「リカ / リアル」は、人気ホラー小説「リカ」で作家デビューされた五十嵐貴久が、当時の日記をもとに、自身の身に起きた奇妙な出来事を描いたモキュメンタリー風ノンフィクション小説。
ちなみに、「リカ」はホラーサスペンス大賞を受賞した「黒髪の沼」を改題した作品です。
当時体験した奇妙な出来事をベースに、デビュー当時の初々しい作家生活と、会社員として出版社で働かれていた話もリアルに描写。
見知っている本のタイトルが出ると、「こんな風に書かれていたんですね!?」と、本作とはまた違う面白さが楽しめた一冊でした。

「リカ / リアル」のあらすじ
「リカ」で作家デビューを果たした五十嵐貴久(筆者)のもとに、講談社の編集者・斎藤と名乗る女性から連絡があり、「事故物件ホラー」の執筆を依頼されます。
この事故物件とは、物理的瑕疵ではなく精神的瑕疵(心理的瑕疵)。
つまりはお化けとかそっち系。
斎藤の知人女性(鶴田)が住んでいた部屋で奇妙な現象が起きているとのことで、その取材を進めることになります。
時を同じくして、「リカ」を思わせる不気味なメールや悪意あるメールが届くようになります。
その内容は身近にいなければわからないほど詳しかったため、社内の誰かがやっているのかと思いつつそのままスルーしていました。
佐藤を通じて鶴田と会うことになるものの、その当日に鶴田が交通事故に。
交通事故自体はタクシーに軽くあたったぐらいで入院する程度ではなかったのですが、後日、職場で急に倒れて病院に搬送。
原因不明の昏睡状態で入院してしまいます。
鶴田を心配しつつ、佐藤とともに鶴田が住んでいるマンションの管理不動産会社とオーナーに会いに行き話を聞きに。
ところが、どちらも不審な話はなし。
マンションは立て替えて5年ほどしかたっておらず、もともと田んぼであったことからも殺人などの因縁話もなし。
また、鶴田さんの前の入居者は、お子さんの進学が理由で引っ越されたごく普通の家庭で、住んでいた時にクレームもなし。
その後、建て替え前の駐車場で事故を起こした方や、一時期住んでいたというオーナーの息子・榊原亮輔(古着屋のオーナー)に話を聞くも、どこにも怪談話につながるような要素が見当たりません。
なぜ、鶴田さんだけが怪奇現象が起こっていたのか?
まったく原因が掴めない状態の中、“場所”ではなく“物”に因縁があるのではないかと、榊原亮輔が取り扱う古着に注目します。
さらに、事故物件についてプロットができた頃、「事故に巻き込まれて…。あのマンションには深入りしないほうが…わたしが間違っていたのかも…」という言葉を最後に斎藤と連絡がつかなくなります。
それをきっかけにとんでもない事実を知ることになるのでした。
※ここから下はネタバレ(犯人名含む)です。
「リカ / リアル」の簡単ネタバレ
実はすべて佐藤の狂言。
とはいえ、佐藤に真実を確認していないことからも、筆者(五十嵐貴久)と担当編集者などによる推測で終わります(とはいえほぼほぼ確定)。
佐藤は小説家を目指しており、あと少しで賞をとれそうなところでいつも落選していました。
「自分には何が足りないのか?」を探るために、デビューしたばかりの五十嵐に近づき、物書きのノウハウを取得しようとしていた…という結論に落ち着きます。
また、不気味なメールも佐藤の仕業。
とはいえ、佐藤の仕業というには納得のいかない部分もあり、それは未解決のままで終わります。
「リカ / リアル」の感想
まさに「事実は小説より奇なり」を体現したかのような体験談。
佐藤の狂言を実行するために偽名で家を借りたり、名刺を偽造して乗り込んだり…手間だけでなくお金もかかっています。
しかも、より真実味を持たせるために、全く知らない病人を鶴田に仕立てて会わせるとは!?
そこまでするのかと、狂気を感じました。
通常の小説のように、すべての伏線を回収して終わり…ということにはならず、五十嵐さんも未だにわからないところがあるとおっしゃっているほど。
100%の事実解明はないので、もやっとした気持ちが残る体験談でした。
また、佐藤の件とは別に、「リカ」シリーズの続編や「交渉人」の業界裏話的な内容がちょこちょこと垣間見れて面白かったです。






