警察内部の犯罪に挑む!堂場瞬一「怨嗟の回廊 ボーダーズ5」

堂場瞬一さんの警察小説ボーダーズシリーズ第5作「怨嗟の回廊 ボーダーズ5」。
2026年秋に、沢村一樹さん主演でドラマ化された原作小説です。

このシリーズは主人公を変えて、毎回チームの一人がメインに登場。
ボーダーズ5では、満を期してリーダーであるキャップ結城!

目線は八神ですが、結城の10年間の因縁が物語の肝になっている、ボーダーズシリーズの集大成ともいえる回でした。

岩田警視総監と警視庁SCU(特殊事件対策班)キャップの結城が密かに長年捜査してきた警察内部の犯罪を、八神たちSCUが暴きます。

堂場瞬一「怨嗟の回廊 ボーダーズ5」



目次
・あらすじ
・簡単ネタバレ
・感想
・堂場瞬一さんの(読んだ)作品

 

「怨嗟の回廊 ボーダーズ5」のあらすじ

舞台となる警視庁SCU(特殊事件対策班)は、警視総監直属の組織として、総監からの指令と縦割り組織では対応できない境界線上の事件を扱う部署。

他のどの組織にも縛られずに調査できる反面、あまり好意的には見られていない、なんとも難しい周囲の組織に気を遣う立場でもあります。

主要登場人物は以下↓

結城 新次郎(ゆうき しんじろう)…SCUキャップ。公安出身。
綿谷 亮介(わたや りょうすけ)…人間凶器とも称される武闘派のサブキャップ。
八神 佑(やがみ たすく)…元捜査一課出身の警部補。抜群の目の良さ(観察眼)と直感の持ち主。
麻田 文(あさだ ふみ)…新メンバー。数字に強い。
島野 恭平(しまのきょうへい)…新メンバー。十種競技(デカスロン)をやっていた経歴から身軽。

最上 功太(もがみ こうた)…ITスキルに長けており、サイバー犯罪対策課と兼任。
朝比奈 由宇(あさひな ゆう)…元SCUメンバーの警部補。現在は目黒中央署生活安全課係長。高い指揮能力と仕切り能力でチームの参謀役。

 

事件の発端は、岩田警視総監から警視庁SCUに、豊島中央署の現職刑事で知能犯担当の係長・篠沢についての捜査命令が下ったことから。

さっそく篠沢を張り込むと、家族が暮らす自宅とは離れた場所にマンションを借り、高級車で優雅にドライブ。
銀座の佐藤孝介事務所に出入りしていることが判明します。

さらに署内の様子を知るため、豊島中央署の横井孝信巡査部長に協力を求め密偵役を依頼。
篠沢は「とにかく金遣いが荒い」事で有名で、それは管理職側からも警戒されるほどでした(何かやましいことをやってるんじゃないだろうね?的な)。

篠沢が頻繁に出入りしている佐藤孝介事務所を調べたところ、加納真司が佐藤孝介事務所として法人契約していること以外は不明。
酒井俊二という元ヤクザが出入りしていることがわかったぐらいで、内部が全く見えてきません。

とりあえずどちらかに接触してみようとしたところ、加納真司が何者かに殺害されます。

捜査の指揮を執る特捜本部に八神がオブザーバーとして入り情報収集する中、現場検証終了後にUSBを発見。
そのUSBには、強盗の事件現場と思われる動画が入っていました。

 

それからしばらくして、篠沢の様子がおかしくなり失踪。
豊島中央署員で篠沢を探すなか、藤田哲彦刑事が襲われ意識不明に。

結城はその話を聞くと慌てた様子でSCUを飛び出し、そのまま連絡が取れなくなります。

結城を探し出すためため結城の元奥さんに話を聞くと、元部下で、今は亡き渋谷中央署刑事課の係長だった藤田啓太と仲が良かったことを知ります。

藤田啓太は10年前に奥多摩でツーリング中に単独事故を起こし死亡しており、なんと藤田哲彦の父でした。

 

