お洒落な表紙が目を引く深木 章子さんの「猫には推理がよく似合う」。
タイトルと表紙通り、猫のスコティが推理を披露します。
スコティに関する描写が詳細で、まるで目の前にスコティがいるよう感じられ、本当にこんな猫ちゃんがいたらいいのにと妄想させられました。
猫が推理する話なのかなと思いきや、他作品でもお馴染みの睦木弁護士が華麗に推理・解決。
軽い気持ちで読んでいたら、とてつもないオチが待っていました。
まさに仕掛け満載の本格ミステリです。

「猫には推理がよく似合う」のあらすじ
地方から上京してきた椿花織は、会社でおきた不愉快なトラブルから退職。
さらには入院・治療と続けざまに不運に見舞われていたところ、友人から田沼清吉法律事務を紹介されます。
その事務所には、田沼清吉弁護士の亡くなった奥さんがかわいがっていた猫(スコティッシュフォールド)のスコティ(本当の名前はひょう太)が住んでおり、その面倒を見るのも仕事の一つ。
ネコ好きの花織は喜んで引き受けます。
お世話をするうちにスコティが喋れる猫であることがわかり、仕事の合間に楽しくおしゃべりするように。
話題はもちろん、先生の依頼者やハンサムなエス・ケイ工業総務部の澤さん、そしてミステリー談議。
スコティはミステリーが好きで、自分で考えたミステリーを花織に披露します。
そんなある日、スコティが推理合戦を仕掛けてきます。
「もしいま先生が殺されて金庫の中身が盗まれたら、犯人は誰だと思う?」
金庫に入っているのは5カラットのダイヤ、資産家の遺言書、失踪人の詫び状、12通の不渡り手形。
怪しい依頼人たちを容疑者に、あれこれと妄想を膨らます1人と1匹でしたが、その最中、本当に事件が発生。
花織が背後から誰かによって頭を殴られ、気を失っている間に5カラットのダイヤが盗まれるのでした。
事件解明に乗り出したのは、田沼清吉弁護士がかつて研修時代に指導した睦木弁護士。
睦木弁護士は入院している花織から話を聞き、花織が欠かさず書いていた手記をもとに事件の様相を暴いていくのでした。
※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。
「猫には推理がよく似合う」のネタバレ
第一部は椿花織目線で。
第ニ部は睦木弁護士目線で語られます。
実は、花織は統合失調症。
現実と妄想がごっちゃになってしまうことから、たびたびトラブルを起こしていました。
それが原因で地元から出てきたのですが、再びトラブルを起こし入院治療。
その後ぶらぶらとしていたところ、友人から田沼清吉弁護事務所を紹介され働くように。
もちろん、田沼清吉弁護士は事前に調査をして大体は把握していました。
つまり、猫のスコティがしゃべるのも花織の妄想。
とはいえ、花織が殴られたのは現実の事。
花織を殴ったのは、エス・ケイ工業の横領事件で消えた社員を告訴する準備をしていた澤さん。
その狙いは5カラットのダイヤ(といっても人造ダイヤ)。
実は、消えた社員の不正経理をネタに澤さんが恐喝していたから。
耐えきれなくての逃走でした。
自分(澤さん)も関与していることを上層部は気が付いているのか探るため、横領事件相談先の田沼清吉弁護事務所に盗聴器を仕込み、そこから5カラットのダイヤがあることを知り犯行に及んだのでした。
誰もいない時間帯を狙って侵入したのに、なぜか花織がいて、しかも間が悪いことに花織は絶賛スコティと推理合戦中(もちろん妄想です)。
「澤さん!」と叫んだものだから、見られたと勘違いした澤さんが花織さんを殴ったのでした。
「猫には推理がよく似合う」の感想
確かに、しゃべる猫なんたいるわけないんですよね。
それこそファンタジー小説になるわけで…。
「すべては妄想か」と思いきや、そこに事件が隠されていて、それが結構奥が深い。
妄想話の中に恐ろしい犯罪が隠されていて、それを理論的に解明していく様子は面白かったです。
花織が勝手に勘違い(澤さんが自分を好き)していくのには違和感を感じましたが、まさかそれが伏線だったとは!
とはいえ、花織が依頼人を容疑者に推理を展開していくのは、ちょっと読んでいてきつかった…。
容疑者が変わるたびに似たような状況説明、考察がされていくので。
犯罪だけならたいして面白くもないですが、そこに花織の妄想をからめて展開していくストーリーは読みごたえあり。
どこまで妄想で、どこが現実なのと読むのにも熱が入りました。






