因縁の砦編完結!日向夏「薬屋のひとりごと」17巻

日向夏による大人気ライトノベル。
構成・七緒一綺先生、キャラクター原案・しのとうこ先生、作画・ねこクラゲでコミカライズしたビッグガンガン連載「薬屋のひとりごと」。

子の一族の反乱を鎮圧し、猫猫を救出すべく正体を明かして禁軍を動かす壬氏。
楼蘭、翠苓、子昌、神美のこじれにこじれた悲しい過去と思惑が交差し露見します。

原作小説第4巻のクライマックスである「砦編」の完結巻です。

また、表紙の猫猫が手にする手紙は本作の最後に渡される手紙。
3人の新しい旅立ちを象徴していて切ない。

まさに17巻の公式キャッチコピー「いつの日か、再会を願って…」にピッタリのデザインです。

日向夏「薬屋のひとりごと」17巻



目次
・82話 奇襲作戦
・83話 事の始まり
・84話 狐につままれた
・85話 休息
・感想
 

「82話 奇襲作戦」のあらすじ&ネタバレ感想

皇弟として禁軍を率い、砦に攻め込む壬氏(華瑞月)。
高順(がおしゅん)の息子・馬閃(ばせん)がそばにつき従っています。

今回のことで壬氏(じんし)の正体が知れ渡り、李白も口にださなくてもびっくりしている様子。
李白の「おとなしくしてくれると助かるのだけれども…」という思いもむなしく、壬氏は砦のなかにズカズカと入っていきます。

その理由は、猫猫の救出。

表向きは、漢大尉(羅漢)の娘を救出しないと大変な事(厄介な敵)になるというもの。
ですが、真意は別。

この時点では、まだ李白は猫猫が羅漢の娘だとは気が付いていません。

 

一方の猫猫は、窓から禁軍の突入を確認。
この部屋にいない方がいいと思いつつも、服毒し動かぬ子供たちを見捨てることができずにいました。

そこに扉を蹴飛ばして入ってきたのが壬氏。
無事に保護してもらいます。

追いかけてきた兵士が「東宮!」と呼ぶと、「今は東宮ではない。皇子が生まれた」とピシャリと返す壬氏。
その言葉で、猫猫は玉葉妃が無事に出産したことを知ります。

日向夏「薬屋のひとりごと」17巻

 

李白に猫猫を任せ、その場を離れる壬氏。
猫猫が羅漢の娘であることを知り驚く李白ですが、すぐに納得します。

そして、「怪我とかやめてくれよ」と猫猫に大きな怪我がないか確認。
羅漢が猫猫を心配するあまり戦場についてきて、(まともに運動ができないから)ぎっくり腰になって動けなくなっているからなんだとか。

ベッドに横たわる子供たちを見た李白は、「このまま放置するのもあれだからか」と外套で包み外へと運び出すのでした。

李白の優しい人格がにじみ出ているシーンでした。

 

「83話 事の始まり」のあらすじ&ネタバレ感想

壬氏たち一行は、大広間に立てこもる子昌を制圧。

追い詰められた子昌が、「ふむ、これで終わりか。もう少し時間があればな」と手にしていた拳銃を手放し兵士たちによって刺殺されます。
その一連の様子がどこか芝居じみているように感じる壬氏。

さらに進むと、違和感を覚える部屋が。
そこで隠し通路を発見するのですが、そこには拳銃を構える楼蘭(子翠)が待っていました。

「この先の隠し部屋に翠苓姉さまとお母さま(神美)がいます。探しているのはそれですべて?」と問う楼蘭。
壬氏の「ああ」との言葉から、父(子昌)が亡くなったのを知り悲しげな表情を浮かべます。

 

楼蘭が壬氏と共に部屋に入ってきたのに驚愕する神美。
そんな神美に楼蘭は「お母さまの望みを叶えるためについてきてもらいました」と、余興として昔話を始めました。

大人の女性に興味をもたない息子(先帝)のため、後宮に美女を送り込んでいた先帝の母(女帝)が、子の一族の長に、上級妃にする娘を一族から差し出すように指示。
長の娘である神美が質にとられたことから、奴隷交易を縮小せざるをえなくなるものの、それでも奴隷の海外流出が減りません。

そこで子昌(本家の養子)は、女帝に取り入り子の信用を回復させ、後宮に差し出された神美(婚約者)のもしものための逃げ場として、若い女性や去勢された男性たちを後宮で保護することを提案します。

「そんな話は信用できない」と、翠苓の母を娶った子昌を批判する神美。
翠苓が鳳凰の銀細工を持っているのを見た壬氏は、翠苓が皇族であることに気が付きます。

実は翠苓の母は先帝の娘で、先帝の頼みで娶った妻でした。
見返りとしてどんな願いも叶えると言われ、神美の下賜を願いました。

 

そんな話はデタラメだ、当主の座が欲しかったから私を娶ったと頑として聞き入れない神美。
楼蘭は「でも結局、一族の者はお母さまに媚びを売っていたじゃないですか。そのどれもが愚か者でしたが」とバッサリ。

「本気で官軍に勝てると思ったのですか?」という言葉に、楼蘭から拳銃を奪い取る神美。
なおも挑発する楼蘭の言葉に、思わず引き金を引きますが、銃は暴発し神美は倒れます。

どうやら、楼蘭は銃に詰め物として、わざと神美に撃たせたようです。

 

