若者に人気の街・自由が丘エリアにひっそりと佇む浄真寺(読み方はじょうしんじ)は、東急大井町線九品仏駅近くにある浄土宗の寺院。
正式名称は「九品山唯在念佛院淨眞寺」です。
九躰(九品)の阿弥陀佛を安置している事からも、「九品仏」として知られています。
拝観時間は朝6時と早い時間に開門し、午後4時半に閉門。
広い境内は誰でも自由に参拝でき、四季折々の風景をみせてくれます。
特に7月下旬から8月上旬のさぎ草の見頃の時期と、11月下旬から12月上旬のもみじの紅葉シーズンは有名。
ですが、夏の暑さが落ち着き始めた頃もおすすめ。
みずみずしい緑色のもみじがいっぱいに広がる風景は清々しく、慌ただしい日常を忘れさせてくれるほどです。
目次
・歴史
・参道
・閻魔堂
・開山堂
・山門(仁王門)
・本堂(龍護殿)
・阿弥陀如来
・きゅっぽん
・駐車場
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
九品仏浄真寺の歴史
開山は江戸時代初期の高僧・珂碩上人。
1678年(延宝6年)に四代将軍・徳川家綱公より、もとは奥沢城があったこの地を賜り、浄土宗所依の経典「観無量寿経」の説相によって諸堂宇を配置。
九躰(九品)の阿弥陀仏像を安置し創建されました。
現在の諸堂宇の配置は当時の配置とほとんど変わっておらず、それは1836年発行の「江戸名所図絵」に描かれている配置ともほぼほぼ一致しているそうです。
また、浄真寺では二龍の伝説と常盤姫のさぎ草伝説が伝わっています。
九品仏浄真寺の参道
東急大井町線九品仏駅を降りてすぐの場所に、九品仏浄真寺の参道があります。
参道の先には総門。
「般舟場」と書かれた扁額がある浄真寺の入り口。
般舟は「般舟三昧」のことで、浄真寺が念仏道場であることを表しています。
九品仏浄真寺の閻魔堂
総門をくぐると、左側に閻魔堂。
(いつもはわかりませんが)水が流れていない「三途の川」があり、橋を渡った先に焔魔堂があります。
両サイドに立てられているのぼりには「うそをつくな!」「わるいことはするな!」と閻魔大王様が言いそうなお言葉が書かれています。
お堂の正面には亡者の罪を裁く閻魔大王、左側には三途の川のほとりで死者の衣類を剥ぎ取る鬼女・奪衣婆、右側に奪衣婆が剥ぎ取った衣類から生前の罪の重さを計る衣領樹(えりょうじゅ)がどん!
お賽銭をいれるとありがたいお告げが聞けます。
閻魔堂の正面にはお地蔵様と意味ありげです。
九品仏浄真寺の開山堂
閻魔堂から進むと右側に東門、左側に開山堂につながる薬医門。
開山堂には開山・珂碩上人が彫ったご尊像が祀られています。
この上人像は安産・厄除・開運のご利益があるといわれており、安産・厄除・開運のお守りもあり(本堂)。
上人の命日(毎月7日)におこなう開山忌では、ご尊像を開帳し、13時より法要・法話・写経がおこなわれています(一般の参加も可)。
薬医門の近くにある手水舎にはさぎ草のオブジェ。
また、開山堂の近くには水子(子育)地蔵と浄火供養地蔵。
さらに三十三観音。
不空羂索観音菩薩をお祀りしています。
九品仏浄真寺の山門(仁王門)
重厚な造りの仁王門は、1793年(寛政5年)に建てられた門。
入母屋造りの茅葺銅板屋根。
上層部の「紫雲楼」には阿弥陀仏像と二十五菩薩像、下層部の左右には金剛力士像、裏側には風神雷神像が安置されているお寺の守り神的な門です。
仁王門向かって左側には1708年(宝永5年)建立の鐘楼堂があり、遠目からですが備え付けのベンチに座ってじっくりと拝観できます。
唐草文様や坐像、天人などが描かれている梵鐘は文化財に指定されており、楼の四周には干支が刻まれています。
戦争による金属供出で多くの梵鐘が失われましたが、浄真寺の梵鐘は撞座が菊の花びら模様であることから免除。
皇室の文様と関連付けられと考えられています。
九品仏浄真寺の本堂(龍護殿)
1698年(元禄11年)上棟の大堂宇。
ご本尊の釈迦尼仏像の他、多数の仏像を祀っています。
珂碩上人が供養した二龍伝説から堂宇名は「龍護殿」と呼ばれ、創建時より龍神の御守護がある霊験あらたかな堂宇です。
毎年初辰の日には二龍(玉譽泉龍・深譽清龍)の祈願会をおこなっています。
