古くから東京の北方守護として篤い崇敬を受けている王子神社(読み方はおうじじんじゃ)は、東京十社の一つにも数えられている神社です。
また、徳川将軍家祈願所の一つであり、徳川三代・家光公(幼名・竹千代)の乳母・春日局が、病弱な竹千代の健康と大成を祈願したところめでたく叶ったといわれている子育大願の神社。
初宮、七五三、学業成就、安産祈願、子授けなど子どもに関する祈願への御神徳あらたかと言われているスピリチュアルなパワースポットとして有名です。
さらに、全国でも数少ない髪の祖神を祀る、髪の毛にご利益のある珍しい神社が境内社としてあります。
目次
・ご祭神・ご利益
・歴史
・参道
・社殿
・末社・関神社
・ボーイスカウト北8団
・御朱印・お守り・おみくじ
・例大祭「槍祭」
・駐車場
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
王子神社のご祭神・ご利益
ご祭神は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、速玉之男命(はやたまのおのみこと)、事解之男命(ことさかのおのみこと)の五柱。
総称して「王子大神」と呼ばれています。
この王子大神とは、和歌山県の有名パワースポット熊野三社権現(本宮・那智・新宮)の神様の呼び名。
「運を開き、災いを除く」という意味があり、開運招福や運気の回生、厄除け、家内安全、身体健全、交通安全などのご利益があります。
また、熊野神社を勧請しているので、日本神話に登場する熊野のシンボル・八咫烏が祀られています。
王子神社の歴史
王子神社の創建については詳細不明ですが、源義家が奥州征伐の際に王子神社にて慰霊祈願をおこない、甲冑を納めたという話があることからも、古くから聖地として崇められていたとされています。
1322年(元亨2年)になると、領主・豊島氏が紀州熊野三社より王子大神をお迎えし「若一王子宮」と奉斉。
地名も「王子」に。
戦国時代では当地の領主となった小田原北条氏、徳川幕府の時代では初代家康公からも篤く崇敬され、「王子権現」の呼び名で江戸名所の1つにまでなっています。
三代・家光公が1634年(寛永11年)に新社殿を造営、五代綱吉公・十代家治公・十一代家斉公が造営修繕。
権現造りの社殿に、境内には神門・舞殿、17社の摂末もありました。
王子神社のすぐ近くにある飛鳥山公園は、八代吉宗公が1737年(元文2年)に寄進した場所で、江戸庶民遊楽の地として春は桜の名所にもなっています。
現在もお花見の季節には多くの花見客でにぎわっています。
明治になると東京十社に選ばれ、以来、東京の北方守護として鎮座。
今に至ります。
王子神社の参道
最寄り駅のJR王子駅から歩いてすぐと、アクセスも良い場所に鎮座。
東京メトロ南北線王子駅3番出口、都電荒川線王子駅前・飛鳥山駅からでもアクセスが可能です。
王子神社の正面参道のはじめには、「王子神社」と書かれた門柱。
上には「元准勅祭」入り。
境内の入り口には、高さ28尺6寸(約8.6m)もある石造りの大鳥居。
茨城県稲田産の御影石で作られた鳥居で、戦災で焼失した神門の場所に立てられています。
大鳥居を通った左側には、2017年(平成29年)に奉納された本社神輿。
台輪は三尺、屋根は王子神社の姿を模した唐破楓、胴には田楽舞の彫刻がされた重量は約550㎏の神輿です。
王子神社の社殿
社殿の前に鎮座する狛犬は、子育て狛犬として作られました。
社殿向かって右側の狛犬は、子どもをあやすための鞠を持つ父親。
左側の狛犬は子供を守る母親。
夫婦揃って子育ての守護となっています。
ちなみに、横浜の長津田にある王子神社にも、同じく子育て狛犬が鎮座しています。
社殿は戦後に再建された、黒塗りと金箔をほどこした権現造りです。
王子神社の末社・関神社
駐車場の奥に鎮座。
髪の毛のご利益がある珍しい神社です。
