本格的禅宗寺院・建長寺は、JR北鎌倉駅から徒歩15分ほどの場所にある鎌倉五山第一位の寺院であり臨済宗建長寺派の大本山。
正式名称は「巨福山 建長興国禅寺(こふくさん けんちょうこうこくぜんじ)」
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する梶原景時ゆかりの地でもあります。
同じくNHK「ブラタモリ#261」でも紹介されています。
建長寺といえば、「けんちん汁」の元である精進料理の「建長汁」を開山・蘭渓道隆が考案したことでも有名。
駐車場近くにある「点心庵」では、建長寺様公認「伝承 建長汁(けんちん汁)」が食べられます。
ちなみに、建長寺は鎌倉のシャツブランド「メーカーズシャツ鎌倉」とコラボ。
桜やアジサイ、紅葉後のモミジやイチョウの落ち葉などから抽出した染料で糸や生地を染め、Yシャツに活用しています(メーカーズシャツ鎌倉で販売)。
目次
・歴史
・天下門と総門(巨福門)
・三門
・柏槇の庭
・仏殿
・法堂
・唐門
・方丈(龍王殿)
・アクセス
・近くにある神社・寺
建長寺の歴史
1253年(建長5年)、執権・北条時頼公によって中国の禅僧・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう/大覚禅師)が開いた1寺1宗の大道場。
建長寺が建てられる前は罪人の処刑場(地獄谷)で、伽羅陀山心平寺(本尊・地蔵菩薩)がありました。
北条時頼によって伽羅陀山心平寺は巨福呂坂に移され(現在は横浜三渓園)、ここに建長寺を開創。
本尊・地蔵菩薩坐像が、千体地蔵にかこまれて建長寺仏殿内に安置されています。
創建当時は伽藍は中国宋時代の禅宗寺院を模した、総門・三門・仏殿・法堂・方丈が一直線に連なる配置。
幾たびかの火災で多くが焼失してしまい、徳川幕府の後援で再建復興。
現在に至ります。
建長寺の天下門と総門(巨福門)
建長寺の入り口は巨福呂坂沿いにある天下門。
天下門を通った先には建長寺専用駐車場があり、乗用車20台、バス5台(予約不可)が停められます。
ちなみに、利用料金は1時間毎に乗用車600円、大型バス・マイクロ2000円。
最初に1時間分支払い、以降30分単位で帰る時に清算します。
境内へは総門(巨福門)から入ります。
現在の総門は、1783年(天明3年)に京都の般舟三昧院(はんじゅざんまいいん)で建てられたものを1940年(昭和15年)に移築したものです。
総門に掲げられている額「巨福山」(こふくさん)」には、「大きな福をもたらす寺」という意味が込められており、中国僧の建長寺第十世・一山一寧禅師(いっさんいちねいぜんじ)が書いたものです。
総門(巨福門)入った右側には受付、左側に朱印所。
拝観料は大人500円、小・中学生200円。
建長寺の最奥にある半僧坊はハイキングコースともつながっているため、入山される方も拝観料が必要となります(山門と半僧坊のどちらか境内に入った方で支払い)。
朱印所では、本尊地蔵尊・釈迦牟尼佛・びんずる尊者・千手観音(鎌倉三十三観音霊場 第二十八番)・心平地蔵尊(鎌倉二十四地蔵 第九番)・済田地蔵尊(鎌倉二十四地蔵 第十番)とあり。
ちなみにお守りでは、国宝指定の梵鐘をモチーフにした「国宝梵鐘守」、商売繁盛のご利益がある「巨福守り」と「巨福シール守」、ご本尊・地蔵菩薩の御影が描かれた「商売繁盛守」と「心願成就守」「当病平癒守」、ご本尊・地蔵菩薩金色の御影が納められている「腕輪念珠」、巾着袋に金色の鈴がついた「金運守」など、ほかにも多数あり。
建長寺の三門
総門からまっすぐ伸びた参道の先には、国重要文化財の三門。
途中、大きなさざれ石があります。
1775年(安永4年)に関東一円から浄財を募って再建。
楼上には、釈迦如来・十六羅漢・五百羅漢が安置。
階下にはお釈迦様の弟子で十六羅漢の一人・お賓頭盧様(おびんずるさま)が鎮座し、自分の体の痛いところの像の部分をなでるとよくなると言われています。
