特殊能力を持つ刑事シリーズ第1巻!堂場瞬一「ボーダーズ」

堂場瞬一さんの警察小説ボーダーズシリーズ第1作「ボーダーズ」。
2026年秋に、沢村一樹さん主演でドラマ化(1&2話目)された原作小説です。

このシリーズはドラマ化された2026年秋までに5巻まで出ており、毎回チームの一人がメインに。
記念すべきスタート回では語り手となる八神さん。

捜査一課から警視庁SCU(特殊事件対策班)に移動となり、そのやり方に戸惑う八神。
説明不足で謎に包まれている結城と、特殊能力を持つメンバーと捜査に当たります。

堂場瞬一「ボーダーズ」



目次
・あらすじ
・簡単ネタバレ
・感想
・堂場瞬一さんの(読んだ)作品

 

「ボーダーズ」のあらすじ

語り手は、警視総監直轄の警視庁SCU(特殊事件対策班)に配属されたばかりの八神。

SCUは多様化する犯罪に対応するため新設された、特殊能力を持つメンバー5名で構成される小規模チームです。

結城 新次郎(ゆうき しんじろう)…SCUキャップ。公安出身。
綿谷 亮介(わたや りょうすけ)…人間凶器とも称される武闘派のサブキャップ。
八神 佑(やがみ たすく)…元捜査一課出身の警部補。抜群の目の良さ(観察眼)と直感の持ち主。
最上 功太(もがみ こうた)…ITスキルと車の運転に長けている。
朝比奈 由宇(あさひな ゆう)…高い指揮能力と仕切り能力でチームの参謀役。

 

東京・新橋の銀行で立てこもり事件が発生し、客としてその場にいた藤岡泰(ふじおか やすし)が刺殺されます。

犯人は大手自動車会社の新日自動車の中内伸治(なかうち しんじ)。

すぐに逮捕されますが、どうや銀行強盗が目的ではなかった様子。
人を刺してしまいパニックになり、とっさに女性行員を人質にしてしまったようです。

そして、殺害された被害者の藤岡は、なんと40年前の成田闘争で機動隊員を殺害(代々木事件)して逃亡し、長年公安警察に追われていた人物でした。

結城から藤岡について徹底して調査するように命じられた八神は、住まいである中央区勝どきのアパートに。
ふとんとラジオがあるだけの殺風景な部屋でしたが、そのラジオの中に100万円の札束が入っているのを発見します。



 

中内が少しずつ供述をはじめ、銀行強盗ではなく藤岡の殺害目的であったことが判明した矢先、サイバー犯罪対策課から霞が関など政府や省庁の情報を闇サイトに流している「Z」を特定する作業依頼が入ります。

きっかけは、一種のアジテーターともいえる「Z」の影響を受けた何者かによって、大学教授でテレビなどにも出ている政治学を専門とする朝村教授の家に火炎瓶が投げ込まれたこと。

幸い、地域住民の手助けもあって玄関周辺が焼かれるのにとどまり、防犯カメラから犯人は3人いることがわかります。

1人は竹本雄太(たけもと ゆうた)で、任意での取り調べでは「Zからの話で、朝村教授を危険人物だと断定した」と話しているものの、放火に関しては否定。
また、他の2名については、ハンドルネームしか知らないと供述していました。

被害者である朝村教授の自宅を訪ねると、脅迫メールをもらっていたことを知ります。
ただ、脅迫メールは破棄しており、あまり真剣に受け取っていない様子でした。

 

竹本の取り調べが難航していたことから、八神の提案でリリースして仲間を引っ張り出す作戦に。

すると竹中は、夜中に男性と接触。

車で移動したため後を追うことができなかったのですが、一緒にいた男性は滝田黎人(たきた れいと)という前科持ちであることが判明します。

結城から竹本の周辺捜査をするように指示された八神は、高校卒業後にアルバイトしていたスーパーに聞き込みに。

そこで「俺はZの信者だ。世直しをするんだ」とか「SNSなんかではわからない、本当の情報がある。そういう情報は限られた人間にしかみれない」と、闇サイトに通じていた言動を漏らしていたことを聞きます。

