ給い、鳥明神(とりみょうじん)として祀る」という社伝から。
江戸図として最古の「長禄の江戸図(室町時代)」には、大鳥神社ではなく鳥明神と記載されています。
さらに、江戸図に記載されている社は9社しかなく、そのうちの一つである大鳥神社は江戸九社の一つに数えられています。
大鳥神社の行き方
大鳥神社の最寄り駅は、JR・東急電鉄・東京メトロ・都営地下鉄と多数の電車が停まる目黒駅。
駅から目黒通り沿いにある権之助坂を下り、目黒川を渡り、山手通りと交差する場所に鎮座しています。
交差点名は「大鳥神社」なので、初めて訪れる方も迷わずに参拝しやすい神社です。
大鳥神社の境内
山手通り沿いには立派な鳥居。
通った先には、左側の手水舎、正面に拝殿。
狛犬が出迎えてくれます。
狛犬は体つきが丸みを帯びており、ふっくらした表情。
毛並みがもふもふした柔らかさが感じられます。
大鳥神社の社殿
日本武尊が焼津で火の災いを塞いだことから、火難除けのご利益でも有名。
拝殿に掲げられている2つの長提灯の側面には、江戸の町火消し組の紋が記されており、今も江戸消防記念会が酉の市に参拝祈願をしています。
また火難除けは厄除けや八方除けの意味合いもあることから、厄祓いで訪れる人も少なくありません。
大鳥神社の境内社・目黒稲荷神社
拝殿の左手には目黒稲荷神社が鎮座。
そばには、春にフルーツのような豊かな香りを放つ花を咲かせる「おがたまの木」。
目黒稲荷神社には4柱が祭られています。
福徳円満・商売繁盛・諸病平癒・農業諸産業の神である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)。
災難・疫病除けの神である素戔嗚尊(すさのおみこと)。
火の幸を恵み悪火を鎮め、諸厄諸病を祓い除く、火防開運の神である火産巣火神(ほむすびのかみ)。
祈雨・上雨・子授け・安産・水の神である水速女命(みつはのめのみおと)です。
毎年5月5日の子どもの日には、例祭日の神事が行われます。
大鳥神社の神楽塚
目黒稲荷神社の参道横には神楽塚。
大鳥神社の書物に「初酉の日神楽を奏す」とあることから、現在でも一の酉には神楽塚の前で祭典が行われ、熊手の舞が奉納されています。
同じ並びにはいくつかの石碑があり、「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿が刻まれているものも。
大鳥神社の大銀杏と櫛塚
ご神木の大銀杏は、昔からある武蔵野の名木。
1930年(昭和5年)に境内に植えられ、第二次世界大戦の空襲に見舞われるものの復活した奇跡の大銀杏です。
大銀杏の横には櫛(くし)塚。
古来より櫛(くし)は幸運のシンボルとされ、古事記の伝説ではくしが身代わりとなり、人生の歩む道を照らすとされています。
大鳥神社のお守りと御朱印
日本武尊が目の病の治癒をしたという伝承から、眼病に特化した「眼病平癒」のお守りがあります。
また、文字がなく「鳳凰の丸」が描かれたシンプルなデザインのお守りも人気。
まばゆいばかりの純白に金色の社紋のみという潔さには神々しささえあります。
生地に描かれているのは唐花文様の一種「小葵文」。
菱形の唐花を葉が取り巻いている文様で、葵は人と神様のつながりを表しているのだとか。
平安時代には貴族階級にのみ使用が許されていたというのも神秘的ですね。
こちらのお守りのご利益は、大鳥神社の名称から「大取り」に通じること、伝統的な酉の市からも商売繁盛や開運招福として身につけるといいかもしれません。
御朱印は拝殿向かって左側にあり、通常のものから、酉の市・例大祭など期間限定のものと用意されています。
大鳥神社の例大祭
9月におこなわれる例大祭では、近隣の町会の神輿も勢揃い。
