コミックバンチから発刊されている灰原薬さんの「応天の門」21巻。
学問の神様と名高い藤原道真と、イケメンで有名な在原業平がコンビを組む平安クライムサスペンスです。
21巻では、百鬼夜行と山で見つかった神馬の謎が解明。
相変わらず大人達のドロッドロの陰謀&政治的駆け引き、足の引っ張り合いがてんこ盛りですが、清和帝と多美子姫のかわいらしいやり取りと、相変わらず天然な長谷雄のボケにほっこり。
ちなみに、WEB漫画「くらげバンチ」で最新話が無料公開されています。

目次
・第114話 内裏にて、青馬節会の催さるる事②
・第115話 内裏にて、青馬節会の催さるる事③
・第116話 内裏にて、青馬節会の催さるる事④
・第117話 門前に仏具の怪の現るる事
・第118話 二条屋敷の怪の事
・番外編
・感想
「第114話 内裏にて、青馬節会の催さるる事②」のあらすじ&ネタバレ
近々開かれる青馬節会にて清和帝に献上する青馬を確認する藤原良相。
準備されている青馬の様子に、「これほど見事な馬は集められまい」と満足の様子。
右大臣としての面子がかかっていることからも、失敗は許されません。
その頃、大学寮では「光り輝く馬=山の神」を見たという言道先生の話で持ち切り。
噂は宮中にも伝わっていました。
そんな中、藤原常行が、検非違使の夜回りの者が馬に踏み殺された話を聞きに在原業平を訪ねてきました。
巷では百鬼夜行の仕業とも言われており、青馬節会が近いことからも、父親である右大臣がピリピリしていると言います。

時は移り、藤原良房の邸で開かれた大饗に集まる高官の面々。
良房はそこで、「珍しいものをお見せしたい」として六頭の白馬を披露します。
自分の屋敷の厩で生まれた若駒で、一度に六頭も生まれるとは吉兆。
そう説明する良房の言葉に、「そんな都合のいいことが…」と言いかける常行を業平が止めます。
盛り上がる高官たちに良房は笑顔で「これも神仏の思し召し、巡り合わせと思うて、すべて帝に献上いたしたい」と言うのでした。
「第115話 内裏にて、青馬節会の催さるる事③」のあらすじ&ネタバレ
藤原良房のあきらかに怪しい白馬に、「なぜ生まれた時に届け出をしなかったのですか?」「どこかから集めたのでは」と問い詰める藤原良相。
良房は「そんなことをする理由がない。生まれた時は芦毛だった」と答え、節会のささやかな前座として、抜け駆けしたと思われぬようにお披露させていただいたと笑いを取るほど。
「あまりいい馬をそろえすぎても、叛意と取られかねませぬからなぁ」との言葉に、良相は言葉を失くします。
青馬以上の白馬を集めたのは、やりたい放題の良相へのあてつけでした。
大饗が終わり客が帰った後、山で白馬が目撃されたことを良房に報告する基経。
その話に良相は、都合よく山の神の化身にされており、馬はしゃべらないことからこのまま放置しておくようにと指示します。
後日、迎えた節会では、藤原良相の青馬七頭も見事だったものの、やはり白馬のインパクトには敵わず。
良房に見事、一本取られた形で終わるのでした。
一方、亡くなった検非違使の衣を預かった在原業平は、その衣が煤まみれであることに注目。
いつぞやの「鹿毛の馬を白く塗って出すわけにはいきませんから」との言葉から、同じく白馬に何かあると疑う藤原常行と共に白馬がいる馬房を訪ねます。
太政大臣(藤原良房)より誰も通すなという命が下っているところを、「叔父(藤原良房)には話を通している」と咄嗟の嘘をついて強行突破。
白馬の毛を触り蹄を調べていると、話を聞いた藤原基経が来たため、「近くで見たかっただけだ」と当たり障りのない言い訳で誤魔化し退散するのでした。
業平はこっそりと蹄をふき取った布を調べると、検非違使が身に着けていた白矢羽が。
検非違使を踏み殺したのは白馬であることを突き止めます。
つまり、どこかで買った白馬を黒く塗り、百鬼夜行に見えるようにして密かに自邸に移したと推理します。

