山王台地(星が岡)に鎮座する日枝神社(読み方はひえじんじゃ)は、江戸城の裏鬼門に位置する江戸の鎮守、また日本の中心を護る皇城の鎮として篤く信仰されてきた神社。
方位除けや厄除け縁結、子宝、安産、仕事運・出世運などさまざまなご利益があります。
また、主祭神・大山咋神は山の神であることから、その神使である猿(まさるさま)が境内や授与品などのモチーフに。
「猿(えん)」と「縁」が通じるとして、縁結びのパワースポットとしても有名です。
結婚式場としても人気があり、スピリチュアルカウンセラーの江原啓之さんも日枝神社で結婚式を挙げられています。
ちなみに、摂社に日本橋日枝神社があります。
目次
・ご祭神・ご利益
・歴史
・山王鳥居(表参道・裏参道・西参道)
・境内
・神猿像(まさるぞう)
・社殿
・山王稲荷神社・猿田彦神社・八坂神社
・宝物殿
・御朱印・お守り・おみくじ
・山王祭
・駐車場
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
日枝神社のご祭神・ご利益
ご祭神は、大山咋神(おおやまくいのかみ)。
相殿には、国常立神(くにのとこたちのかみ)、伊弉冉神(いざなみのかみ)、足仲彦尊(たらしなかつひこのみこと)が祀られています。
大山咋神は山・水を司り、大地の神様として成長発展・産業万般を守護。
厄除けや安産、縁結び、商売繁盛、社運隆昌のご利益があるとして崇敬されています。
日枝神社の歴史
日枝神社の始まりは、鎌倉時代に江戸氏が山王宮を祀ったことから。
1478年(文明10年)に太田道灌が江戸城内の鎮護の神として川越山王社を勧請しています。
1590年(天正18年)に徳川家康公が江戸城を居城とした際には「徳川家の守り神」「江戸の産神」、江戸城が皇居になった際には皇居の守り神「皇城の鎮」として崇敬されてきました。
江戸城(現在の皇居)の中に祀られていましたが、江戸城の拡張に伴い麹町隼町に遷り、1659年(万治2年)に現在の永田町の地に。
江戸城外に出たことで、庶民の間にも信仰が広まっていきました。
ちなみに、日枝神社の称号になったのは1868年(慶応4年/明治元年)。
昔から日吉山王社・日吉山王大権現社・江戸山王大権現・麹町山王と称され、「山王さん」と呼ばれてきました。
日枝神社の「日枝」は「比叡山」の「ひえ」。
「山王」は、もともとは比叡山の山の神様だったことによります。
また、山王と日枝は同じ意味。
比叡山にある総本山は日吉大社であり、日枝と日吉も同じで、昔は「日吉」と書いて「ひえ」と読んでいたそうです。
日枝神社の山王鳥居(表参道・裏参道・西参道)
日枝神社は山王台地(星が岡)にあり、境内に通じる参道の入り口となる巨大な鳥居「山王鳥居」は3ヶ所あります。
山王鳥居は日枝神社独自の鳥居で、別名「合掌鳥居」や「破風鳥居」ともいわれています。
鳥居の上部に三角形の破風(屋根)が乗っており、仏教の胎臓界(大日如来の持つ慈悲と受容の力)、金剛界(大日如来の持つ強い意志の力)、神道の合一(合わせて一つになる)を表しています。
そんな山王鳥居の一つ目は、神門前正面にある53段の石段からなる山王男坂のところにあります。
すぐ左側には、緩やかな坂道の「女坂」。
こちらが表参道になります。
二つ目は、東京メトロ千代田線赤坂駅を出てすぐ、外堀通り沿いに立つ巨大な白い山王鳥居。
境内に続く山王橋(階段)の両サイドにはエスカレーター。
いつからあるのかというと、2000年(平成12年)から。
境内に通じる南神門は建物内部にも通じており、こちらには「ジョジョの奇妙な冒険」25周年に開催した荒木飛呂彦さんの原画展の作品が奉納されています。
そして三つめは、人気の撮影スポットである稲荷参道(千本鳥居)につながる西参道の山王鳥居。
明治時代に赤坂から外堀を超えて参拝するために作られた参道で、鳥居の両側には狛犬が鎮座しています。
山王鳥居から稲荷参道に続く道には桜の木が植えられており、春にはきれいな桜並木になります。
ちなみに、稲荷参道は夜間は通行できません。

日枝神社の境内
山王男坂を上った先、境内に続く朱塗りが美しい随神門。
外側には神社を警護する随身像。
扁額には「日枝神社」。
内側(境内)左右には猿の随身像(神猿像)が鎮座。
扁額には「皇城之鎮」。
神門を入って右側には藤棚。
朱色の回廊に沿うように藤棚が設置されており、藤の花の品種は「ノダフジ」です。
左側には御朱印所と授与所、御祈祷申込所。


