堂場瞬一さんの警察小説ボーダーズシリーズ第3作「野心 ボーダーズ3」。
2026年秋に、沢村一樹さん主演でドラマ化された原作小説です。
このシリーズは主人公を変えて、毎回チームの一人がメインに登場。
ボーダーズ3では、高い指揮能力と仕切り能力でチームの参謀役である朝比奈が、爆破事件をきっかけに指揮官の在り方について葛藤する姿が描かれています。
タイトルの「野心」は、犯人の野心と朝比奈の野心。
同じ野心でも、全者はネガティブ、後者はポジティブと全く違います。

目次
・あらすじ
・簡単ネタバレ
・感想
・堂場瞬一さんの(読んだ)作品
「野心 ボーダーズ3」のあらすじ
語り手は、警視総監直轄の警視庁SCU(特殊事件対策班)の朝比奈。
SCUは多様化する犯罪に対応するため新設された、特殊能力を持つメンバー5名で構成される小規模チームです。
結城 新次郎(ゆうき しんじろう)…SCUキャップ。公安出身。
綿谷 亮介(わたや りょうすけ)…人間凶器とも称される武闘派のサブキャップ。
八神 佑(やがみ たすく)…元捜査一課出身の警部補。抜群の目の良さ(観察眼)と直感の持ち主。
最上 功太(もがみ こうた)…ITスキルと車の運転に長けている。
朝比奈 由宇(あさひな ゆう)…高い指揮能力と仕切り能力でチームの参謀役。
警部補に昇進し、研修から戻ってきた朝比奈は、結城から移動の話が来ていることを知らされます。
警視庁初の女性部長という野心と目標から、どうしたいのか1ヶ月考えてみるように言われます。
そこに、捜査二課にいる八神の同期である宮原から、秋山克己(あきやま かつみ)という詐欺師についての捜査を秘密裏に依頼されます。
秋山は5年前に摘発された特殊詐欺グループの主犯とみられていたのものの、確かな証拠や捕まった他のメンバーからの証言がなかったため逮捕できなかった人物。
当時のメンバーを陰ながらサポートしていたようで、再集結して何かやらかそうとしている様子であることから再捜査したいと上司に掛け合うも、許可が得られず。
SCUに相談に来たのでした。
ここでSCUが手を出すと相当面倒なことになりますが、(恩を売ると言った意味でも)引き受けることに。
さっそく朝比奈と八神が張り込んだところ、夕方に外出する動きを見せる秋山。
尾行するもののショッピングセンター内で見失い、しかも爆発事件が発生。
倒れている女性を救助している最中、二度目の爆発が起こり朝比奈は吹き飛ばされてしまいます。
そして気が付くと病院に。
朝比奈は左の鎖骨を折り入院を余儀なくされ、事情聴取で2度目の爆発後に宝石店で強盗があり1億円相当の貴金属が強奪されたことを聞きます。
さらに、爆破現場での対応をめぐって監察官から聴取を受けることになります。
朝比奈が入院している間もSCUメンバーが秋山の張り込んでいたのですが、数日後、秋山が後頭部を拳銃で二発撃たれた死体となって発見されます。
退院後は安静にしていることを指示されるも、肩をかばいながらできる範囲で動く朝比奈。
あいかわらず監察官からのしつこい聴取に引っ張りだされるも、結城が間にはいってかわしつつ、綿谷のネタ元である組員の富島や秋山が数年前に交際していた村井茜などから情報収集にいそしみます。
これといった手掛かりや手ごたえがないことから、詐欺グループで執行猶予判決を受けたメンバー、村上多佳子(むらかみ たかこ)・安塚時央(やすづか ときお)・尾島隆(おじま たかし)に注目。
人手が足りないことから、まずは村上多佳子から張り込んで様子をみることにします。
村上を張り込み中、途中で車に乗ってしまったため足取りがつかめなくなるものの、その車から詐欺グループリストには載っていない朝岡琢磨(あさおか たくま)という人物が浮上。
さらに、秋山の元カノである村井茜の友人である田澤有菜(たざわ ありな)から、秋山の幼馴染である有岡徹(ありおか とおる)の名が。
秋山と有岡はどちらも投資家で、ビジネスパートナーと紹介していた話を聞きます。
とはいえ、有岡の身柄はすでに銀座署の刑事によって確保されていました。
爆発現場の映像カメラに映っていた、大きなバッグを持った二人組の男性をSSBC(捜査支援分析センター)で追跡したところ有岡が浮上。
部屋には犯行に使われたバッグがあり、中に犯行を示す証拠も残されていたことから逮捕されたのでした。
秋山と有岡の関係、そして朝岡琢磨の行方を捜すべく情報収取するSCU。
そこに爆破予告の電話が入ります。
テロリストの要求は有岡の釈放でした。
※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。
「野心 ボーダーズ3」の簡単ネタバレ
渋谷に飛翔弾を飛ばすと脅し、有岡の釈放を要求したのは朝岡と村上。
実行部隊は安塚と尾島。
殺害された秋山と有岡は一緒に犯罪に手を染めてきた幼馴染。
ただ、頭脳派の秋山と肉体派の有岡では金儲けのやり方や考え方が異なることから対立するように。
ショッピングセンター内での爆破事件は有岡が計画・実行したもので、あの日、秋山は有岡を止めに入っていました。
リスクの高い手段を使うなら、これ以上は一緒にできないと秋山に言われ、その後もしつこかったことから射殺したのでした。
「野心 ボーダーズ3」の感想
ボーダーズシリーズの名物シーンともいえるキャップ結城のスイーツ。
事件解決後に渡されていましたが、今回は朝比奈の研修終了の記念としてマカロンが手渡されていました。
めっちゃ食べてみたいと思ったのは私だけではないはずです。
今回のお話は事件よりも朝比奈の行動や心の揺れに重点的にフォーカスが当てられており、女性部長を目指すなかでの葛藤と成長が丁寧に描かれ読みごたえがありました。
自分の行動は正しかったと思いながらも焦りを禁じえず、リーダーとは何なのか、どうあるべきなのかと悩みながらも前を向いて進んでいく姿は、まさに現代の働く女性の姿そのもの。
親近感がありました。
いつかガラスの天井を派手にぶち破ってくれるシーンが読めるのではと楽しみです。
また、今回の事件では結城がめずらしく積極的に!?
そして、綿谷のネタ元である組員の富島が言っていた「まったく新しい組織ができる」という噂。
ボーダーズ5巻の伏線の一つなのかな。
その他、堂場瞬一さんの(読んだ)作品
| ボーダーズ | ボーダーズシリーズ第1巻。捜査一課から配属された八神が、とまどいながらも公安の闇を暴きます。 |
|---|---|
| 夢の終幕 ボーダーズ2 | ボーダーズシリーズ第2巻。ITやバイクなどメカに強い最上が、夢を追うバンドメンバーの光と闇に迫ります。 |
| 怨嗟の回廊 ボーダーズ5 | キャップ結城の10年間の因縁が物語の肝となる、ボーダーズシリーズの集大成ともいえる5巻。 |