その頃の道真は、「光り輝く馬=山の神を見た」という話を疑ったばかりに、言道先生に山へと連れ出されていました。
もちろん、長谷雄も一緒。
途中、白馬を捕まえて褒美をもらおうとしていた学生2名を捕獲。
山の神を守るため不届き者を一網打尽にするべしと、言道先生と長谷雄は大盛り上がりです。
「第116話 内裏にて、青馬節会の催さるる事④」のあらすじ&ネタバレ
白馬狩りをしていた学生二人に、自分たちが戻るまでそこを動くなと指示(逃げたら馬寮に報告して、大学寮からも破門すると脅し)、先を進む言道先生・長谷雄・道長。
白馬を見たという場所に向かうと、そこで水を飲む馬を発見。
ただ体は汚れ、頭に縄の切れ端、そして足を怪我していました。

道長がそっと近づき撫でると、明らかに人が育てた馬。
馬は突如嘶くとどこかに行ってしまい、残された道長の手には炭がべっとりとついてました。
白馬を捕えてしまうと山を荒らす者が出てくるかもしれないから、このまま放っておくことにした言道先生。
「人の手で育てたのであれば、最後まで責任を持たなければいけないのでは?」と問う道長には「わからん」と即答。
すべて助けなければと考えるのは驕りで、馬も人が恋しければ降りてくると言うのでした。
一方、内裏では、白馬が伊勢斎宮への奉納のため、移動を始めていました。
予定よりも早い奉納に思わず止める在原業平でしたが、藤原基経の「帝の命ぞ」との言葉に下がる業平。
白馬を見送った業平を人気のないところに呼び寄せた常行は、「勝手に動くなよ」と念を押します。
叔父(藤原良房)が親父(藤原良相)を本気でつぶしにきたことから、ここで下手に動けば親父だけでなく多美子の身が危ない。
帝が白馬の奉納を早めたのは馬寮で諍いの種にならないようにとのお気持ちからだと話します。
そして「馬の次は人、高子姫だ」と、いよいよ女御として迎え入れられると告げたのでした。
「第117話 門前に仏具の怪の現るる事」のあらすじ&ネタバレ
山寺にこもる藤原良房のもとを訪ねた大納言の伴善男(とものよしお)。
白馬をうまく調達できたのは伴善男の協力があっての事でした。
「私は良房さまに疎まれておるとばかり」と言う善男に、「そたなは藤原ではないからじゃ。損得をみて動ける男」と答えます。
善男と入れ替わるようにやってきた藤原基経は、良房に大納言になぜ手の内を明かすのかと問い。
「借りを作ったと思っているのであれば、まだわかっていない。この良房に借りを作らせてやった。後々、効いてくるだろう」と意味深に答えるのでした。
その頃、巷では小道具や物が化けて出た話で持ち切りでした。
目をキラキラさせて話す長谷雄を冷めた目でみる道長。
「小道具や物が化けて出るという話は、大事に使えという戒めです」と長谷雄の家に向かいながら話していると、長谷雄の家の前が騒がしい。
厨女のカナメが、割ってしまい埋めた椀が恨んで出てきた、申し訳ないから辞めると泣き叫んでいました。
落ち着かせるため「探してくる」と安請け合いする二人でしたが、今度は道中で「悪霊妖怪は不信心によるもの!」と叫んでいる道士風の男に遭遇します。
「バカバカしい、誰が信じるんですか」とつぶやく道長の言葉を聞きつけた道士風の男は、すかさず反論しますが道長に勝てるわけなし。
「お前は呪われているぞ!犬によってひどい目にあう!」と長谷雄を巻き込んで、売り言葉に買い言葉で噂の真相を調べることに。
妖をみたという者からの目撃証言により、椀や鍋が走っていった屋敷を特定した道長。
そこはいわくつきの屋敷で、先ほどの道士風の男も「近寄るな」と言っていた場所でした。
町中で偶然見かけたあるやり取りから物の怪の正体が何であるのか察した道長は、暗くなった時間帯を狙い、目撃されている場所で待ち伏せます(もちろん長谷雄も一緒)。
と、暗がりから唸り声と共に物の怪が。
叫ぶ長谷雄、用意していたカゴで捕まえる道長。
なんと物の怪の正体は野良犬。
逃げた先はいわくつきの屋敷で、さらにはインチキ道士も勝手に住み着いていたのでした。