日枝神社の神猿像(まさるぞう)
日枝神社の社殿前には、狛犬ではなく日枝神社の神使である神猿像(まさるぞう)が鎮座。
神社の主祭神・大山咋神は山の神で、その使いが猿と言われていることに由来します。
参拝し、撫でるとご利益倍増なのだとか!?
右側には、出世開運・社運隆昌・商売繁盛のご利益があるといわれている夫猿像。
左側には、良縁・安産・子授けのご利益がある妻猿像。
子猿を抱いています。
日枝神社の社殿
江戸幕府四代将軍・徳川家綱公の命により権現造りの社殿が建てられたものの、1945(昭和20)年の東京大空襲で焼失。
1958(昭和33)年に再建し今に至ります。
日枝神社の山王稲荷神社・猿田彦神社・八坂神社
北神門を出たところには境内社である山王稲荷神社・猿田彦神社・八坂神社。
左側に鎮座する山王稲荷神社は、日枝神社以前から鎮座している地主神で、松平忠房邸の屋敷神だったといわれてます。
また右側に鎮座するのは、物事をよい方向へ導いてくれるといわれるみちひらきの大神・猿田彦神を祀る猿田彦神社。
疫病退散のご利益があるといわれる八坂神社が合祀されています。
猿田彦神社では、庚申祭限定で開運みくじを授与しています。
お祓いを受けた後に巫女さんがおみくじを引いて渡してくれるという、他にはなかなかないおみくじ!
これからどう進んでいったらいいか、みちひらきの大神からのメッセージが書かれています。
山王稲荷神社内には鳥居を模した絵馬掛けやキツネの御眷属(ごけんぞく)が。
末社の御朱印は、毎年三が日と各神社で行われるお祭りの日のみ頒布されているそうです。
境内社右側、手水舎の奥には山の茶屋(うなぎ)に通じる道。
境内3社の右隣は車祓所と手水舎、山車庫。
山車庫の前を通って行くと山王男坂と宝物殿に。

日枝神社の宝物殿
日枝神社の宝物を納める宝物殿(入館料無料)には、国宝・重要文化財を含む刀剣31口の他、徳川将軍家ゆかりの宝物が多数所蔵されています。
日枝神社の御朱印・お守り・おみくじ
御朱印は数種類あり、直書きと書置きとあり。
境内社の御朱印は、毎年三が日と各神社で行われるお祭りの日のみ授与されています。
参拝した際には、官幣中社時代(明治15年~大正4年)、大正中期、大正~昭和初期、昭和戦前期、昭和中期~平成中期、現行と、歴代の種類の御朱印が用意されていました。
さらに、日枝神社の御朱印ではオリジナルしおりと小さな木札付き。
しおりは季節毎にデザインが変わります。
オリジナルデザインの御朱印帳も多数用意されており、神猿(まさる)が描かれているものも。
おまもりの種類は多く、なかでも神猿(まさる)をモチーフにした授与品が目立ちます。
勝運や魔除けの御守りは、「まさる=勝る、魔が去る」。
縁結びや商売繁盛の御守りは、「猿=えん」と読んで猿が「縁」を運ぶとされています。
ちなみに、唐草模様に猿の姿が入っている「守袋」は、それ自体には何も入っていません。
別途「願い守(厄除開運・身体健全・合格・山王御守など全7種)」を頂く必要があります。

絵馬にはハートの形をした「結び」絵馬、子猿を抱いた母猿が描かれている「安産祈願絵馬」などさまざまな種類の絵馬がそろっています。
また、日枝神社は東京十社めぐりの一つであることからも、オリジナルのミニ絵馬も。
おみくじでは、山王みくじ・神猿みくじ・恋みくじの三種類。
神猿が描かれたオリジナルおみくじ「神猿みくじ」は、7色の神猿守入り。
紫は除災招福、青は職運隆昌、緑は延命長寿、白は交通安全、黄色は金運上昇、ピンクは良縁、赤は必勝の願いが込められています。
日枝神社の山王祭
年中行事の中でも有名なのが、江戸三大祭の一つである山王祭(他は神田祭、深川八幡祭)。
さらに、日本三大祭に数えられているお祭りです(他は京都の祇園祭、大阪の天神祭)。
7日から17日まで、山王音頭と民踊大会(納涼大会)や稚児行列、絵灯籠奉納、山王嘉祥祭(和菓子のまつり)など、さまざまなお祭りやイベントが斎行されており、東京都心を行列が練り歩く神幸行列(神幸祭/隔年開催)は次回2026年(令和8年)です。
また、山王祭限定の記念品が数量限定で用意されているので要チェックです!
日枝神社の駐車場
境内に参拝客専用の無料駐車場が完備(日枝あかさか、山王茶寮付近)。
女坂から車で登っていくことができます。
ただ、山下にある男坂近くの第一駐車場は有料駐車場になるようです。
日枝神社の詳細
日枝神社へのアクセス
- 東京メトロ千代田線:赤坂駅出口2より徒歩2分
- 東京メトロ南北線・銀座線:溜池山王出口7より徒歩3分
- 公式サイト:https://www.hiejinja.net/
日枝神社の主なお祭り・イベント
- 1月:初詣、元始祭、奉納書初展感謝奉告祭その他
- 2月:節分祭、祈年祭、庚申祭その他
- 3月:春季皇霊祭遥拝
- 4月:末社山王稲荷神社例祭、庚申祭、昭和祭
- 6月:山王祭、庚申祭、大祓並鎮火祭
- 8月:箸感謝祭、庚申祭
- 9月:秋季皇霊祭遥拝、山王祖霊祭
- 10月:中秋管絃祭、神嘗祭遥拝、庚申祭
- 11月:明治祭、新嘗祭
- 12月:庚申祭、大祓並鎮火祭、除夜祭その他
- 毎月1日:朔旦祭
- 毎月15日:月次祭
日枝神社近くのおすすめ神社・寺
威徳寺 | ビル内に不動明王を祀る本堂。地蔵尊や紀州徳川家御祈願所の石碑などもあり。 |
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美喜井稲荷 | こじんまりとした猫好きにはたまらない稲荷神社。実在した猫ちゃんがお祀りされています。 |
豊川稲荷東京別院 | 縁切りで有名な叶稲荷尊天と良縁を授ける愛染明王。境内にはたくさんの狛狐が鎮座。 |