原案はコナン・ドイル、構成は竹内良輔、漫画は三好輝による人気ダークミステリー「憂国のモリアーティ」。
23巻の表紙はシャーロックの相棒であるジョン・H・ワトソン先生です。
ユニバーサル貿易社事務所のドタバタ引っ越し、「飴」の実態に迫るためダーレムの使者と接触するヘルダー、ウィリアムが背負う責任など、点と点がつながり形が見えてきました。
最後、犯罪卿の復活を目論む不穏分子がいよいよ表立った動きをみせ、仇敵の姿も!?
もしかしてウィルを利用して大英帝国を混乱に巻き込もうとしているのはもしかして…な23巻です。

目次
・#92 交差する思惑 第三幕
・#93 嘘と嘘 第一幕
・#94 続・技師の親指
・#95 嘘と嘘 第ニ幕
・#96 嘘と嘘 第三幕
・感想まとめ
「#92 交差する思惑 第三幕」のあらすじ&ネタバレ感想
明日の引っ越しの準備がまったくできていないということで、夜を徹して全員でとりかかるウィリアムたちMI6。
「自分の指揮ではいまいち引き締まらない」として、引っ越し作業の指揮をウィルにお願いするルイス。
ウィリアムの的確でスマートな指示で、急ピッチで引っ越し作業がおこなわれます。
それぞれの性格を表した片付け風景に、コミカルなやり取りがほほえましい。
進捗の確認に来たウィリアムに、「外での活動(情報収集の密命)をやめてもらいたい」とストレートに伝えるルイス。
犯罪卿の復活を企てる者にルイスが狙われることを恐れてのお願いでした。
そんなルイスにウィリアムは「義務だと思っている」と。
ただ、心配する気持ちはわかるので、とある教え子の結末を見届けたら終わりにすると約束します。

そして、なんとか荷物をまとめて新しい住居に運んだ一行。
荷ほどきの前に、ヘルダーの提案で皆で写真撮影をおこないます。
1枚目はウィリアムをのぞいて。
2枚目はウィリアム、アルバート、ルイスの三人で。
「未来のために」というアルバートの言葉がとても印象的でした。
「#93 嘘と嘘 第一幕」のあらすじ&ネタバレ感想
コナン・ドイル(ワトソンのペンネーム)の大ファンである洋装店の経営者・テイラー卿に、小説には書けなかった犯罪卿の本当の最期の話をするホームズ。
貴重な話を聞けて嬉しそうに帰っていくテイラー卿の後ろ姿を見送りながら、「大の噂好きで、上流階級・中流階級にも顔が広いから、すぐに広まるだろう」とうなずきあう二人。
ルイスの家を出たホームズが街を歩いていると、近くお世継ぎが誕生するジョージ王子の話が聞こえてきます。
ジョージ王子は2番目の王子。
兄のヴィクター王子は2年前に病で亡くなっており、王の器として不安視されていたのですが、犯罪卿(ウィリアム)の計画によって混乱したロンドンを立て直した手腕で市民から高く評価されていたところでの病死(なんか怪しい…)。
ジョージ王子の父親は女性スキャンダルが多いことから市民からの評価は低く、さらにジョージ王子自身にはまだ実績のないことから不安視されていました。
まぁ、女好きのスキャンダル親父をみていたら不安にはなりますね。
でも、ヴィクター王子の評判のよさとホームズの印象との違いが気になります(伏線か!?)。

