ドラマ「ハイド&シーク」原作小説!今村昌弘「0秒前の彼女」

今村昌弘さんの「0秒前の彼女」は、陰謀&逃走劇サスペンス・ミステリー。
ドラマ「ハイド&シーク 0秒前の彼女」の原作小説です。

ドラマ放送後に発売され、ドラマと原作ではストーリー展開が異なると同時並行で楽しめる内容になっています。

事の発端は爆破テロ事件。
爆破テロ事件で亡くなった恋人からのSOSの電話を受けた公安捜査官の津倉勇一が、公安、警察、政治団体「リヴ・コモンズ」、協創党を相手に真相を探ります。

今村昌弘「0秒前の彼女」



目次
・あらすじ
・あらすじ(続き)
・簡単ネタバレ
・感想
 

「0秒前の彼女」のあらすじ

津倉勇一(つくら ゆういち)は、表向きは週刊「羅針盤」の遠藤達弘として生きる公安捜査官。

謎に包まれている協創党の支援団体「リヴ・コモンズ」のメンバーである斉藤の取材中に爆発事件が起こり負傷。
なぜか近くに恋人の高木紗奈(たかぎ さな)もおり、爆発に巻き込まれて死亡してしまいます。

爆発の前日に協創党に「血が贖う」と書かれたメッセージが届いていたこと、公安刑事である津倉がその場にいた事から容疑者として疑われ、上司の柊管理官の指示で一時的に海外に身を隠すことになる津倉。

すぐに動ける状態でなかったことからも、気が付いた時にはすでに紗奈の葬儀は終わっており、マスコミからもマークされているため紗奈の家族に会うこともできずに海外に。

 

1年後、上司から渡された携帯に紗奈から着信。
「助けて」という切羽詰まった声に、上司が止めるのも聞かずに密入国で日本に戻ります。

まずば自宅に様子を見に行くと、自宅はなぜかそのまま借りられている状態。
ただ、警察が押収し戻したとみられる段ボール箱のガムテープがはがされた跡があり、誰かが侵入していた様子。

そこに、再び紗奈から着信。
電話からは激しい衝突音が聞こえるなど尋常ではない様子。
すぐに切れたと思ったら、どこかの田園風景の写真が送られてきます。

そこに、紗奈の弟・翔太がスタンガンを片手に部屋に。
部屋は翔太が保持しており、設置した監視カメラから津倉が戻ってきたのを知り駆けつけてきたのでした。
紗奈を殺したと誤解していた翔太でしたが、紗奈からの電話の声が本物だったことから、津倉に協力して紗奈を探すことに。

 

写真から場所を割り出し向かった先は郊外の古びた一軒家。

家の前には場違いな車が停まっており、入ると頭から血を流した男の死体が。
携帯していた身分証から、警察官の大沼であることがわかります。

ゴミ箱には「裏切りは許さない」とかかれた大量のルーズリーフが捨てられて庵、デスクには精神系の本、大沼の体の下には誰のかはわからない携帯が。

遠くからパトカーの音が聞こえたことで、嵌められた事に気がつきその場を急いで離れます。
そして、柊上官の部下として新しく配属された白鷺に助けられ脱出します。



 

白鷺に案内された隠れ家で、爆発後、紗奈に似た女性が津倉に駆け寄っていたという目撃談があったことを聞き、搬送された病院で手違いがあったのではなと疑う津倉と翔太。

白鷺と一緒に病院に行き医師に確認するも、遺体の間違いはない様子。
決定的だったのが、意識を失う寸前に「ひゅういちくん」もしくは「ゆういちくん」と言っていた事。

気落ちしながらも院内のカフェで、拾った携帯の電源を入れると、GPSトラッカーから通知が。
それを追いかけたことで、車椅子に座る紗奈を見つけます。

が、ニット帽を被った知らない男性が「京佳は返してもらう。Xデータが目的の貴様らとは違う」と紗奈を連れて行こうとします。
駆け付けた警察官に、車椅子を押していた女性が「あっちに逃げました」と誘導した隙を狙って、津倉は紗奈を連れて逃げます。

