稲荷鬼王神社のえびすまつり(べったら市)は、10月におこなわれる開運商売繁盛の恵比寿神社のお祭りです。
昔から、恵比寿祭の日、稲荷鬼王神社でべったら漬けを入手すると金運がつくと言われており、べったら漬けをはじめとした露店が出店。
また、境内では懐かしい昭和の時代の新宿駅周辺写真や黒電話などを展示しています。
目次
・べったら祭とは
・ご祭神とご利益
・歴史
・境内
・社殿
・境内社・三島神社(開運恵比寿神社)
・浅間神社(西大久保の魔除け富士)
・新宿山ノ手七福神
・「撫で守り」と「豆腐断ち」
・御朱印
・アクセス
・近くにある神社・寺
稲荷鬼王神社のべったら祭とは
稲荷鬼王神社のべったら祭の由来は、日本橋のべったら祭(寶田恵比寿神社、椙森神社)に出店していた露店が、関東大震災後に稲荷鬼王神社の恵比寿祭りに出店し、べったら市を始めたことからです。
当時、日本橋以外でべったら頒布している神社は珍しかったことから、遠方からの参拝も多く賑やかでした。
昭和の大戦時で一時中断されますが、昭和51年から再開。
稲荷鬼王神社で購入する漬け物は、お金がつく縁起物として有名です。
稲荷鬼王神社のご祭神とご利益
古来より、鬼は悪慮を祓う神であり力の象徴として、すべての災禍を祓う力があるとされていました。
その為、鬼を祀ったり、鬼の名のつく社寺は全国にいくつかあります。
ただ、その鬼の王様である「鬼王」の社寺は稲荷鬼王神社のみ。
全国一社福授けの鬼王様(きおうさま)は、人の運命を司りツキを与えてくれる月夜見命(つきよみのみこと)、商売繁盛・心願成就・病気平癒・心身健全・縁結びのご利益が進行されている大物主命(おおものぬしのみこと/大黒天)、開運・武運長久のご利益の天手力男命(あまのたじからおのみこと)です。
お稲荷様は、新宿の厄除け稲荷である宇賀能御魂命(うがのみたまのみこと)。
生成発展・商売繁盛・家内安全・子孫繁栄・福招きのご利益がある神様です。
稲荷鬼王神社の歴史
稲荷鬼王神社は、諏訪神社境内に勧請した福瑳稲荷と鬼王権現を合祀された神社です。
1653年(承応2年)に稲荷神社を創建絵。
百姓・田中清右衛門が旅先での病気平癒への感謝から、1752年(宝暦2年)に紀州熊野より鬼王権現(月夜見命・大物主命・天手力男命)を勧請。
1831年(天保2年)に稲荷神社と合祀し稲荷鬼王神社に。
そのため、社紋は稲荷紋と巴紋の二つになります。
稲荷鬼王神社の境内
区役所通りに面した鳥居。
提灯が掲げられ、えびすまつり(べったら市)を盛り上げています。
鳥居を入ってすぐ左手には、新宿区指定有形文化財の鬼王神社の水鉢「力様(リキサマ)」。
鬼形の水盤石は、相撲の力士が四股を踏んで病や苦しみを人に与える邪鬼を追い払っている姿です。
この水盤石には逸話が。
加賀美某の邸内にあったこの水鉢から、毎夜井戸で水を浴びるような音がするので、ある夜刀で切りつけたところ、その後家人に病災が頻繁に起こるようになりました。
そこで、1833年(天保4年)に稲荷鬼王神社に寄進。
奉納された水鉢は夜になると「痛い、熱い」とうめき声を上げたため、水をかけて介抱したところ、近隣の子どもたちの体調や悩みが良くなるなど、不思議な効果が。
台石の鬼の肩辺にはその時の刀の痕跡が残っており、そこに水を掛けると子どもの夜泣きや熱病が平癒するなど、子どもの成長のご利益があると伝えらるようになりました。
現在は、宮司が代表して井戸水を毎日かけているそうです。
ちなみに、この鬼の水鉢を切った宝刀「鬼切丸」は、1834年(天保5年)に盗み出されてしまい行方知らずとなっています。
稲荷鬼王神社の社殿
社殿向かって右側には、2004年(平成16年)に造られた水琴窟。
そして、両サイドに鎮座する狛犬のポーズに注目!
右側の親子は子の狛犬が甘えている微笑ましい姿で肉球までリアルに!