市民から、「あんたのおかげでこの国は救われた。モリアーティを闇に葬ってくれた英雄なんだから!」と声を掛けられるホームズ。
犯罪卿の復活を企む奴らにウィリアムを利用させないためにも、「悪魔はこの手で始末しといたから安心しろ。モリアーティは死んだ」と嘯きます。
その時、どこからか聞こえた「お前を許さない」。
自分に言われたのかとハッとしますが、振り向いたところには誰もいませんでした。
おおっ、走り去る馬車に黒幕が載っていたのかな!?
一方、(個々の部屋はまだですが)事務室をなんとか仕事ができる状態に整えることができたウィリアムたち。
さっそく拘留中のゲラルトに面会したヘルダーが、「飴(薬)」の組織とのコンタクト方法について報告します。
ゲラルトは帝国内に存在する地下組織、現ダーレムの諜報員。
捕まって動けないゲラルトの代わりに、定期報告がおこなわれているフェンチャーチ・ストリート駅からでる月曜と木曜の最終列車にヘルダーが代理で行くことになったと。
その補佐として、パターソンを指名するウィリアム。
パターソンが選ばれたのは、飴(薬)の拡散場所としてパターソンの故郷であるバーミンガムの製鉄所が関与しており、また地元に多少のコネがあることからでした。
そして電車に乗り込む二人。
待てども誰も姿を見せないことから「騙されました?」と不安になり始めた頃、フードを被った女性が所定の場所に座りました。
覚えのある香水に誰だかわかったヘルダー。
以前、一緒に技師を助けた帝国陸軍の女性、エリーゼでした。
「#94 続・技師の親指」のあらすじ&ネタバレ感想
ヘルダーを見て驚くエリーゼ。
警察に拘留されているゲラルトの代理として、ダーレムの使者(=エリーゼ)に会いに来たと説明します。
自然と話は出会った時の事件について。
旧研究所は火災事故の後に組織解体され、優秀な研究者達は秘密裏に帝国軍で吸収し、表向きは自然科学のための民間研究所として存続していると話すエリーゼ。
親指を損傷した技師(ハザリー)を非難させた後、軍記に反しているとしてスターク大佐を弑逆した自分に処罰はなかったが、これがその結果(ダーレムの管理人)であると。
さらに、あの工場で修理した大型水圧機は半クラウン銀貨(偽金)を作っていたという話に、遠くの席でこっそりと耳をそばだてていたパターソンが反応します。
怪しまれないようにパターソンが先に列車から降り、車内にはエリーゼとヘルダーの二人だけに。
薬(飴)による英国の現状を報告するとともに、ヘルダーはこの状況を利用した提案をします。
パターソンと合流したヘルダーは、パターソンが列車を下りた後のこと…エリーゼに「ゲラルドを切って自分を使わないか?」と提案した話を伝えます。
使える人材であると証明することができれば、必ず乗り換えると自信満々です。

一通りヘルダーの説明を聞いたパターソンは、親指を失った技師(ハザリー)を知っているかと尋ねます。
なんとハザリーが警察に駆け込んだ時にパターソンもその場におり、ブラッドストリート警部と一緒に現場に行っていたのでした。
建物に入ったパターソンは、その異様な間取りと設備から、ここはマナーハウスに偽装した工場だと気が付きますが、すでに偽銀貨は何者かに持ちされていて一枚もなし。
騙されていたと憤慨するハザリーですが、窓の近くに切り落とされた自分の親指を見つけると、目に涙を浮かべながら「自分を助けてくれた美しいドイツ人女性と、たった一夜の陽気な友人に礼をいいたい…」といいます。
その言葉に「…ハザリーさん…」とつぶやくヘルダー。
偽銀貨はかなり精巧な造りで、本物の貨幣や貴金属に換金し、どこか安全な場所に隠しているはず。
その金額は、飴によって経営難に陥っている製鉄所の買収が可能な額になっているのでは…と二人は推測します。
「#95 嘘と嘘 第ニ幕」のあらすじ&ネタバレ感想
次の行動に移るべく駅で別れた二人。
パターソンはEFS社を張り込んでいるボンドと合流します。
モランも合流する予定でしたが、犯罪卿の名を語る偽物を始末するMI5の仕事が入ったため急遽変更。
なんと今回のターゲット(偽物)は98人目!
いつのまにそんなにいたんですかと。
しかも、MI5では有無をいわさず抹殺ですが、MI6では最近になって「犯罪卿の復活を企てる者を哨戒せよ」と警戒を促す指令がでています。
そのことから、イエス・キリストの復活に真似て、ウィリアムを担ぎ上げるのではと不安視するボンド。
ボンドの考察はほぼほぼ当たっているようで、パターソンは「ルイス様とアルバート様もそれを懸念している」と打ち明けます。
なぜなら、ずいぶん前からウィリアムが行方不明になった付近では土が掘り返されたり、ホームズが生還すると病院のカルテや宿の名簿が紛失するなどの事例が警察内部に報告されていたから。
それが1週間前から一連の妙な動きがピタリと止まったことから、いよいよウィリアムの生存の事実が察知された可能性が高くなったとして警戒を強めることになったと話します。
と、EFS社に一台の立派な馬車が。
身なりから買収の交渉人らしいのですが、滞在時間は思ったよりも短く、見送りもなし。
早々に交渉が決裂したようで、「見上げた根性しているよ、あのタヌキ社長。自力での立て直しは無理なのに…」とほめているんだかけなしているんだかわからないボンド。
工場の就業時間が過ぎたため、一旦その場を離れる二人。
向かった先は、パターソンおすすめカレーのおいしいお店。
話題は自然と、ウィリアムについて。
ルイスとアルバートが心配しているのは、ウィリアムを奇跡の存在として崇拝対象にする可能性。
犯罪卿の行いは正しいものだったのではないかと問われかねないというものでした。