白鷺の運転する車でなんとか逃げ切った津倉は、ニット帽の男がリヴ・コモンズの幹部の兵頭であること、またリヴ・コモンズのリーダーが女性だと目されている事、八木班がXデータに関する情報を集めている事を知ります。

 

紗奈はまだ記憶が混雑している様子でしたが、生きていたことに喜ぶ津倉と翔太。
頃合いを見て、付き添っていた女性は紗奈を治療してくれていた井原先生であることなど、家にいた頃のことを少し聞き取ります。

ところが翌朝に目覚めると白鷺と連絡がつかず、紗奈の姿もなし。
やられたと気がついた時はすでにマンションには警察が。

なんとか警察の包囲網をかいくぐって逃げた津倉と翔太は、周りが敵だらけなら、同じ目的を持つリヴ・コモンズと手を組むべきとして接触を試みます。

なんと翔太は、捨てられたトラッカーを兵頭と格闘した際に洋服に忍び込ませており、それを利用してリヴ・コモンズの隠れ家を突き止めるのでした。

※ここから下はさらなるあらすじが続きます。



 

「0秒前の彼女」のあらすじ(続き)

リヴ・コモンズに接触した津倉と翔太は、反発しながらも兵頭と協力体制を築くことに成功。

そこでリヴ・コモンズのリーダーが京佳と呼ばれる女性で、津倉が取材していた斉藤は組織を裏切る可能性が高いことから監視対象になっており、取材日は京佳が監視していたことを知ります。

さらに、協創党は数年前の選挙の際には、得票のための自作自演の爆破テロをリヴ・コモンズに依頼。
京佳(紗奈)は拒否するものの、爆弾を作れる理系大学博士課程の男が作ってしまい、期日前投票で惨敗の可能性が高ければ実行するとなってしまいます。

結局、期日前投票は優勢で自作テロは行わずに済んだのですが、制作者の男性が大学のトラブルが原因で自殺してしまい破棄するのが困難に。

何者かによって持ち出され、それがあの日の爆破で使われてしまったのでした。

 

津倉は結婚指輪にデータの隠し場所が示されているかもしれないとして、事件で引き取らないままでいた貴金属店に行くと、そこには井原の姿が。
井原は何者かの監視下に置かれている様子です。

津倉と紗奈のぺリングは、紗奈の希望もあってヘルメスの杖が刻印された男性用リングとネックレス。
そのネックレスには、「2人の幸せを願って」と彫られていました。
聞くと、後から追加されたのだとか。

別れ際、井原に紗奈の味方なのかと尋ねると、「味方ではない。でも、紗奈さんみたいに裏切りたくはない」と答え、「二人で一つ」と意味深な発言をして去っていきます。

 

ペアリングに書かれていたメッセージに紗奈が監禁されていた家に精神系の書物、紗奈が子供の頃に話していた不思議な夢などから、「紗奈は二重人格なのでは」と推測する津倉。

メッセージの「二人」とは二つの人格で、爆破事故をきっかけに人格の切り替えがうまくできなくなり井原が治療。
二人の人格を隠すため、八木班は紗奈が死んだと偽装したと読みます。

ところが、紗奈と知り合った日は選挙の日だったことを思い出したことから、二重人格ではなく、二人は双子だったことに気が付きます。

その日は自作テロが実行されるかどうかで京佳は事務所にいたので、津倉と一緒にいる暇がない。

という事は、一年前の爆破テロ事件では、どちらかが確実に死亡しているということ。

一卵性の双子だから判別ができなかったとして、生きてるのはどちらなのか?

