大学生作家コンビが謎に挑む!楠谷佑「案山子の村の殺人」

東京創元社の「案山子の村の殺人」は、作中の大学生コンビ推理作家のペンネーム楠谷佑で出版されているミステリー小説です。

秩父の山奥、大雪により村全体が閉じ込められるクローズド・サークルでの殺人。

田舎の暮らしを体験するべく旅行で来ていたコンビミステリー作家で、従兄弟同士の大学生男子・理久と真舟が、推理の基本であるフーダニット、そしてハウダニットも絡めつつ謎を解いていきます。

舞台となる村の描写はとても丁寧で、自分もそこにいるかのよう。
さらに案山子の魅力についても触れており、作中に出て案山子の村が実際にあるなら見てみたいと、ちょっとした観光気分が味わえました。

楠谷佑「案山子の村の殺人」

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ノンフィクション風!下村敦史「ネタバレあり 双紋島の殺人」

下村敦史の小説「ネタバレあり 双紋島の殺人」は、冒頭で7つのネタバレが明示されているメタミステリー。

よくある「読者への挑戦状」ではなく、真相解明のため読者に推理を求めるために刊行された小説…という体で読み進めていきます。

事件に巻き込まれたミステリー作家・三雲梟馬(みくも きょうま)が実際に体験した、嵐に閉ざされた絶海の孤島「双紋島」で起きた未解決連続殺人事件。
の顛末が記されている(あくまでも作中での)ノンフィクションノベル。

冒頭に7つのネタバレが提示されているのにはちゃんと意味があります。

リアルな読者体験に近い形で読み進めていくことができる小説。
一読者として自分も「謎をといてやる」と意気込みながら楽しめた本でした。

下村敦史「ネタバレあり 双紋島の殺人」

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ガラスの天井をぶち破れ!堂場瞬一「野心 ボーダーズ3」

堂場瞬一さんの警察小説ボーダーズシリーズ第3作「野心 ボーダーズ3」。
2026年秋に、沢村一樹さん主演でドラマ化された原作小説です。

このシリーズは主人公を変えて、毎回チームの一人がメインに登場。
ボーダーズ3では、高い指揮能力と仕切り能力でチームの参謀役である朝比奈が、爆破事件をきっかけに指揮官の在り方について葛藤する姿が描かれています。

タイトルの「野心」は、犯人の野心と朝比奈の野心。
同じ野心でも、全者はネガティブ、後者はポジティブと全く違います。

堂場瞬一「野心 ボーダーズ3」

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実話をモデルにしたホラー小説!加門七海「祝山」

禁忌の山でおこなった肝試しを発端とする怪奇と恐怖を描いた、加門七海さんのホラー小説「祝山(いわいやま)」。
2026年夏に橋本愛さん主演で映画化された原作本です。

なんと、呪術や民俗学に造詣が深い加門七海さんの実話がモデル。

足を踏み入れてはならない場所に遊び半分で入り込んだ友人たちに降りかかる異変や災いが描かれており、派手な演出がない分、その怖さはより際立っています。

夜遅い時間に、部屋で一人で読んでいると怖さマシマシ。
「祝山」の本当の意味を知った時、身近な恐怖を感じる一冊です。

加門七海「祝山」

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DVをテーマにしたミステリー!佐野 広実「シャドウワーク」

江戸川乱歩賞作家、佐野広実さんの「シャドウワーク」。

DV(ドメスティック・バイオレンス)をテーマにした小説で、2025年にWOWOWで多部未華子さん主演で連続ドラマ化され、2026年9月には吉岡里帆さんと奈緒さんのW主演で映画化された原作本です。

DV夫から逃れるため江ノ島近くにある個人運営のシェルターに身を寄せた主人公の紀子と、同じ警察で働く夫からDVを受けた薫の二人の目線で語られていきます。

ちなみに「シャドウワーク」の意味とは、オーストリアの哲学者であるイヴァン・イリイチによって提唱された、社会や経済の基盤を支えるのに必要不可欠な労働なのに無報酬である労働を指す造語。

また、スピリチュアルや心理学における「シャドウワーク」では、スイスの心理学者カール・ユングが提唱した、自分自身の認めたくない部分や抑圧された無意識(シャドウ=影)に向き合い、それを受け入れて統合する作業をいいます。

まさにこの小説本にピッタリなタイトルです。

佐野 広実「シャドウワーク」

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