JR北鎌倉駅から徒歩8分の場所にある浄智寺(読み方はじょうちじ)は、禅宗寺院「鎌倉五山」の一つ。
臨済宗円覚寺派の禅宗寺院です。
室町時代までは数百人といった僧侶がここで修業をしており、当時は山の麗まで建物がありにぎやかでした。
鎌倉五山巡り(鎌倉五山第四位・金寶山)、鎌倉七福神巡り(布袋尊)、鎌倉十三佛巡り(六番札所・曇華殿の弥勒菩薩)、鎌倉三十三観音巡り(第三十一番・曇華殿後ろ側の聖観音)、鎌倉二十四地蔵巡り(第十二番・聖比丘地蔵※国宝館へ寄託)、鎌倉五名水・鎌倉十井(甘露の井)と、多数の霊場・名所めぐりに挙げられています。
また、浄智寺は映画やドラマのロケ地としても有名。
「武士の一分」や「DESTINY 鎌倉ものがたり」「まだ結婚できない男」「さよならマエストロ〜父と私のアパッシオナート〜」など多数の作品があります。
目次
・歴史とご本尊
・山門(総門)
・拝観受付
・鐘楼門
・曇華殿
・やぐら
・鎌倉江ノ島七福神・布袋尊
・書院とお茶室
・御朱印
・四季の花
・たからの庭
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
浄智寺の歴史とご本尊
浄智寺は、鎌倉幕府第5代執権・北条時頼の三男である北条宗政が29歳で亡くなった際に、その菩提を弔う為に創建。
開基は、北条貞時の次に執権となった宗政の子・師時です。
1356年(延文元年)におきた火災で伽藍が焼失したものの、主要な建物や塔頭は無事。
ただ、関東大震災で倒壊するなどして、新しい仏殿・方丈・客殿に建替えられています。
ご本尊は、神奈川県の重要文化財に指定されている室町期作の木造三世仏坐像(阿弥陀如来、釈迦如来、弥勒如来)。
過去・現世・未来の三世に渡って人々の願いを聞き入れてくださるという仏様です。
また、木造地蔵菩薩坐像(国指定重要文化財)や木造韋駄天立像(市指定重要文化財)は鎌倉国宝館におさめられており、境内は国の史跡に指定されています。
浄智寺の山門(総門)
JR北鎌倉駅から鎌倉方面に向かって通りを歩いていくと、JR線の線路の手前に浄智寺の案内が。
案内のある道を進むと山門が見えてきます。
山門左側の舗装された道路を登っていくと、葛原ヶ丘ハイキングコースにつながります。
山門の手前には太鼓橋と、鎌倉十井の一つである甘露の井。
甘露の井は蜜のように甘く、仏徳で授かる霊水で不老不死の功徳があると言われていますが、現在は飲み水として使用されていません。
石段の先には山門(総門)。
円覚寺開山の無学祖元の筆「寶所在近(ほうしょざいきん)」の額が掲げられ、その先には拝観受付と鐘楼門に続く苔むした参道の階段が伸びています。
ちなみに、寶所在近とは「仏を信じ、修行を積めば心の平穏が得られる」という仏の教えを意味しているそうです。
浄智寺の拝観受付
拝観料は大人300円、小人100円。
浄智寺大施餓鬼会法要の日は拝観料は不要、こどもの日は小人の参拝料が無料になります。
受付所では鎌倉ボンズくんの境内マップ(日本語版・英語版)が50円で販売されており、初めて境内を回る時にとても便利です。
浄智寺の鐘楼門
拝観受付を通ると正面に鐘楼門(しょうろうもん)、右側に書院とお茶室に通じる山門。
道順としては、鐘楼門からとなっています。
2007年(平成19年)に再建された唐様の鐘楼門は、鐘つき堂を兼ねた珍しい山門。
「山居幽勝」の額が掲げられ、2階部分に花形の花頭窓と梵鐘が下げられています。
浄智寺の曇華殿
鐘楼門の先には本堂の曇華殿(どんげでん)。
本堂・曇華殿(どんげでん)は、三千年に一度だけ咲く伝説の優曇華(うどんげ)の花から付けられました。
ご本尊の木造三世仏坐像(むかって左から阿弥陀・釈迦・弥勒の各如来)は、過去・現在・未来を意味。
火災で一度焼失し、現存するのは南北朝時代に作られた木造です。
阿弥陀様の手は定印(悟りを開いた時の心の安定を表わす)を結んでいて、お釈迦様は右手が下、弥勒様は左手が下と少しずつ違います。