と、突如、外が騒がしくなり、こんな時間にも関わらず新聞各社から号外が出たことを知る二人。
その内容は、死んだとされる犯罪卿(ウィリアム)の声明文と、名探偵シャーロックホームズからの告発文でした。
「#96 嘘と嘘 第三幕」のあらすじ&ネタバレ感想
号外に掲載された犯罪卿(ウィリアム)の声明文には「かりそめの平和は終わる。ここ大英帝国を地獄の底に叩き落とし、犯罪国家にする」。
ホームズからの告発文には「犯罪卿は復活し、世々限りなく生きる」。
さらにホームズの告発文には「ユアン・フォスター・スチール社(EFS社)で事が起こる」と書かれていたことから、急ぎ戻るボンドとパターソン。
ウィリアムとホームズが紛い物(偽物)を誘き出すためにやったのではなく、逆に身を隠しているウィリアムを炙り出す為に紛い物(偽物)がやったのかと考察します。
問題のEFS社に着くと、そこには大勢の記者と野次馬。
そして追い払うべく声を張り上げる社長の姿が。
少し遅れてホームズとルイスも到着すると、ホームズは告発文の投書を否定し、集まっている記者や野次馬に「とっととホームズが記事を否定したと書け」と帰るように促します。
ところが、「ホームズさんの告発文は嘘でも、犯罪卿の声明文が嘘か本当かはわからない!」としぶとい。
そんな声に、「あなた方は犯罪卿に戻ってきてほしいのですか?」と静かに問いかけるルイス。
その問いに「そんなわけあるか」と怯みますが、一人の青年が「俺は戻ってきてほしい」と声を挙げます。
底辺の労働者は誰かの駒と考えている奴(経営者や上級国民ですね)は犯罪卿に殺されればいいと、自分の悲痛な現状と供に言いきります。

そこに、今度はテイラー卿が到着。
先日、ホームズから聞いた犯罪卿の最後を伝え、投書が真っ赤な嘘であることを力説します。
なにが本当でなにが嘘なのかわからなくなった記者と野次馬は「これ以上ここにいても無駄」と帰り支度を始めるのですが、突如、いくつもの叫び声が敷地内から響き渡ります。
ただ事じゃない雰囲気に、ホームズとルイスは敷地内に。
そこでホームズは複数人が血を流し倒れているところに出くわします。
一方、ルイスが向かった先には、犯罪卿の復活を願うと言っていた青年の姿が。
青年は、「犯罪卿が復活すれば、もう一度世の中をめちゃくちゃにしてくれる。今回のクライアントはそれをご期待のようだ」というと逃走します。
ルイスは、死んだミルヴァートンがかつて新聞を使って世論操作をしていた事、そこにいる青年がミルヴァートンの雇われ衛兵で対峙したことがある事を思い出したのでした。
感想まとめ
ついに事態がうごいてきなぁと感じる23巻でした。
MI6メンバーの考察や説明が多い回でしたので、理解の整理にちょっと苦労(老化…)。
でも、コミカルなやり取りも適度にあり面白く読めました。
エリーゼの登場にはびっくりしましたが、無事だったのはよかった。
てっきり始末されたのかと思っていました(21巻参照)。
最後、気になる黒幕がチラリと描写され、さらに久しぶりに登場したミルヴァートンの元雇われ衛兵が「今回のクライアントは」とヒントをくれています。
この衛兵とは、12巻で戦っていますね。

黒幕は死んだと思われたあの方かな?
偽装は難しくないだろうし。
それとも、ミルヴァートンのかつての忠実な部下かな?
偽の声明文通りに事件が起きてしまったので、犯罪卿の復活が大々的に広まるのは必須。
次巻ではどうなるのか楽しみです。






