「夜は短し歩けよ乙女」や「熱帯」で知られる森見 登美彦さんの「シャーロック・ホームズの凱旋」。
キャッチコピーは「天から与えられた才能はどこへ消えた?」
スランプに陥ったホームズとワトソンが、「ヴィクトリア朝京都」という架空の京都を舞台に大迷走。
「シャーロック・ホームズ」シリーズのメアリ・モースタンやアイリーン・アドラー、モリアーティ教授などが個性豊かなキャラクターとして登場する、前代未聞の「世にも奇妙なホームズ譚」です。

「シャーロック・ホームズの凱旋」のあらすじ
第一章は、ホームズと同じ下宿先に引っ越してきた、大学の応用物理学研究所の教授ジェイムズ・モリアーティとのやり取り。
モリアーティ教授もスランプ状態で、ホームズと意気投合し仲良くなります。
第二章は、舞台女優を電撃引退したアイリーン・アドラーが探偵として活躍。
ワトソンとレストレード警部の行動から推理対決をすることになります。
第三章では、世捨て人のようにマスグレーヴ邸に引きこもったホームズを追いかけ、そこでレイチェル・マスグレーヴの失踪の謎「東の東の間」に迫ります。
第四章では、モリアーティ教授と引き換えにレイチェル・マスグレーヴ嬢を救出。
ホームズはアイリーン・アドラーの下につき、抱えていた依頼をすべて片づけると引退宣言をします。
第五章では、マスグレーヴ邸の「東の東の間」における怪奇現象を収束するため、ワトソンがロンドン世界に飛び込みます。
※ここから下はネタバレです。
「シャーロック・ホームズの凱旋」の簡単ネタバレ
架空の京都とロンドンと2つの世界を舞台にしたファンタジー。
そこに不思議な空間「東の東の間」が加わります。
語り部は、京都とロンドンのワトソン。
京都のワトソンは、ホームズのスランプに振り回されながら「東の東の間」の謎に近づき、その真相を知ります。
奥様のメアリはアイリーンアドラーの助手になるなど、実際の「シャーロックホームズ」のストーリーとはかけ離れた内容で物語が進んでいきます。
ロンドンのワトソンは、メアリが病気で亡くなったのをきっかけにホームズとは疎遠になり、屋根裏部屋でホームズが活躍しない物語(架空のヴィクトリア朝京都という場所におけるホームズの物語)執筆する事でうっぷんを晴らしていました。
「東の東の間」が京都とロンドンを繋いでいたようで、ワトソンが「東の東の間」の怪奇現象に飛び込んだことでロンドンの自分に。
モリアーティー教授とホームズが同一人物とわかった時に、再び京都に戻ります。
つまり、第一章から第四章まではロンドンの下宿屋の屋根裏部屋で執筆されていたホームズ譚。
第五章から先は京都の診療所の書斎で書かれたホームズ譚です。
「東の東の間」を挟んで二つの世界を行き来することによって「シャーロック・ホームズの凱旋」は生まれたのでした。
「シャーロック・ホームズの凱旋」の感想
映像化・舞台化された著書も多数あり、第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビューした作家さんらしい内容でした。
一人一人が魅力的な登場人物で存在感を高く、実際のシャーロックホームズ作品のキャラ設定と比べて読む面白さがあります。
ただ、ロンドンが現実なのかと思いきや、最終的には京都と二転三転。
「ロンドンは幻ではなかった」というヴィクトリア女王の言葉に再度混乱。
京都とロンドン、どちらが現実なのかごっちゃになりました。
幻想的なストーリー展開であるものの、混沌とした世界観にはちょっと読みにくさも。
小説で読むよりも、漫画やアニメーションによる映像作品向けで見てみたい作品だなぁとつくづく思いました。