例大祭前後では、町会等のお祭りもおこなわれています。
一時期、コロナ禍で規模が縮小されていましたが、2023年の例大祭から御神輿渡御が復活。
各町会で神酒所が設けられ、御神輿の町内巡回、宮入もおこなわれるなど盛り上がりました。
2024年の例大祭では全町会の御神輿が勢ぞろい。
2018年(平成30年)以来です。
ちなみに、大鳥神社の周辺は交通量が多い立地であることからも、2006年以降は「宮入する年」と「目黒通りに御神輿勢ぞろいする年」を交互におこなっています。
大鳥神社の酉の市
大鳥神社での酉の市の起源は古く、浅草の酉の市と同じ頃、江戸時代から。
神事では、御神前に八つ頭の芋と熊手を奉ります。
八つ頭は、日本武尊が八族の各頭目を平定したことを。
熊手は、日本武尊が焼討ちにあった際に、当時武器でもあった熊手で薙ぎ倒した草をかき集めその火を防いだことからです。
このことから、「頭の芋」とも呼ばれる八つ頭は人の頭に立つように出世できる、熊手は家の内に宝を掃き込む(掻き込む)と、縁起物として信仰されるようになりました。
さらに、熊手で火を防いだという由緒から火難除けの神様として伝わり、江戸消防記念会が酉の市に参拝祈願。
大鳥神社の社名「おおとり」は「大取」に通じるとして、宝物を大きく取り込む、商売繁盛開運招福の神様として信仰されています。
酉の市では、社殿で太々神楽や熊手の舞、江戸消防記念会の木遣りが奉納されます。
熊手屋さんで受けた熊手のお焚き上げは、酉の市のお祭りの日のみ預かっていただけます。
酉の市の祭りの日以外は預かっていないので注意が必要です。
※目黒・大鳥神社の酉の市の様子はこちら
大鳥神社の七五三
七五三の御祈祷を受けるには、事前に電話で要予約。
御祈祷は30分ごとにおこなわれており、比較的余裕をもって受けられるのは9月から10月上旬となっているようです。
また、七五三や初宮詣(お宮参り)で外部のカメラマンを同行する場合、事前に申請許可を取得する必要があります。
許可していない出張カメラマンの撮影は不可。
知り合いや友人を連れて撮影するのもNGです。
ただし、ご祈祷を受ける本人様と家族、親族の方がお子様の成長の記念として写真を撮影することは可能です。
大鳥神社の「大鳥神社を支える会」
「大鳥神社を支える会(大鳥神社奉賛会)」は、大鳥神社を将来に渡り護っていくための会。
誰でも自由に入会できます。
協賛金(年額)は1口3000円(2024年11月現在)で、公式サイトから申込書をダウンロード・記入し、協賛金と共に社務所もしくは授与所へ申し込みます。
大鳥神社の詳細
大鳥神社へのアクセス
- 各線:目黒駅西口より徒歩7分
- 公式サイト:https://www.ootorijinja.or.jp/
大鳥神社の主な行事・お祭り
- 5月:目黒稲荷神社例大
- 9月:例大祭
- 11月:七五三詣、酉の市
大鳥神社近くのおすすめ神社・寺
大圓寺 | 行人坂の途中にある寺院。たくさんの仏像群、七福神と見ごたえあり。 |
---|---|
蟠龍寺 | 浄土宗の寺院。奥まったところにひっそりとあり、本堂右手奥の岩窟内には山手七福神の弁天様がいます。 |
海福寺 | 目黒区の指定文化財である赤い山門の四脚門は、宇和島藩伊達家から寄進されたものです。 |
五百羅漢寺 | 近代的な外観のお寺。十数年かけ作り上げた仏像彫刻を拝観できる、仏様のミュージアム。 |
泰叡山護國院瀧泉寺(目黒不動尊) | 目黒不動として有名な天台宗寺院。水かけ不動明王や、お堂の後ろも忘れずに参拝したいところ。 |
瀧泉寺三福堂 | 目黒不動尊の境内の近く、元祖山手七福神の恵比須様や大黒天、弁財天を合わせて祀るお堂。 |