建物に挟まれた奥にひっそりと鎮座する岩亀稲荷(読み方はがんきいなり)は、港崎遊郭・岩亀楼の遊女の静養寮にあったお稲荷さま。
幟がないと見過ごしてしまいそうな場所にある小さなお社です。
その成り立ちから、女性の病の治癒を願うパワースポットとして有名。
ちなみに、粗末にすると災いが起こるともいわれています。
ちなみに、1970年に有吉佐和子さんが書いた、岩亀稲荷と呼ばれるきっかけとなった遊女たちの話「亀遊の死」という短編にも登場。
明治座の「ふるあめりかに袖はぬらさじ(主演・大地真央さん)」の舞台にも取り上げられ、出演される俳優の皆さんも参拝に来ているお稲荷様です。
目次
・歴史とご祭神・ご利益
・行き方と境内の様子
・喫茶店「カルディ」
・アクセス
・近くにある神社・寺
岩亀稲荷の歴史とご祭神・ご利益
横浜港が開港された際、外国人居留地近くの太田屋新田に港崎遊郭が設けられました。
この遊郭の中でも規模が大きかったのが大楼「岩亀楼」でした。
岩亀楼は現在の横浜スタジアムの場所にあり、スタジアム横にある彼我庭園(ひがていえん)は岩亀楼の日本庭園があった場所。
庭園に置かれている、妙音寺(横浜市南区)から寄贈された石灯籠には「岩亀楼」の文字がうっすらと残っています。
岩亀楼は火災や自然災害で場所を何度か移転しており、1872年(明治5年)に高島町に移転した際には、近くに遊女たちが病気療養できる寮を作っています。
そこには、昔から地域住民に信仰されていたお稲荷様が祀られており、遊女たちが病回復を祈願していたことから岩亀稲荷と呼ばれるようになりました。
現在は、近隣の住民で構成された稲荷講によって管理され、毎月25日には妙音寺の住職による読経、毎年5月25日には例祭(奉納祭)が斎行されています。
岩亀稲荷の行き方と境内の様子
最寄駅は横浜市営地下鉄ブルーライン高島町駅。
京浜急行本線戸部駅、各線桜木町駅からも歩いていける距離です。
岩亀横丁の通りの静かな住宅街にある岩亀稲荷は、民家と民家の隙間の奥に鎮座。
細い参道が奥へと伸びていて、民家が近い(いや、民家?)せいか、一瞬入ってよいものかひるんでしまうほど。
とはいえ、幟が出ているので参拝させていただきました。
掃除が行き届いている参道とお社。
お稲荷さんの前にはお供え物がいろいろ置かれており、手入れもこまめにされている様子。
今でも地元の人達に大事にされているお稲荷さんです。
喫茶店「カルディ」
参道の入り口(岩亀稲荷のすぐ隣)には喫茶店「カルディ」。
岩亀稲荷の参拝後、こちらで食事やお茶するのもおすすめです。
もともとはYシャツ屋さんでしたが、現在はカフェ&バーに。
ちなみに、過去には高田純次さんの番組「じゅん散歩」でも紹介されています。
人気メニューのナポリタンをはじめスパゲティグラタン、焼きカレーなど充実し王道喫茶メニュー。
ランチタイムになると、近隣に勤めるサラリーマンや岩亀稲荷に参拝にきた方などで賑わいます。
また、朝はモーニングメニューもあり。

岩亀稲荷の詳細
岩亀稲荷へのアクセス
- 市営地下鉄ブルーライン:高島町駅より徒歩9分
- 各線:桜木町駅より徒歩11分
- 京急本線:戸部駅より徒歩11分
岩亀稲荷近くのおすすめ神社・寺
伊勢山皇大神宮 | 急な坂道を上った先にある、横浜の総鎮守「関東のお伊勢さま」。 |
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野毛山不動尊 横浜成田山 |
徳川家の秘蔵仏である不動明王を祀っています。子神社の兼務社でもあります。 |
伏見稲荷大明神 | 横浜成田山の崖下に鎮座。弁天堂(福満弁財天)と狐塚もあります。 |
戸部杉山神社 | 回る狛ネズミ様とたくさんの打ち出の小槌に出会えます。 |