「第118話 二条屋敷の怪の事」のあらすじ&ネタバレ
高子姫の側付きの女御である山路が白梅を訪ねてきました。
その要件は屋敷で起こっている怪異。
その怪異の原因はわかっており、清和帝から贈られた竹の箱。
中身を確認するために開けた途端、何かが勢いよく飛び出し、それ以降、赤子のような声が聞こえたり、ふとした拍子に何かの気配がしたり、床下を引っ搔くような音がしたりと妙なことが起こるようになったのです。
誰かのいたずらか呪いか…。
「もしかしたら高子姫が何か知っているのかもしれないから、まずは聞いてみるのがいい」との道長のアドバイスから、白梅も一緒に屋敷に向かいます。
聡明な高子姫はとっさに荀彧(じゅんいく)の話を思い出し、「死ね」ということなのかと受け止めてしまいます。

届けられた竹の箱を調べた道真は、箱の中にあった小さな爪から何が入っていたのかを推測し、白梅に手紙を届けます。
白梅は道真からの手紙を読むと、粉をまき、紐を手に床下に。
そして何やらごそごそしていたら、「捕まえた!」といって出てきました。
その手に握られていたのは子猫。
息がしやすいように竹の箱に入れられていた子猫は、蓋を開けた途端に床下に逃げただけだったのでした。

急いで子猫の手当てをする女房たち。
道真は、竹の箱に爪があったことから子猫かネズミが入っていると推測。
白梅は鰹の粉と紐でおびき寄せて捕まえたのでした。
「なるほど見事じゃ。大手柄であった」と嬉しそうな高子姫。
一件落着とホッとしたところに、藤原基経の来訪が告げられるのでした。
「番外編」のあらすじ&ネタバレ
「宜秋門のあたりに、季節外れのノシゲが咲いたとか」という言葉から、ノシゲを知らない清和帝は興味を持ちます。
見に行きたいと言うと、摘んでくるという侍従。
そこで清和帝はこっそりと一人で見に行くため、多美子姫に協力を求めます。
お休み中という体を装い、こっそりと抜け出した帝は宜秋門に。
無事に戻ってくると「まことに咲いておった!」と大喜びです。

その夜。
吉野にお礼を言う多美子。
実は、吉野にこっそりと清和帝を見守っていてもらっていたのです。
命が縮みましたと疲れ顔の吉野。
多美子は「これ(帝から頂いたノシゲ)は宝物にします」と嬉しそうにほほ笑むのでした。
「応天の門」21巻の感想
あいかわらず内裏がドロッドロすぎる。
そして、藤原良房がしぶとい。
妖怪だなぁ…。
まだ幼い清和帝は大変だなぁと思いつつ、海千山千の猛者たちの中でもまれてきたのか、処世術には長けているような。
白馬の奉納を早めたのが、諍いを避けるためとは…この年齢で!
いつもニコニコしているだけかと思えば、意外としっかりと見ているんですね。
清和帝には、いつまでもほっこりとする優しい笑顔を絶やさずにいてほしい。
番外編の多美子ちゃんとのやり取りが微笑ましい。
最後、高子姫と山路が思い違いしていたことがわかりホッとしたと同時に、あの清和帝がそんなことするわけないやんと大勢の人が思ったはず。
とりあえず子猫ちゃんというかわいらしい贈り物でよかったぁとほっこりしたのだけれども、最後に藤原基経が。
次巻の始まりは嵐の予感しかありません。