左側の親子の像は、子が幸運を意味する珠を口に入れている特殊なポーズをしています。
稲荷鬼王神社の境内社・三島神社(開運恵比寿神社)
稲荷鬼王神社の社殿に続く参道途中にあるのが、境内社・三島神社(開運恵比寿神社)です。
三島神社の御祭神は事代主命(ことしろぬしのみこと)。
別名、開運恵比須です。
開運・商売繁盛・豊漁・人招きのご利益があると信仰されおり、新宿山ノ手七福神の一つに数えられていることからも、七福神巡りで多くの方が参拝されています。
もともとは別の場所にあるお寺に祀られていたのですが、江戸時代に火災にあい、稲荷鬼王神社の境内に祀られるようになりました。
三島神社の鳥居には恵比寿船があり、御神歌「うみやまの 数のたからの大久保の 恵比寿おおかみ まもりたまえ」を唱えながら鳥居をくぐると大神様のご利益がいただけると言われています。
また、ここ三島神社(開運恵比寿神社)には独特の参拝方法があります。
恵比須様にお参りしたら、手水から柄杓でかえる石に水を掛け、次にかえる石をさすりながら心の中で願い言葉を三度唱えます。
一日の無事、交通安全や旅行安全を願う人は「無事かえる」
開運は「良き運にかえる」
金運は「金かえる」
縁結びは「想い人の心が自分にふりかえる」「待ち人かえる」
健康は「若がえる」
あらゆる願いは「かなえる」
その後もう一度、恵比寿様をお参りします。
稲荷鬼王神社の浅間神社(西大久保の魔除け富士)
社務所から続く道の先にある浅間神社。
社殿向かって左側の奥に鎮座しています。
しかも、浅間神社の手前にはかたつむりのような身体にキャタピラの脚を持ち、眼球をむさぼり食う「眼球食鬼」の石像が。
浅間神社の御祭神は木花開夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)。
別名、西大久保の厄除け富士。
1930年(昭和5年)に西大久保の魔除け富士として復興。
霊峰不二の石をはじめ、全国から銘石をとりよせ建立されました。
1合目から4合目、5合目から頂上まで参道を挟んで二つにわかれた形でつくられており、参道そのものが富士の胎内に通ずる道。
この参道から頂上の社をお参りする事で、霊峰富士に籠ってお参りするのと同じ利益があると言われています。
稲荷鬼王神社は新宿山ノ手七福神
稲荷鬼王神社は昭和初期に創設された新宿山ノ手七福神の一社で、年間を通して七福神めぐりができます。
ご朱印のほか、ご神体(ミニ御尊像)と宝船を頒布。
新宿観光案内所では、新宿山ノ手七福神めぐりガイドマップ(日英併記)を用意しています。
布袋尊…太宗寺(東京メトロ丸ノ内線新:宿御苑前駅より徒歩2分)
恵比寿神…稲荷鬼王神社
福禄寿…永福寺(東京メトロ副都心線・都営大江戸線:東新宿駅より徒歩7分)
弁財天…厳嶋神社/抜弁天(東京メトロ副都心線・都営大江戸線:東新宿駅より徒歩8分)
寿老人…法善寺(東京メトロ副都心線・都営大江戸線:東新宿駅より徒歩9分)
大黒天…経王寺(都営大江戸線:牛込柳町駅から徒歩1分)
毘沙門天…善國寺(JR・東京メトロ・都営地下鉄:飯田橋駅より徒歩8分)
稲荷鬼王神社の「撫で守り」と「豆腐断ち」
稲荷鬼王神社には独自の風習として、「撫で守り」と「豆腐断ち」が伝えられています。
体の調子が悪い時、豆腐断ちをおこなうことで神に身をゆだねます。
並行して、神社でいただける御守り「撫で守り」で患部を撫で、病気の平癒を祈ります。
豆腐断ちは現在もおこなわれており、希望する場合は事前に連絡をし、豆腐を一丁持参。
奉納後に撫で守りを授与し、その後、本人もしくは代理の方が豆腐断ちをおこない、病気が治ったらお礼参りに参拝します。
稲荷鬼王神社の御朱印
御朱印は稲荷鬼王神社・三島神社・浅間神社の3社分あり、浅間神社のものには「西大久保 厄よけ藤」の印入り。
しかも、色違いで6種類。
稲荷鬼王神社の富士山に記されている社号は「富士」ではなく、災難から「無事」に身を守るという意味を持つ「藤」。
また、「心晴れ晴れと、天晴れな(立派な)仕事ができますように」という意味がある「晴天」も。
昔は仕事や道中の安全を祈願し、お守りとして御朱印を身につけていたことからも、厄除けのお守りとして持っておくといいそうです。
稲荷鬼王神社の詳細
稲荷鬼王神社へのアクセス
- 地下鉄大江戸線・副都心線:東新宿駅より徒歩3分
- 西武新宿線:新宿駅北口より徒歩7分
- JR:新宿駅東口より徒歩15分
- 地下鉄丸ノ内線・新宿線:新宿三丁目駅より徒歩15分
稲荷鬼王神社近くのおすすめ神社・寺
花園神社 | ビルに囲まれた都会の神社。骨董市や例大祭など賑やかです。 |
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西向天神社(東大久保富士) | 太宰府にむけて社殿を西向きに造っている事からこの呼び名に。梅のシーズンは見ごたえあり。 |
厳嶋神社(抜弁天厳島神社) | 源義家が戦勝祈願した神社。江戸六弁天、新宿山の手七福神の一つ。 |
皆中稲荷神社 | 百発百中「皆中(みなあたる)の稲荷」の神様。江戸時代はつつじの名所でした。 |
夫婦木神社 | 縁結び・子育ての総本社。神前結婚式もおこなっています。 |