紗奈であったほしいと願う津倉と翔太、そして京佳であってほしいと願う兵頭で衝突します。

 

さらに、自宅に取り付けていた監視カメラの映像から、段ボール箱を開けた不審人物が柊で会ったことが判明。

柊から疑われていたことを悟った津倉は、柊に「Xデータが見つかった」と嘘をついて改修工事中のビルに呼び出すのでした。

※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。



 

「0秒前の彼女」の簡単ネタバレ

公安、政治団体「リヴ・コモンズ」、協創党と出てきて、誰が味方で敵なのかがわからない状況のなか、紗奈を中心に二転三転と物語が進んでいきます。

ざっくりとまとめると以下↓

津倉…表の顔は新聞記者で、本当は公安捜査官
紗奈…養護施設出身で介護職。京佳とは双子の姉妹
翔太…紗奈と同じ擁護施設出身で、同じ里親のもとで育つ

・公安
八木…柊の不祥事を隠蔽するために動く
白鷺…実は八木の指示のもと動いていた
柊…津倉を爆破テロ事件の犯人と疑い、自分の失点をカバーするためいろいろとやらかす

・警察
江田…大沼の上司で、津倉を追いかける
大沼…白鷺に頼まれて紗奈を救出しようとして殺される

・リヴ・コモンズ
京佳…リーダーで紗奈の双子の姉妹
兵頭…サブリーダー的存在。失踪した京佳を探している
斉藤…組織を裏切る可能性が高いとして監視されていた
西畑…実は紗奈と京佳の母親

その他
井原…柊の元不倫相手。柊から頼まれて紗奈の治療にあたる
羽場…協創党の党首。紗奈と京佳の父親

 

事の発端は、妊娠した西畑を羽場が捨てたことから。

西畑は一度は産んで育てようとしますが、生まれたのが双子であることから心が折れてしまい二人を手放してしまいます。

紗奈は養護施設に預けられ、そこで育った翔太と共に心優しい夫婦に引き取られます。

一方、京佳はとある夫婦に引き取られますが、父親は働かず何かと手を挙げるようになり、それに疲れた母親は家を出てしまうと壮絶な日々を送ります。
そうしたことから、弱者を救う活動に関わるように。

 

そして今から3年前。

リヴ・コモンズの創設者が紗奈の介護を受けたことから、紗奈と京佳は出会います。

それまで意識を通じて存在を感じていた二人はすぐに意気投合し、夢でしか見ていなかった二人の人生を共有するため、時折、入れ替わるようにも。
津倉とのお付き合いでも入れ替わっており、津倉が見たアザもそれゆえでした。

結婚を機に入れ替わりを終わりにするつもりでおり、ブレスレットに刻まれていた「2人の幸せを願って」は紗奈と京佳の事でした。

 

そして1年前の爆破テロ事件が起こる直前、斉藤を監視していた京佳は津倉が公安であることを知り、紗奈に連絡。

紗奈がその場に駆け付け、爆破に巻き込まれて一方が死亡。

もう一人は怪我を負い、運ばれた病院で柊に目を付けられ監禁されます。



 

この爆破テロ事件の犯人は紗奈と京佳の母親である西畑。
動機は、かつて自分を捨てた羽場への復讐です。

西畑はリヴ・コモンズで京佳と出会い、自分がかつて捨てた子だと気が付きますが、その事は黙ったままサポートに力を注いでいました。

ところが、規模が大きくなり羽場と関わるようになるものの、羽場は忘れているのかまったく気が付かず。
羽場がどんどん出世していく様子に恨みを募らせると同時に、京佳に備わっているカリスマ性が羽場譲りであることを嫌悪。

協創党に「誰かの血縁者が犯人である」事を匂わせる「血が贖う」とメッセージを送り、リヴ・コモンズが作った爆弾で事件を起こすことで京佳を犯人に仕立て、テロを起こした京佳の父親は協創党の党首である羽場と暴露することで、羽場の社会的地位の崩壊と京佳から羽場譲りのカリスマ性を失くすことを狙って起こしたのでした。

そうすることで、京佳に自分に似た部分だけが残ると考えていたのです。

 

