「変な家」「変な絵」に続く「変な」シリーズの3冊目、双葉社から出版されている「変な地図」。
主人公はあの栗原さん。
祖母が亡くなる際に手にしていた謎の地図を調べるべく現地に向かうと、不可解な人身事故に遭遇。
地図の解明のはずがトンネル工事の対立や、今はない集落の悪しき慣習にまで及び、亡き祖母の壮絶な過去にいて知ります。
図解やイラストがたっぷりと使われているので情景がイメージしやすく、随所に散りばめられた違和感がしっかりと回収されていく非常に面白いミステリー作品でした。
本には、「何かがおかしい? 特大考察マップ」と「変なしおり」付き。
巻末二次元コードから特典ページにアクセスでき、「雨穴による朗読動画」(40分)、「雨穴×栗原さん 裏話トーク」(全8話)、「雨穴になれる変なフリーペーパー」、「2026年も福を呼ぶ! 雨穴小さい人形」などの特典も楽しめます。

「変な地図」のあらすじ
大学生の栗原が父親から、祖母(知嘉子)が住んでいた家の処分について相談されたのをきっかけに、祖母が正体不明の古地図を握りしめて不審死を遂げたこと、そして亡き母がその理由を探っていた事を知ります。
その古地図は、7体の妖怪が描かれている不気味なもの。
これはいったい何なのか。
なぜ、祖母は死に際にこんなものを持っていたのか。
残されていた祖母と母の手記から、地図の場所はR県の沿岸部にかつて存在した河蒼湖集落と母娘山であることが判明。
栗原は現地に向かいます。
現地に向かう電車の中で警察官の帆石水あかりさんに助けられ、さらにはあかりさんの両親が運営している民宿に泊まることに。
そこでこの辺り一帯の権力者であり鉄道会社の会長・矢比津啓徳の存在を知ります。
翌日、電車に乗って元集落に向かおうとする栗原ですが、その電車が人身事故を起こしてしまいます。
亡くなったのは鉄道会社の社長・大里幸助。
時を同じくしてあかりさんの父親が姿を消します。
地図の謎を解くだけでなく、あかりさんの父親の行方、母娘山の工事トラブルについても調べることになるのでした。
※ここから下はネタバレです。
「変な地図」を読んで(ネタバレ含む)
「変な地図」は、沖上喜見子さんの手記が冒頭に出てお話が進みます。
またプロローグ的に、電車にひかれて死んでしまう社長(大里幸助)の描写があり、なかなか迫真に迫っていて怖い。
たくさんの謎が散りばめられていますので、たびたび読み返すことも。
イラスト入りで本当に良かったと思いました。
鉄道会社の社長の人身事故や、母娘山の工事を巡る対立など、一見地図の解明とは関係のない話が続くのですが、これらはすべて地図につながっていました。
手記の沖上喜見子さんはあかりさんのおばあさんで、栗原の祖母である知嘉子さんの妹であるなど驚きのつながりが。
そして主役の地図は、知嘉子さんが描いたものでした。
エイジング加工で古く見せて量産。
古い男尊女卑による慣習によって追い詰められた、女性陣によって作られたものだったのです。
一見、おどろおどろしい絵ですが、意味が分かると怖くない。
地図に描かれている妖怪のような絵の正体は「花」を描いたもの。
知嘉子さんの願いが込められた、村を脱出させるための隠されたメッセージでした。
ただ、喜見子さんには伝わらず、追い詰められて大きな罪を犯してしまうですからやりきれない。
そんな妹の状況を知った知嘉子さんのショックは相当なものだったでしょう。
喜見子さんと知嘉子さんの集落の悲劇が、巡り巡って矢比津が隠す秘密につながり、大里さんを殺すことになり、あかりさんのパパが脅されて片棒担がされると見事につながっている。
頑なにトンネル工事をさせない理由はなんだろうと頭をひねっていたのですが、事の真相に「そうきたか!?」と。
あかりさんのご両親はどちらも罪を犯してしまうので、事件解決後が気になるところでしたが、今は幸せに暮らしているとの記述。
あかりさんも職場の同僚の方と結婚を控えているとのこと。
こんな書き込みを見ると「これって実話なのか?」とも思えますが、実在するかのようなドキュメンタリー風の表現なだけでフィクション。
ノンフィクションではないようです。