その後、結城から謎のメッセージが届き、何者かに監禁されていることが発覚。

居場所を突き止めたSCUに救助されますが、数日の入院を余儀なくされることに。

結城は意識が戻ると、岩田総監からの篠沢捜査優先の指示を無視して「篠沢の件から手を引くように」と告げるのでした。

※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。



 

「怨嗟の回廊 ボーダーズ5」の簡単ネタバレ

岩田総監と結城キャップが極秘で捜査していたのは、組織がらみの警察官の不祥事。
警察サークルの一つである五合会による強盗事件(闇バイト)でした。

五合会は50年以上前に発足した神奈川県出身の会。

最初は健全な同郷が集まる会だったが、容疑者への窃盗や脅迫を繰り返していた藤見三郎巡査長が入ったことからおかしな方向に。

藤見は懲戒免職になるも、残ったメンバーが藤見が作ったノウハウを利用して金儲けを始めるようになります。

さらに、違法なやり方をして解体処分された十日会の処罰を逃れたメンバーが五合会に合流。
事件のでっち上げのノウハウが作られ、犯罪による大金を得るようになりました。

とはいえ実際の現場は、加納や酒井などによる一般人が実働部隊として動いていました。

 

そして10年前。

密命を受けて捜査していた藤田啓太を危険視し、2台のバイクを使って交通事故に見せかけて殺害。

物証も証言もないものの、単独事故と考えるには無理がある状況でしたが、五合会のメンバーである当時の奥多摩署の署長・滝本が押し切り事故として処理します。

藤田啓太の密命捜査は結城に引き継がれ、捜査の隠れ蓑としてSCUを創設。
今に至ります。



 

ところが、次第に「警察官が詐欺事件に関わっている」という噂が警察内部でささやかれるように。

実働部隊への指示役である加納が、「何か困ったことがあったら、豊島中央署に駆け込め。篠沢に泣きつけば何とかしてくれる」とほのめかすようになり、危機感を覚えた篠沢は一時的にグループをたたむことに。

加納を殺害し結城を拉致。
藤田刑事(息子)を襲撃したのは、篠沢に命令された酒井でした。

 

SCUは篠沢を呼び出すため、五合会の最年少メンバーである渋谷中央署の古屋を脅して利用。

うまく篠沢を呼び出すものの、裏切ったことに感づいた篠沢によって古屋は射殺されてしまいます。
その後、篠沢は逃げ切れず現行犯逮捕。

そして、篠沢の逮捕で五合会のリーダーが、元外事一課の管理官で10年前に警察を退職した田澤昌栄であることが判明。

田澤は海外で生活し、居場所を特定されないように転々としていることから、結城はSCUを出て外事に移動することに。
シンガポールを拠点に田澤を追うことになるのでした。

 

「怨嗟の回廊 ボーダーズ5」の感想

キャップ結城をメインにした、ボーダーズシリーズの集大成ともいえる話でなかなか面白かったです。

結構ハードな内容でしたが、スイーツ作りというかわいらしいものがでてきて、一瞬、脳がバグりました(笑)。

謎のベールに包まれた結城キャップのベールをはがしていったら、まさかのスイーツ作りがでてくるとは!
誰が予測できたでしょう。

しかも、スイーツの会があるとは、おじさまの趣味の世界もアップデートされてきているんですね。
いいことだ。

 

また、一般の悪党を捜査するのではなく、悪徳警官を相手に捜査するという、警察内部のきわどいやり取りが楽しめた一冊でした。

ただ、これはリアルにあってもおかしくない不祥事だなぁと思えるのが怖い。
現実にないことを祈ります。

 

堂場瞬一さんの(読んだ)作品

ボーダーズ ボーダーズシリーズ第1巻。捜査一課から配属された八神が、とまどいながらも公安の闇を暴きます。
野心 ボーダーズ3 ボーダーズシリーズ第3巻。朝比奈由宇が「ガラスの天井」にぶつかりながら迷い・成長していく姿が描かれています。
夢の終幕 ボーダーズ2 ボーダーズシリーズ第2巻。ITやバイクなどメカに強い最上が、夢を追うバンドメンバーの光と闇に迫ります。


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