楼蘭は2つの願いを聞いてほしいと、壬氏に一枚の紙を渡します。

紙に書かれている内容は今後この国に起こりうることで、その際には子の一族は障害になる。
けれども、(名を捨てたものも含み)一度死んだ者は見逃してほしいと。

もう一つの願いをというと、楼蘭は壬氏の顔を爪でひっかき、「父さま以上の役者になれるかしら」とバルコニーに。

そこに馬閃が兵と共に入り、悪女のように高らかに笑う楼蘭に発砲。
楼蘭は階下に落ちてしまうのでした。

日向夏「薬屋のひとりごと」17巻



 

「84話 狐につままれた」のあらすじ&ネタバレ感想

テントで傷の手当てを受けた壬氏は、猫猫がいる馬車へと向かいます。
そこには、外套で包まれた子供たちも一緒でした。

壬氏が怪我をしていないか触れると、目を覚まし「何をやっているのでしょうか?壬氏さま」とナメクジを見るような顔をする猫猫。

と、壬氏の顔の怪我に気が付き、その雑な縫い方にやり直しをしたくても、猫猫自身が疲労で断念。
「わざわざ危ない場所に行って怪我をされると、周りが迷惑するんですけど」というと、「怪我をするつもりなかったが、妙な約束をしてしまったからな」と答える壬氏。

「妙な約束」とは楼蘭が壬氏にお願いしたことですね。

 

「俺は傷一つで価値がなくなるような男か?」と問う壬氏に、「前より男前になったではありませんか」と魅力的にほほ笑む猫猫。

我慢でなくなった壬氏が猫猫に迫った時、外套で包まれた子供たちが息を吹き返し始めました。

「この子たちが虫であれば冬を越せたのにね」と言っていた楼蘭の言葉を思い出した猫猫。
自分はこの時のために連れてこられたのだと理解します。

 

その様子をみていた壬氏も、楼蘭の「一度死んだ者は見逃してほしい」という真意に気が付きます。

「狐につままれたようだ」とつぶやく壬氏に、「なにやってんですか!」と温かいお湯や食べ物、衣類を持ってくるように急かす猫猫でした。

 

時は新年。
皇子を産んだ玉葉妃が后となったこともあり、都はお祭りムード。

猫猫はお役目御免となり、古巣の薬屋に。
そこには、趙迂(ちょうう)の姿が。

子供たちは皆息を吹き返し、趙迂はやり手婆のところに。
他の子どもたちは、翠苓も含めて阿多妃のもとに引き取られました。

養父である羅門(るぉめん)、その優秀さからそのまま宮廷出仕。

そして、猫猫のもとには小蘭(しゃおらん)からの手紙を持った赤羽(せきう)が訪れ、小蘭が二人(猫猫と楼蘭もとい子翠)が突然いなくなったことに落ち込んでいた事、後宮を出た後は下級妃のもとに出仕することが決まったことを伝えます。

渡された手紙は猫猫宛てと子翠宛ての二通。
「いつかあいたいな」という言葉に、波がこぼれる猫猫。

子翠(楼蘭)の遺体はいまだ発見されておらず、雪が溶けたら再び捜索すると聞いていた猫猫は、ずっと見つからないことを願うのでした。

日向夏「薬屋のひとりごと」17巻

 

ごろ寝から起きた猫猫は、新しい薬を試すも、長年の蓄積で痛覚が麻痺しているから、もっと切らないとわからないなぁとナイフを取り出す猫猫。

その時、「何をする気だ?」とあきれたような声が。

そこには壬氏と高順、もみ手をするやり手婆がいました。

 

「85話 休息」のあらすじ&ネタバレ感想

子の一族の処刑や人事、北の領地が国の管轄と忙しかったことからも、お疲れ気味の壬氏。

「約束を果たしてもらおうか」と、氷菓(アイス)の材料を壬氏がそろえた(※13巻)際の約束を果たすように猫猫に要求。

簪を身に着ける約束でしたが、その簪は子翠(楼蘭)に渡して手元にありません。
それならば仕方ないともう一つの約束である「話を最後までちゃんと聞く」を守ってもらおうとしますが、すでにバレている(壬氏が皇弟であること)のでこれもまた無効。

「代わりに別のでも」という猫猫に、少し考えた後、猫猫にかみつく壬氏。
そのまま迫るも、趙迂がトカゲを手に飛び込んできてまたうやむやに。

「なんでその兄ちゃん、床にはいつくばってんの?」と不思議そうにする趙迂に、「お疲れなんだよ」と答える猫猫でした。

寝床を用意するといっても動かず、猫猫の膝枕で寝てしまう壬氏。
「足がしびれるなぁ」と薬を作りながらされるがままになるのでした。

 

ところ変わってどこかの港町。

「これって蝉?」と店主に聞く女性は、子翠(楼蘭)。

手持ちのお金がないのか、持っている簪と物々交換すると、嬉しそうに船の方へと走っていくのでした。

日向夏「薬屋のひとりごと」17巻




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感想

水面下がじわじわと進んでいた陰謀が、ついにクライマックスを迎えた巻でした。

タヌキ親父は実はかわいそうな人だったんだなぁと。
しかしまぁ、人物相関図がだいぶこんがらがっているのには、読んでいるこちらも大変だった(歳なので理解力が低下)。

最後、子翠(楼蘭)の元気が姿が描かれているのは、「よかったねぇ」としか言えない。
今後、猫猫と再会することもありそうで楽しみ。
小蘭もでてくるかな!?

また、壬氏の身分が明かされたことから、猫猫とは今後どのように接していくのが気になるところ。

たま~にいい感じになる、主に壬氏の方が片思いっぽいのがまたなんともいえない。
二人の今後に期待です。

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