東京都民の憩いの場の一つ、広大な新宿中央公園の一角に鎮座する新宿十二社熊野神社(読み方はじゅうにそうくまのじんじゃ)。
600年以上前から新宿の発展を見守り続けてきた総鎮守であり、金運・勝負運・商売繁盛・縁結びのご利益で知られるスピリチュアルなパワースポットです。
2011年のサッカー女子ワールドカップで優勝したなでしこジャパンが持っていた「八咫烏守」は有名で、勝負運を求める人に人気のお守りとなっています。
また、金運の象徴とされる白い大蛇が目撃されたことや弁財天も祀られていることから、金運アップのご利益でも注目されています。

目次
・ご祭神・ご利益
・歴史
・表鳥居
・境内
・社殿
・十二社弁財天
・胡桃下稲荷社
・大鳥神社
・御朱印・お守り・おみくじ
・例大祭
・酉の市
・専属写真館「フォトスタジオビレット」
・アクセス
・近くにある神社・寺
 
十二社熊野神社のご祭神・ご利益
ご祭神は、櫛御気野大神(くしみけぬのおおかみ)と伊邪奈美大神(いざなみのおおかみ)。
櫛御気野大神は別名「須佐之男大神(すさのおのおおかみ)」で、商売繁盛と厄除けのご利益を授ける神様。
伊邪奈美大神は家内安全や縁結びのご利益を授ける神様です。
ちなみに本宮の熊野三山は、和歌山にある熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の三社の事。
熊野三山に祀られている十二柱の神様は「十二所権現」と呼ばれており、新宿十二社熊野神社にも祀られています。
いつしか十二所の「所」が「社」に変化し、その読み方も「じゅうにそう」になったそうです。
十二社熊野神社の歴史
創建は室町時代。
商売や開拓で成功したことから中野長者と呼ばれていた鈴木九郎が、故郷である紀州の熊野三山より十二所権現を勧請したことによります。
九郎は地域の開拓とともに、産土神である熊野三山より若一王子宮を祀ったところ家運が上昇し、中野長者と呼ばれる資産家にまで出世。
1403年(応永10年)には、熊野三山の十二所権現すべてを祀ったと伝わっています。
当初は「十二所(じゅうにしょ)」と呼ばれていましたが、次第に「十二社(じゅうにそう)」に。

江戸時代になると熊野十二所権現社と呼ばれるようになり、境内西側に農業用のため池が作られ、十二社の池や滝が流れる景勝地として、周辺には料亭や茶屋が並ぶ花街に発展。
多くの人が訪れて賑わい、歌川広重が池の景色を浮世絵にも描いているほど。
幕府による社殿の整備や修復もおこなわれ、八代将軍徳川吉宗が鷹狩の際に参拝しています。
また、当時の歌舞伎役者が千客万来を祈願し参拝していたことから、芸能関係者間にも人気です。
明治維新後に、櫛御気野大神・伊邪奈美大神を祭神とした熊野神社に改称。
新宿の総鎮守として今に至ります。
十二社熊野神社の表鳥居
最寄り駅は都営大江戸線の都庁前駅。
A5番出口を出て、緑豊かな新宿中央公園の奥に鎮座しているアクセス良好な場所にあります。
車なら十二社通りから入ります。


鳥居の右側には、1851年(嘉永4年)に建てられた記念碑「十二社の碑(新宿区指定史跡)」。
池や滝を擁した十二社の池が、江戸西郊の景勝地であることが記されています。
その他、境内には多くの石碑がみられます。


十二社熊野神社の境内
鳥居をくぐった左側には、神社の宮神輿(一之宮神輿・二之宮神輿)と町神輿(大人神輿と子供神輿)が保管されている神輿蔵。
宮神輿は3年に一度の例大祭で巡幸されます。
神輿蔵の前は数台とめられる駐車場になっているのか、七五三で参拝されていたご家族が利用されていました。



参道の正面には社殿。
左側には神楽殿と手水舎。
手水舎では時折、熊野地域特産の石で時節にちなんだイラストが作成されていることもあります。


右側には東神門と社務所。
東神門のところにある社号碑には「郷社 熊野神社」と刻まれており、広いスペースにはベンチが置かれ、奥には境内社の十二社弁財天・胡桃下稲荷社・大鳥神社が鎮座しています。



十二社熊野神社の社殿
社殿の両サイドには狛犬と灯篭。
灯篭のてっぺん見られる鳥は八咫烏でしょうか?
足元には干支がぐるりと彫られていました。





扁額の文字は「熊野神社」。
有栖川宮幟仁親王(ありすがわのみやたかひとしんのう)が書かれた文字です。
社紋は左三つ巴(ひだりみつどもえ)。

拝殿内には、1773年(安永2年)に歌舞伎役者の吾妻富五郎と大谷谷次が奉納した大絵馬「七人役者図絵馬(新宿区指定有形文化財)」と、当時の熊野三山の風景が描かれた「熊野三山絵馬」、上部に式三番の図が描かれている奉納額「式三番奉納額(新宿区指定有形文化財」が掲げられています。
「七人役者図絵馬」には、桜の大木の下に扮装姿した7人の人気歌舞伎役者(大谷谷次・大谷広次・市村亀蔵・大谷永介・大谷仙次・吾妻富五郎・尾上民蔵)と十二支の動物が描かれています。
十二社熊野神社の十二社弁財天
社殿右側、神門の近くに鎮座する十二社弁財天には、弁財天を祀る社につきものの神池があり、その先にはミニ滝も。
橋を渡った先に弁天社が鎮座しています。