本堂内は誰でも(お賽銭を入れて)入ることができ、お守りや御朱印などもこちらで頂くことができます。
御朱印の受け付けは午前9時から午後16時まで。
門が開く拝観時間(6時から16時半)とは異なるので注意が必要です。
九品仏の由来である九躰の阿弥陀佛の御朱印と阿弥陀如来の前身である法蔵菩薩の御朱印、さらに佛像大修繕事業に勧進(ご寄付)して下さった方への特別御朱印(勧進朱印)も。
勧進朱印(阿弥陀如来・釈迦牟尼如来の梵字)は勧進写経(一口千円)を行う必要があります。
龍護殿の前には2羽の白鷺の像が置かれており、絵馬やおみくじが結ばれています。
また、仏足石も。
龍護殿より少し離れた場所、浄真寺の鬼門となる場所には、伊勢神宮・春日大社・石清水八幡宮・住吉大社・熊野大社の5社のご分身を祀る五社殿があります。
九品仏浄真寺の阿弥陀如来
平安時代後期、俗世をさけて極楽浄土に往生したいと願う阿弥陀信仰により阿弥陀佛像の造立が大ブーム。
しかも、往生の仕方が9種にランク分け。
往生者の機根の高低や信仰の深浅からそれ相応の九品仏が必ず迎えに来てくれる、という九品往生の考え方があります。
上品・中品・下品とあり、それぞれをさらに上生・中生・下生の三種に分けた九品。
浄真寺では、それに合わせた九躰の阿弥陀佛像が造られました。
九躰の阿弥陀佛像は、本堂の対面に、下品・上品・中品と並んでいます。
淨眞寺の九躰の阿弥陀佛像は、開山・珂碩上人によって造立され、いずれも2メートル80センチ前後の丈六像とビッグサイズ!
しかも、上品佛は「弥陀定印」、中品佛は「説法印」、下品佛は「来迎印」とすべての仏像の印相が異なります。
もちろん、上生・中生・下生でも指の印相が違うといったこだわりよう。
九躰の丈六佛像が完備するのは珍しく、現存しているのはここ九品仏と京都の浄瑠璃寺のみ。
両寺とも阿弥陀仏が真東を向いて配置されています。
また、上品堂と中品堂の奥には、1694年(元禄7年)10月に示寂された珂碩上人の御廟をはじめ、歴代の上人のお墓があります。
九品仏浄真寺の「きゅっぽん」
お堅いイメージとは異なり、「きゅっぽん」なんてお寺のイメージキャラクターも。
きゅっぽんは、仏さまや皆さまのご先祖さまから命じられ、はるか遠い西方極楽浄土から娑婆世界に。
毎日お寺で修行しているそうです。
ちなみに、言葉の最後に「ぽん」がつくのが特徴。
LINEスタンプも発売中。
九品仏浄真寺の駐車場
駐車場はありますが、年回忌法要・墓参・法要参列者優先のため、一般参拝者は基本的に公共交通機関の利用を推奨されています。
駐車場を使う場合は必ず寺務所に申請し、駐車許可証をもらう必要があります。
しかも、16時半の閉門から翌6時までは一切車を出すことは出来ません。
九品仏浄真寺の詳細
九品仏浄真寺へのアクセス
- 東急大井町線:九品仏駅より徒歩1分
- 公式サイト:https://kuhombutsu.jp/
九品仏浄真寺の主な行事・お祭り
- 1月:修正会、初辰祈願会、初開山忌、初閻魔祈願会
- 2月:涅槃会、浄火供養
- 3月:春季彼岸会大法要
- 4月:帰敬式、花まつり
- 5月:二十五菩薩来迎会(2024年奉修後から4年に一度に変更)、千部法要
- 7月:盂蘭盆会大法要、地蔵盆法要
- 8月:虫干法要
- 9月:秋季彼岸会大法要
- 10月:正当開山忌、帰敬式
- 11月:十夜法要
- 12月:除夜の鐘
- 毎月7日:開山忌
- 毎月25日:念仏行脚・別時念仏会
九品仏浄真寺近くのおすすめ神社・寺
自由が丘熊野神社 | 自由が丘駅に近い、鮮やかな朱色が美しい神社。伏見稲荷神社もお祀りされています。 |
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谷畑弁財天 | 住宅街に鎮座する水の神様。小さな神社ですが境内に池があります。 |
奥澤神社 | 厄除けの大蛇で有名な東京のパワースポット。本殿の奥には弁天様が祀られています。 |
玉川神社 | 目黒通り沿いにある、等々力の自然に囲まれた神社。獅子の子落としやがまんさまも見られます。 |
満願寺 | 日本三体地蔵「一言地蔵尊」を安置する真言宗智山派の寺院。 |
宇佐神社 | 八幡塚古墳の中腹に鎮座。源頼義にまつわる神社です。 |