御祭神は、百人一首「これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂(あふさか)の関」でも有名な蝉丸法師。
髪の毛が逆立っていたことから「逆髪姫」と呼ばれていた姉のために、かもじ・かつらを作ったことから髪の祖神として祀られるようになりました。
その話は能の演目「蝉丸」でも有名。
また、蝉丸公は琵琶の名手であることから、音曲諸芸道の祖神としても崇敬されています。
境内には毛髪報恩のための毛塚も。
理容や美容業、かつら屋さんなどが髪の供養と恩返しとして、1961年(昭和36年)に建てたものです。
王子神社のボーイスカウト北8団
王子神社はボーイスカウト運動に参加しており、境内に東京北8団の団本部と活動スペースがあります。
見学や体験の申し込みなども、神社社務所で受け付けているようです。
王子神社の御朱印・お守り・おみくじ
社務所(授与所)は社殿向かって右側。
社務所の裏側には、創建当時からあるとされている大イチョウ(東京都の天然記念物指定)があります。
樹齢は600年ともいわれており、戦災にも生き残った貴重な大イチョウ。
雄の木ですのでギンナンは生りませんが、秋の紅葉は見事です。
通常御朱印は、王子神社・元准勅祭十社之内・開運除災の印入り。
希望者には御朱印に、北区ゆかりの渋沢栄一「しぶさわくん印」を入れてくれます。
初穂料は「志納(お気持ちで)」形式。
ミニ御朱印(スタンプ形式)もあり、こちらもしぶさわくん印がありますが、通常御朱印とは異なるデザインです。
御朱印帳は、八咫烏金箔を押したオリジナルデザイン(濃紺とピンク色)。
また、東京十社のひとつとして、東京十社めぐりの御朱印・御朱印帳、ミニ絵馬(大絵馬)もあります。
お守りでは、各種お札や肌身守、厄除守、仕事守、金運守、運気向上守、勝守、学業成就守、就職守、子授守、安産守、子育守、縁結び守などさまざまな祈願のお守りが用意されています。
王子神社ならではのお守りとしては、災いを除いて運を開き祭礼時に授かると満願成就と伝えられている「御槍」、オリジナルデザインの「ヤタガラス守」、内末社・關神社の「美髪美容守」があります。
おみくじでは、「おみくじの神歌(全50種類)」が有名。
運勢と和歌(神歌)が書かれているのですが、文字は古い崩し字なので、読み取るのはもちろん意味を解読するのもなかなか難しいおみくじです。
ちなみに、大吉は全部で10本と20%前後の確率で入っています。
王子神社の例大祭「槍祭」
神輿の宮出し、日本三大田楽の一つである田楽舞で有名な例大祭では、「御槍」という古伝の御守護(おまもり)がでることから「槍祭」とも呼ばれます。
開運除災・萬願成就のご利益があり、江戸時代の「願懸重宝記」には「神前に小き槍を置て祈念なすに悪事災難をまぬかるる」と書かれています。
王子神社の駐車場
15台ほど停められる駐車場があります。

王子神社の詳細
王子神社へのアクセス
- JR京浜東北線:王子駅北口より徒歩3分
- 東京メトロ南北線:王子駅3番出口より徒歩3分
- 公式サイト:http://ojijinja.tokyo.jp/
王子神社の主な行事・お祭り
- 1月:歳旦祭・初詣
- 2月:建国祭
- 6月:夏越の大祓
- 8月:例大祭「槍祭」
- 11月:七五三
- 12月:熊手市、新年の御札出し、年越の大祓
- 毎月1日:月次祭
王子神社近くのおすすめ神社・寺
王子稲荷神社 | 江戸五稲荷の一つ。商売繁盛・火防(ひぶせ)・開運の神様として有名 |
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装束稲荷神社 | 歌川広重作名所江戸百景にも描かれた王子の装束榎で有名。 |
正受院 | 赤ちゃん寺、滝不動とも呼ばれる水子供養で有名なお寺。 |
本智院 | 滝野川のお不動さん。江戸三大身代地蔵尊があります。 |