三門(正式名称は三解脱門)には「門をくぐることによってあらゆる執着心から解き放たれる」といった意味があります。
それは、創建者・蘭溪道隆の「建長寺は、禅をまなぶすべての人に開け放たれている。この境内には人を差別しない清風が、いつも吹いている」とあらゆる人々に門を開放していたことによります。
三門の右側には梵鐘。
1255年(建長7年)鋳造と、建長寺創建当時からある貴重な鐘です。
さらに、夏目漱石が作った俳句「鐘つけば銀杏ちるなり建長寺」のインスピレーションにも。
親友の正岡子規は、この句を参考に「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」を作ったとされています。
建長寺の柏槇の庭
三門の先には、神奈川名木百選鎌倉市指定保存樹木「柏槇(びゃくしん)」がある柏槇の庭。
建長寺創建の際に蘭渓道隆が中国から持ってきた種子をまいたと言われている、推定樹齢760年の銘木です。
建長寺の仏殿
柏槇の庭の先にある仏殿には、本尊・地蔵菩薩(天国から地獄まで、すべての生物を救い成仏させる菩薩)が安置されています。
現在の建物は、創建当初より4代目のもの。
東京の芝の増上寺にあった二代将軍・徳川秀忠公夫人(お江の方)の霊屋を移築しています。
建長寺の法堂
仏殿の後ろにあるのが国重要文化財の法堂で、1814年(文化11年)に建長寺派の寺院により再建。
昔は修行道場(現在は西来庵で修業)でしたが、現在は法要・講演・展覧会などに使われています。
ご本尊・千手観音菩薩と釈迦苦行像を祀り、天井には建長寺創建750年を記念して描かれた雲龍図が掲げられています。
建長寺の唐門
漆塗りの四脚門の桃山風向唐破風(国重要文化財)。
技巧を凝らした金具が各所に使用されています。
1628年(寛永5年)、東京・芝の増上寺でお江の方の霊屋の門として建てられ、1647年(正保4年)に、仏殿・西来門と共に建長寺に寄附。
方丈(龍王殿)の正門として使用されています。
2011年に解体修理が施されました。
建長寺の方丈(龍王殿)
唐門向かって右側から、方丈(龍王殿)に入れます。
方丈(龍王殿)には、宝冠釈迦如来が祀られています。
総門と同じく京都の般舟三昧院より1940年(昭和15年)に移築。
昔は住職の居住場所でしたが、現在は法要・坐禅・研修場所として使われています。
八臂弁財天様も!
唐門の反対側は得月楼。
玄関と同じく1940年(昭和15年)の建長寺創建750年慶讃にあたり、約590年ぶりに復興された蘭渓道隆の作庭です。
壁際に椅子が置かれており、しばし風景を眺めながらゆっくりできます。
ただ、足元がとても冷たいので、冬場はちょっときついかも。
方丈(龍王殿)では、般若心経(約60分)または延命十句観音経(約20分)の写経会を毎日実施(9:00~15:00入場まで)。
毎週金・土曜(15:30~16:30)に一般向けの坐禅会を開催しています。
どちらも申込不要で、写経会は写経志納金1,000円(1巻)が必要。
坐禅会は建長寺拝観料のみで、座禅会そのものにかかる費用は無料です。
また、年に2回、二日間にわたり禅寺で過ごす坐禅会も開催(水無月・臘月坐禅会)。
坐禅、看経、作務、作法によった食事など、修行僧そのものを体験できます。
建長寺の詳細
建長寺へのアクセス
- JR線:北鎌倉駅より徒歩15分
- 公式サイト:https://www.kenchoji.com/
建長寺近くのおすすめ神社・寺
半僧坊 | 建長寺の最奥にある、半僧坊大権現を祀る建長寺の鎮守。ハイキングコースにつながっています。 |
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圓應寺 | 鎌倉十三佛第5番札所の閻魔大王を本尊とするお寺。十王様方や奪衣婆、詫言地蔵も。 |
鶴岡八幡宮 | 鎌倉の名所。広大な敷地には境内社や幼稚園、ミュージアム、カフェとあります。 |
薬王寺 | 御本尊は久遠実成釈迦牟尼仏、日蓮宗のお寺。徳川家の家紋(三つ葉葵)が使われています。 |