理系&文系の大学生コンビによる謎解きミステリーシリーズ第2弾!
三日市零さんの「鬼葛島の殺人」。
京都の無人島でおこなわれた宝探しツアーに参加し、連続殺人事件に巻き込まれる、お約束のクローズドサークルミステリーです。
酒吞童子の伝承を絡めた、実際にあってもおかしくないストーリーなのも好印象。
明らかに怪しい人物がいるのですが、それに惑わされてしまうと本当の犯人が見えなくなる。
真犯人のトリックが見事すぎて、判明した時のスッキリ感&満足感は高い作品でした。

「鬼葛島の殺人」のあらすじ
ある日、大学生の進藤理人(しんどう りひと)は、事件繋がりの知り合いである劇団員から、「月刊バミューダ」の編集長・原田を紹介されます。
原田から京都の無人島「鬼葛島(おにかずらじま)」で行われる3泊4日の宝探しツアーに招待され、友人の柏木詩文(かしわぎ しふみ)と共に参加することに。
鬼葛島は、酒吞童子の伝説と宝が眠るという言い伝えが残る島。
平安期の刀と古地図が発見されたことから、近々国有化される予定となっています。
ちなみに、平安期の刀は初回の宝探しで発見されており、発見者はトレジャーハンター大森。
歴史的な発見をした人物として今や時の人となっています。
ただし、古地図はこっそりと上陸した編集部が偶然見つけた物です。
2回目となる鬼葛島宝探しツアーでは、編集部のスタッフ3名の他、宝探しメンバーが7名の計12名が参加。
3チームに分かれて宝探しを競います。
その中には、前回の事件(魔女の館の殺人)で知り合った小春の姿もありました。
※赤色は前回参加者
Aチーム
大森章吾…トレジャーハンター
高柳孝太郎…西京大学史学部准教授
有村鑑次…古美術鑑定家
※カメラ役:月刊バミューダ編集長・原田
Bチーム
野上彩子…西京大学理学部講師
坂巻志乃…西京大学文学部講師
落合裕也…西京大学院生1年
※カメラ役:月刊バミューダバイト&西京大学3年・矢部実里
Cチーム
進藤理人…明鳳大学理学部2年
柏木詩文…明鳳大学文学部2年
河本小春…桜友大学医学部1年。お金持ちのお嬢様。
※カメラ役:月刊バミューダ編集者・津川
雑誌の企画として安全に考慮しながら始まった宝探しですが、参加者の一人がお面をかぶった何者かに襲われ肩をケガ。
さらに、参加者の一人が首を切られて殺害、続けて毒物による殺害と連続殺人が発生します。
唯一の連絡手段である衛星電話は何者かによって隠され、孤島に閉じ込められた理人と詩文たち。
調べていく中で、初回の宝探しツアーで死人が出ていたことや刀の発見者は大森ではなかったことなどが判明。
そしてある人物の不自然な行動、殺された二人と因縁があることを突き止めるのですが、密室の部屋で自殺してしまいます。
犯人の自殺で決着がついたとして、迎えの船を待ちわびるメンバー。
理人と詩文は、本当の犯人と宝が埋められている場所を見つけるのでした。
※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。
「鬼葛島の殺人」の簡単ネタバレ
今回の事件は、初回の宝探しツアー中に起きた痛ましい事件が発端。
犯人は、月刊バミューダバイト&西京大学3年の矢部実里。
動機は、兄を見殺しにした3人への復讐と兄の名誉回復でした。
宝探しツアー最中に、祠から細長い物体(刀)を最初に発見したのは藤城和馬。
ですが、焦った野上によって落下し大怪我を負います。
そんな藤城を放置し、刀の発見者について取り決める落合・大森・野上。
和馬は死亡してしまいます。
藤城和馬は矢部実里の実の兄で、名字が違うのは両親が離婚したから。
事故時に、矢部がプレゼントしたペン型ボイスレコーダーを藤城が身に着けていたことから事故の時の音声が残り、兄が見殺しにされたことを知ります。
復讐の機会をうかがうなか、落合に目を付けた矢部。
大森に刀の発見を独り占めされ、単なる撮影者に格下げされたこと。
別れ話をしたことで就職推薦枠を反故にした野上を恨んでいた落合を煽り、殺害計画を立てるようにさりげなく誘導します。
さらに、編集部に多額の寄付をして宝探しツアーの開催を仕向けるなど殺人の舞台をセッティング。
実はいいように操られているとは知らない落合は、宝探しツアーを利用して二人を殺害する計画を立てます。
そこで思いついたのが交換殺人でした。
大森は自分の左手に後遺症が残ったのは野上のせいだとして。
野上は自分を振った落合を恨んでいました。
落合は共犯者Xとして二人に接触し交換殺人を持ち掛けます。
大森には、自分(共犯者X)が野上を殺害するから、代わりに落合を毒殺するように。
野上には、自分(共犯者X)が落合を殺害するから、代わりに大森を毒殺するようにと持ち掛けます。
まずは、共犯者Xが実行したと思わせるため自作自演で怪我。
それをみた野上が毒を混入。
野上を殺害。
野上が混入していた毒を飲んで落合が死亡。
つまり、野上を殺したのは落合。
大森を殺したのは野上。
そして最後、カギを使った密室トリックで、矢部が落合を自殺に見せかけて殺害します。
「鬼葛島の殺人」の感想
前回の舞台は館でしたが、今回は孤島。
理人と詩文のコンビのやり取りがテンポよく、ウィットに富んでいて読んでいて面白い。
クローズドサークルでの殺人という暗さがまったく感じられないほど。
しかも、作中にはリアルな謎解き問題が入っている、ユニークな読者参加型ミステリーでした(謎解きは苦手なので読み飛ばしてしまった)。
次々と判明する事柄と、明らかにおかしい行動から「あ、この人が犯人かな?」と自信満々に推理していたのですが、最後に(自殺にみせかけて)殺されてガクッ。
見事、作者様(真犯人)の罠にはまったポンコツぶりを発揮してしまいました。
また、事件は前回の事故に関連したものだろうという予測はつくものの、ほぼ全員アリバイがあるなど推理が難しい。
用いられたトリックが判明した時は「そうきたか!」でした。
交換殺人を用いるのは珍しいことではないですが、それを二重にして利用するというトリックにはぶったまげ!
図解があったので助かりました。
簡単そうに見えて完成度の高い、緻密なロジックのミステリー。
次回作にも期待です。