ところが、計画では京佳は殺さないはずだったのか怪我を負って病院に運ばれ、柊に拉致されてしまいます。

西畑は京佳を見つけるため、世間に知られと協創党だけでなく与党も危ないという噂をつけてXデータなるものの存在を匂わせます。

過激組織と協創党の羽場が親子であることは毛髪などで調べることができるで、それをマスコミにリークする予定でした。

つまり、Xデータは京佳と羽場の親子鑑定データ。
いうなれば京佳自身でした。

京佳も紗奈もこれについては知らず、八木たち警察上層部は京佳の身柄を確保しておけば鑑定されずにうやむやにできるとして、白鷺をスパイとして入れて連れ去ったのでした。

 

柊が京佳を連れさったのは、爆破テロ事件が起こった際、津倉を犯人と疑ったからです。

病院で京佳(紗奈)がうわ言で津倉やリヴ・コモンズのことをつぶやいていたのを聞き、さらに津倉への疑惑を深め、自分の出世に関わると恐れ京佳(紗奈)を監禁し津倉は国外に。

部下(津倉)による失態をカバーするためXデータについても聞き出そうとしますが、京佳(紗奈)は目の前で双子の片割れが亡くなったことにショックを受け精神が不安定に。
そこで、昔付き合っていた井原に治療をお願いします。

つまり、京佳(紗奈)が言っていた一軒家にたびたび様子を見に来ていた大家さんとは柊の事。
大沼は白鷺に頼まれ救出しに行き柊に殺害されたのでした。

柊は自Xデータを見つけるため津倉を利用。
が、それに気が付いた津倉に呼びだされ、そこで爆発事故が起こり死亡します。

その爆発事故を起こしたのも西畑でした。

 

津倉は京佳が紗奈のフリをして自分を利用したと思い、白鷺の元から自力で逃げ出した京佳(紗奈)からの電話に、「お前は誰だ」といって突き放してしまいます。

が、井原から二人の話を聞いたことで考えを改め、京佳(紗奈)を助けに。

西畑が仕組んだ羽場の記者会見で爆弾を爆破させようとしていた京佳(紗奈)でしたが、テレビを通じて「俺には君が誰だかわかった。二人と過ごせた日々幸せだった」と。
二人で話した憧れの場所で待っていると伝えるのでした。

そして事件後、公安を辞めて憧れの場所で待ち続ける津倉のもとに、京佳(紗奈)が戻ってきます。

ただし、京佳と紗奈、どちらなのかははっきりとは明記されずに終わります。



 

「0秒前の彼女」の感想

ドラマと小説では登場人物が異なり、ストーリー展開もまったく違うとどちらも楽しめます。

小説の方では、ストーリーが進むにつれて人間関係が複雑になり、裏切りや思い違いなど目まぐるしい展開。
スピード感がありました。

 

京佳と紗奈の母親である西畑の犯罪が核になり、柊さんは巻き込まれて犯罪を起こしてしまっているわけですが、津倉を信用していればおこらなかった殺人事件でもあったわけです。

そこが残念だったなぁと。
部下を信じ切れなかったかぁ…。

公安の八木と白鷺の動きは、さすが公安というべきか。
わかってたんかい!?と突っ込んでしまったし、江田に「沼田を殺害した犯人は…」と教えている展開にびっくりしました。

以後、江田は静かに。
最後に協力してくれたのも、八木ちゃんの暴露があったからかぁと。

それにしても、沼田さんの印象操作にはすっかり騙されていました。
見方が変わるとこんなにも印象がかわるんだなぁと再認識したほどです。

女性と金にだらしない感じだったのが、女性に弱いいい奴になりましたから。

 

そして、紗奈と京佳が二重人格だったと思ったら、実は双子と展開。
生き残ったのがどちらなのかは気になるところ。

最終的に読者に判断をゆだねて終わったため、読み直して推理するなど楽しめました。

私的には、やっぱり生き残ったのは京佳かなぁと思いつつも、二人の意識共有が深すぎて、本当のところはわからなくなってしまったでいいかなぁとも思いました。



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