まるでコントな殺し愛!?藤石波矢&辻堂ゆめ「昨夜は殺れたかも」

吉野北人さんと鈴木愛理さんのダブル主演による実写映画原作小説、藤石波矢さん&辻堂ゆめさんの「昨夜は殺れたかも」。

とっても仲が良い夫婦ですが、ある誤解からお互いが殺害計画をたて、あの手この手で亡き者にしようと奮闘するラブサスペンスです。

夫視点を藤石波矢さん、妻視点を辻堂ゆめさんが交互に書いている競作スタイルで、テンポよい殺しあいのラリーに、コメディタッチの文章でサクサク読みる一冊です。

是非、映像でもそんな二人の掛け合いを見てみたくなる、息もピッタリな殺しあい。
まさに壮大なコントのような夫婦喧嘩です。

藤石波矢&辻堂ゆめ「昨夜は殺れたかも」



目次
・あらすじ
・簡単ネタバレ
・感想
 

「昨夜は殺れたかも」のあらすじ

誰もがうらやむラブラブ夫婦の光弘(吉野北人)と咲奈(鈴木愛理)。
しかし、互いに大きな秘密を隠していました。

実は、平凡なサラリーマンである夫の光弘は、今は解散してしまっている暴力団組織・新庄一家の元ヤクザ。
派遣会社のランカージョブで働きつつ、見た目も怪しげな若宮興行とも繋がりがあり。

妻の咲奈は専業主婦ですが、実は会社の株も含めて10数億の資産を保有する、株式会社エステティックサロン・シエルブルーの代表取締役社長。
さら凄腕のデイトレーダー。

 

お互いがなかなか言い出せずにいたのですが、それがきっかけでお互いに誤解。

光弘は咲奈の浮気を疑い、咲奈は光弘が自分が社長を務めるエステサロンを潰すだけでなく、デイトレーダーなどで稼いだ莫大な遺産を狙っていると勘違い。

お互いが殺意を持ち、最初は小さい悪戯で程度でしたが次第にヒートアップ。
殺害計画を立てて実行するまでに発展してしまいます。

そしてお互いが「殺そうとしている」と感づくや、本気で殺害しようとあの手この手で攻めてきます。

ところがこの夫婦バトルは、何者かの思惑による仕組まれたもの。
陰で操っている人物がいたのでした。

※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。




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「昨夜は殺れたかも」の簡単ネタバレ

殺し合いの果て、お互いが誤解していたことに気が付いた二人。

光弘が勘違いした咲奈の浮気相手である明石は、株式会社エステティックサロン・シエルブルーの副社長。

いちいち目撃された現場は、あくまでも仕事で一緒に行動していた時の事。

咲奈が勘違いしていた、若宮葵の営業妨害に光弘はノータッチ。

若宮興行は新庄組の元組員がまっとうに生きていけるために設立した事務所で、若宮葵は確かにそこに在籍しているものの、シエルブルーに紹介していないことが判明しました。

 

お互いが盛大に勘違いした理由を考えた時、どうしたこうなったのかを考えていくうちに、とある人物が誘導していたことに気が付きます。

その人物は、光弘が働く会社の事務員である野中恵美と、咲奈が経営する会社の副社長である明石勇太。

若宮葵へのシエルブルー1号店を潰す依頼は光弘ではなく、ランカージョブの事務員である野中恵美が指示。

さらに、光弘に咲奈の浮気疑惑など、ところどころで誘導するような発言をしていたことに気が付きます。

その動機は、明石勇太は咲奈の天性の運の良さに嫉妬したため。
野中恵美は父の復讐でした。



 

明石は、母親が株で数千万の借金を作り、さらには投資詐欺にひっかかるなど、子供のころからお金に苦労して生きてきました。

そうしたことから公認会計士となって堅実に身を立てていたのですが、特に苦労することなく天性のセンスで大金を稼ぎ、役員報酬なしとお金に無頓着な咲奈を次第に妬むようになったのでした。

野中恵美の父は、かつて敵対していた暴力団組織・生田組の幹部の娘。
といっても愛人の娘。

若い頃、光弘がこてんぱにしたヤクザが野中の父で、いまでこそ出世しているものの、かつては組内で干されていたことからの復讐でした。

 

仲直りした二人は野中と明石に有力な証拠を掴むため協力。

これまでの殺し合いからも、この二人の頭脳は敵なし、怖いものなしの見事な策略で、今回の騒動を裏から手引きした犯人をこてんぱにします。

 

「昨夜は殺れたかも」の感想

「ちゃんと話せばいいのに」とやきもきしながら読めた一冊でした。

二人の作者さんの掛け合いが見事で、光弘と咲奈の交互に視点が変わるのもいい。

どのように競作されたのかはあとがきで紹介されているので、こちらも必見です。

 

また、コメディタッチの文章は読みやすく、お互いに仕掛けをラリーしていく様子が面白い。

どんどんヒートアップし、どんどん殺害方法がレベルアップ、手の込んだものに。

最後の殺し合いのシーンは、昔のサスペンス劇場定番の崖!

お互いに誤解している事が一つ一つ露になると、そのたびに崖に波がどっぱーんと打ち寄せるような描写があり…思わず想像してしまい笑えました。
これは映像でみたい!

ユーモアセンスが抜群な作者さんだったので、できた一冊だなぁと思いますが、途中でちょっとマンネリ感があったのは否めず。。

また、二人の殺し合いがメインなので、黒幕の設定や動機などは控えだけれども、よいスパイスになっていたと思います。



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