鶴見には長い歴史を持つ神社が多くあり、道念稲荷神社(読み方はどうねんいなりじんじゃ)もその一つ。
横浜市の指定無形民俗文化財に認定されている「蛇も蚊も祭り(じゃもかもまつり)」の発祥神社です。
静かな住宅街の一角に鎮座し、赤い鳥居が立ち並ぶのですぐにわかります。
また、周囲には生麦神明社や正泉寺、慶岸寺、冬木森稲荷神社、御社母子稲荷神社、生麦神明社など、多数の神社仏閣が鎮座しています。
目次
・歴史とご祭神・ご利益
・境内
・社殿
・蛇も蚊も祭
・アクセス
・近くにある神社・寺
道念稲荷神社の歴史とご祭神・ご利益
創建年代や御由緒は不明。
ただ、生麦の杉山神社に遷座した奥房野道念稲荷の分社ではないかと伝わっています。
また、山梨県の身延山の奥にある、大蛇が蛇に化身したという話が伝えられている七面山で修行をした道念和尚が、生麦に立ち寄った時に建立したという言い伝えもあります。
宝暦年間に再建されたことからも、江戸時代中期にはこの地に祀られていたと推察。
御祭神は倉稲魂命(ウガノミタマノミコト)。
五穀豊穣の神様であることから、商売繁盛のご利益があると言われています。
道念稲荷神社の境内
参道正面には、直径1メートルほどの大きな丸い石に「道念稲荷」と刻まれた石碑。
鳥居の前には仏像が祀られています。
朱色の鳥居は10本以上がズラリ。
住宅街にこれだけの数は圧巻です。
また、参道も石が敷かれきれいに整えられていました。
道念稲荷神社の社殿
現在の社殿は、1931年(昭和6年)に建立。
以前の藁屋根から権現造りに。
拝殿に向かって左にも稲荷神社?
達磨が納められていました。
道念稲荷神社の「蛇も蚊も祭」
道念稲荷神社は「蛇も蚊も祭り(じゃもかもまつり)」の発祥の地であり、境内にはその事を伝えるための石碑もあります。
蛇も蚊も祭りは江戸時代に流行した疫病を鎮めるため、藁で作った大蛇に悪霊を封じて海に流したことが始まりです。
昔は生麦神明社と合同で斎行されていましたが、現在は別で実施。
実施日は同社とも6月の第1日曜日です。
蛇も蚊も祭りでは、道念稲荷神社をスタート地点に杉山神社の宮司さんによる神事で始まり、お神酒を大蛇にかけるなど出発前の儀式をしっかりとおこなってから、家々を練り歩きます。
「蛇も蚊も出たけ、日和の雨け、出たけ、出たけ」などと掛け声をかけながら、担いで家々を練り歩き、各家では玄関先や部屋の中まで蛇を入れて健康などを祈願。
練り歩いた後は生麦小学校の校庭に集まり、3体の大蛇のもみ合いを見せます。
そして、翌日に焼いて終了となります。
昔は海に流していたのですが、今は環境に配慮して流してはいません。
また、大蛇には茅が使われていますが、これはとある言い伝えから。
生麦が半農半漁の村であった頃。
とある夫婦の奥さんが病で亡くなる際に、ご主人が奥さんに「二度と妻をめとらない」と約束します。
ところが、妻の四十九日も過ぎぬうちに後妻を迎えてしまい、どこからともなく現れた大蛇から狙われることになります。
家の周りをウロウロする大蛇に対して村の古老から「家の軒先にショウブとモチ草、カヤを置けば大蛇はこない」と聞き、試したところ、再び現れた大蛇は残念そうに去っていったのだとか。
このことから、生麦村では大蛇を作る時には茅を使っているのだそうです。
道念稲荷神社の詳細
道念稲荷神社へのアクセス
- 京急本線:花月総持寺駅より徒歩9分
- 京急本線:生麦駅より徒歩12分
道念稲荷神社近くのおすすめ神社・寺
生麦神明社 | 公園と一続きになった、地域住民の憩いの場。蛇も蚊も祭りの大蛇を模した遊具もあり。 |
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生麦水神宮 | 漁協など水産関係の信仰が深い神社。色鮮やかな提灯が目を引きます。 |
正泉寺 | 境内は小規模ですが、趣がある参道と本堂。本尊は薬師如来で、鶴見七福神の恵比寿様がいます。 |
御社母子稲荷神社 | 小規模ながらも大切にされている地域の守り神。稲穂を加えた狛狐が鎮座しています。 |
慶岸寺 | 門前には子育地蔵尊、境内には菩薩花月地蔵尊と七福神が揃った集いの小径があります。 |