 

再び竹本に動きがみられ、今度は西新宿にあるタワーマンションに。

出入口を張っていると、駐車場から助手席に竹本が座る車が出てきてあっという間に走り去りました。
運転席と後部座席には見知らぬ男性の姿。

ナンバーから照会すると、車の持ち主はタワーマンション16階に住む佐川修斗(さがわ しゅうと)。
フェイスブックから運転していたのも佐川であることが判明します。

さらに部屋を借りていたのは藤岡という驚きの事実もわかるのでした。

※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。



 

「ボーダーズ」の簡単ネタバレ

「Z」とは、藤岡、佐川、滝川など複数人で構成されたグループの事。

藤岡が主に情報を集め、佐川はサーバーの管理や闇サイトへの情報発信を担当。
西新宿のタワーマンションをアジトに、複数の仲間で脅迫をおこなっていました。

中内も脅迫された一人。

しかも、中内自身も若い頃、短いけれども革連協の極左グループで学生運動に加わっていた時期があり、藤岡とは大学の同級生。
藤岡になにかと目の敵にされていました。

とはいえ、すぐに学生運動から抜けて、新日自動車に就職し定年まで勤めるなど普通の生活を送っていたのですが、かつて上司からの命令でリコールになりそうなエンジントラブルを隠蔽したことが。

藤岡はそれをネタに中内を脅迫し、100万を受け取った後、昔の因縁から中内に殺されてしまったのでした。

そして朝村教授も脅迫されていた一人で、それは補助金の不正受給。
ただし、闇サイトでは流れていない、Zたちが掴んでいた情報です。

ところが、なかなか応じなかったことから、Zに感化されていた竹本を利用してみせしめのために放火したのでした。

 

そもそも、藤岡はどこから情報を入手してきたか?

それは公安から。

藤岡はもともと伝説の公安刑事と呼ばれていた元刑事・畑谷のスパイ。

当時、極左の情報収集のために飼われていて一人で、必要あれば違法な事もしていたことから、それがバレるのを防ぐためにも藤岡の逃亡を手助けしていました。

畑谷が引退した後は、同じ公安の後輩にあたる小林や木岡が引き継ぎ、公安の仕事を増やして人数や予算を確保するため、新たな事件を起こす火種にするために利用。
ネット犯罪に注目し、特定秘密保護法違反の運用を担当したいがためにZを立ち上げ、藤岡をその手先にします。

つまり、Zは公安が作ったグループ。

入手した情報を藤岡に流し、藤岡はそれを闇サイトに、感化された者が一般人も見れるサイトに流していたのでした。



 

「ボーダーズ」の感想

こんなことが現実でおこっていたら、とんでもない話です(でも、起こっていてもおかしくないとも思える)。

事件の表面上については、その捜査過程が描かれているのでわかりやすいのですが、細かい部分…深い根っこの部分になると、結城が独自につかんでいた情報から指示が出され暴かれていくと、なかなか込み入った感じ。

元公安の畑谷、そして現職の小林と木岡について、突然出てきて結構大事なところの犯人だったりしてびっくりした。
まだ隠れていたんかいみないな。

ある意味、そうした演出が堂場さんの作品の特徴なのかなぁと思ったりして。

それにしても、謎のベールに包まれていたキャップ結城が、最後に見せたプライベートな瞬間がケーキ作りだったとは!?

それもクリスマス定番のシュトレン!
「日持ちするぞー」のセリフも予測不能でした。

 

堂場瞬一さんの(読んだ)作品

夢の終幕 ボーダーズ2 ボーダーズシリーズ第2巻。ITやバイクなどメカに強い最上が、夢を追うバンドメンバーの光と闇に迫ります。
野心 ボーダーズ3 ボーダーズシリーズ第3巻。朝比奈由宇が「ガラスの天井」にぶつかりながら迷い・成長していく姿が描かれています。
怨嗟の回廊 ボーダーズ5 キャップ結城の10年間の因縁が物語の肝となる、ボーダーズシリーズの集大成ともいえる5巻。


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