また、両脇に垂れた長い衣や床の黒い敷瓦などは、中国の「宋風」によります。
曇華殿後ろ側には、鎌倉三十三観音霊の一つ観音菩薩像も祀られています。
浄智寺のやぐら
1924年(大正13年)に建てられた茅葺の書院の庭園側にそって進むと竹林。
竹林の先は墓所となっており、切り立った岩山にはやぐら(祠)があります。
分かれ道の左側には井戸。
甘露の井と同じ水が出ますが、沸かさないと飲めないそうです。
その先には、右側が墓所で左側にやぐら。
僧侶の修行場所として使われたり、地位の高い人のお墓です。
奥には横井戸。
山の水をためて用水に使用するため、かなり古い時代に掘ったもの。
数十年前までは、コウモリの住処になっていたそうです。
戻って分かれ道の右側を進むと、左側にもやぐら。
狸の置物のありました。
浄智寺の鎌倉江ノ島七福神・布袋尊
竹林を過ぎると、石の山を掘って作られた道が。
左側にはかんのんさま。
奥にある洞窟には、彌勒菩薩の化身と言われている鎌倉江ノ島七福神の一つ、福徳円満・千客万来・家運隆盛・家庭円満・商売繁盛のご利益があると言われている神様・布袋尊。
にこやかなお顔をされており、お腹を撫でると元気がもらえるとして、多くの方に撫でられています。
ちなみに、布袋様が指をさしているのは、山門と同じ意味があるそうです(寶所在近=仏を信じ、修行を積めば心の平穏が得られる)。
浄智寺の書院とお茶室
1924年(大正13年)に建てられた茅葺の書院の正面。
玄関口から、先ほど通った庭園がが少し見えます。
書院近くにある山門を通ると、最初に来た拝観受付に戻ります。
浄智寺の御朱印
書院の右側には御朱印受付所。
御朱印は、ご本尊・観世音菩薩・十三仏・地蔵尊・七福神の5種類。
御朱印は、御朱印帳1冊につき1種類のみ。
七福神巡りや鎌倉三十三観音など、専用の御朱印帳を用意していけば複数いただけるのかな?
基本直書きのようですが、書置きの朱印もあるそうです。
ただ、お一人様一種類一枚まで。
また、御朱印帳は一種類、鎌倉七福神巡りの御朱印帳と台紙が用意されていました。
浄智寺の四季の花
浄智寺では四季折々の風景が楽しめます。
1月は水仙と蝋梅。
2月は梅。
3月は三椏(みつまた)。
4月はタチヒガンザクラ、垂れ桜、山桜、躑躅(つつじ)、白雲木。
5月は著莪(しゃが)。
6月は紫陽花、岩煙草。
7月は蛍袋、桔梗。
8月は芙蓉、玉紫陽花、百日紅(さるすべり)。
9月は薄(すすき)、萩、秋桜。
10月は秋明菊。
11月は山茶花(さざんか)。
12月は紅葉です。
浄智寺の「たからの庭」
浄智寺敷地内にある「たからの庭」は、ハイキングコースに続く道の途中にあるシェアアトリエハウスです。
広い庭と緑に囲まれた築80年の古民家には、小さな畑や煙突、井戸などが。
女流陶芸家の方が作品を作っていたことからも、庭の一角には「たからの窯」という陶芸をするための小屋もあります。
たからの庭では、陶芸体験や料理教室、染め物体験、ヨガなどさまざまな講座を予約制で開催しています。
浄智寺の詳細
浄智寺へのアクセス
- JR横須賀線:北鎌倉駅より徒歩8分
- 公式サイト:https://jochiji.com/
浄智寺の主な行事・お祭り
- 1月:初詣
- 3月:春彼岸
- 4月:お花祭り
- 5月:こどもの日(小人参拝料無料)
- 8月:大施餓鬼法要
- 9月:秋彼岸
- 10月:写真供養感謝祭
- 12月:除夜の鐘
浄智寺近くのおすすめ神社・寺
円覚寺 | 鎌倉五山の由緒ある禅寺。山門や国宝の梵鐘、庭園、舎利殿と見どころ多数あり。 |
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東慶寺 | 尼僧や女性の駆け込み寺として有名な仏教寺院。縁切寺とも呼ばれています。 |
明月院 | 悟りの窓と境内のアジサイや紅葉で有名な臨済宗禅寺。園内には地蔵様やウサギが点在しています。 |