十二社熊野神社の胡桃下稲荷社
かわいい前掛けをかけた狛狐が上下2段になって守る胡桃下稲荷社(くるみがしたいなり)。
ご祭神は、五穀豊穣・商売繁盛の宇迦之御魂神です。




胡桃下稲荷社の右側には、元治元年(1864)に延命陀羅尼経を唱えたことを記念した記念碑「延命陀羅尼二千一百万遍読誦碑」。

十二社熊野神社の大鳥神社
熊野神社の前には、1727年(享保12年)に奉納された一対の石造狛犬(新宿区登録有形民族文化財)。
お腹の下がくり抜かずに残されている珍しい狛犬です。




大鳥神社近く、本殿側には、1820(文政3年)に奉納された、新宿区指定有形文化財工芸品の「太田南畝(おおた なんぽ)の水鉢」が。
狂歌師である大田南畝(蜀山人/しょくさんじん)の書による銘文が刻まれています。


十二社熊野神社の御朱印・お守り・おみくじ
御朱印やお守りは、社殿向かって右側の建物。
御朱印では通常御朱印の他、例大祭や七夕、茅の輪、こいのぼり(こどもの日)など季節限定御朱印、御朱印帳も用意されています。
通常御朱印は直書きですが(お正月は書置き)、限定御朱印は書置きです。
お守りでは熊野神社御守や学業成就、厄除御守、肌御守、ペット御守、縁結び御守、貝守り、八咫烏守り、わらべ御守、病気平癒御守など多数あり。
また、おみくじでは八咫烏の入れ物に入ったおみくじが人気で、こちらは専用のざぶとん(別売り)も。
座布団は神職の皆さんが作っているため、品切れになってしまうこともあるそうです。
ちなみに、古いお札やお守り、神棚などの返納は社務所で受け付けており、焼納代は3千円からです(2025年11月現在)。


十二社熊野神社の例大祭
例大祭は9月。
宵宮と大祭とあり、両日とも屋台あり。
3年に1回の表祭りで宮神輿が渡御し、裏祭りの2年間は各町ごとに行われる各村神輿渡御または連合渡御がおこなわれます。
近年の表祭りは2025年(令和7年)におこなれ、高張提灯・手古舞を先導に宮神輿(一之宮・二之宮)が新宿駅東西を巡行しました。
十二社熊野神社の宮神輿の担ぎ方は他と異なり、「千鳥担ぎ(ちどりかつぎ)」と呼ばれる珍しいスタイル。
花棒を肩に入れるのではなく首の後で受け止め両手を添え、小刻みに足踏みしながらちょこちょこ摺り足で進みます。
さらに、笛や拍子木ではなく「チャンチキ」という金属製の打楽器を使い、「ちょいさー、ほいさー」の掛け声と共に進みます。
2025年の例大祭では、当日のみアクセスできるURLとQRコードが公開され、宮神輿の位置がリアルタイムにわかるようにされていました。
十二社熊野神社の酉の市
例年11月の酉の市では、花園神社・成子天神社と供に「新宿酉の市」を開催。
十二社熊野神社では露店は出店されていませんが、神職手作りの熊手が授与されています。
また、酉の市限定御朱印が頒布されています。
新宿十二社熊野神社専属写真館「フォトスタジオビレット」
お宮参りや七五三などの写真撮影では、専属の神社写真館(ビレット、新田写真)が対応。
それ以外のプロカメラマンの撮影は不可となっています。
新宿十二社熊野神社専属の新田写真では、衣装選びから着付け、ヘアメイクまで徒歩3分の場所にあるフォトスタジオビレットで完結。
提供しているプランにはデータ納品だけではなく、さまざまな商品・サービスが含まれており、家族の記念にピッタリです。
十二社熊野神社の詳細
十二社熊野神社へのアクセス
- 都営大江戸線:都庁前駅より徒歩4分
 - 都営大江戸線:西新宿五丁目(清水橋)より徒歩6分
 - 公式サイト:https://12so-kumanojinja.or.jp/
 
十二社熊野神社近くのおすすめ神社・寺
| 出雲大社分祀 | 新宿住友ビルの入口に鎮座。大国主命と龍蛇神を祀り、向かいには恋弁天があります。 | 
|---|---|
| 銀世界稲荷神社 | 素敵な名前のお稲荷さん。梅の季節の風景は美しいです。 | 
| 成子天神社 | 1100年の歴史がある天神様。七福神や富士塚、うそどりみくじなど見どころあり。 | 
| 常圓寺 | 江戸三大桜の大枝垂桜が見事。境内には日蓮宗常泉院の鬼子母神が祀られています。 | 
| 成願寺 | 特徴的な山門(竜宮門)が目を引く寺院。中野長者伝説で有名。 | 






