鎌倉駅東口から徒歩数分。
若宮大路から少し入った場所にある本覚寺(読み方はほんがくじ)。
駅や大通りから近いのに、静かで落ち着いたお寺です。
日蓮宗の本山(由緒寺院)で、鎌倉・江の島七福神の夷様、鎌倉十三仏の第3番札所。
ドラマ「最後から二番目の恋」のロケ地としても知られています。
境内には源頼朝が幕府の守り神として創建した夷堂があり、山門の前を流れる滑川には鎌倉十橋の夷堂橋が架かっています。
目次
・歴史
・山門(仁王門)と大門
・手水舎と人形塚
・本堂
・日蓮御分骨堂と鐘楼
・夷堂と夷堂川
・御朱印とお守り
・アクセス
・主な行事・お祭り
・近くにある神社・寺
・近くのおすすめグルメ
本覚寺の歴史
鎌倉幕府滅亡で焼失した天台宗夷堂の跡地に、鎌倉公方・足利持氏が寺を建てて日出上人に寄進。
日出上人が日蓮宗に改めたのがはじまりと言われています。
二代目の住職が日朝上人(身延山久遠寺の第十一代の法主を務められた方)であったことから、「日朝さま」とも呼ばれていました。
日朝上人は身延山参詣することが難しい女性や老人のため、身延山から日蓮聖人のお骨を分けてもらい本覚寺に分骨。
そのことから、「東身延」とも呼ばれています。
また、日朝は眼病を克服したことから、目にご利益ありと崇められる「眼を治す仏」とも。
眼病に効く寺としても有名です。
本覚寺の山門(仁王門)と大門
江戸時代中期頃に、三浦半島の寺院に建立された門を明治時代に移築。
創建当時、若宮大路沿いに門を構えることが禁じられていたことから、山門(仁王門)は小町大路側にあります。
そうしたことからも、鎌倉駅からだと大門(裏門)が近くなります。
また、正月には山門にたくさんの提灯が飾られます(コロナ禍で中止している年もあり)。
↓山門(仁王門)
↓大門
本覚寺の手水舎と人形塚
獏や唐獅子彫刻の木鼻、龍や鳳凰の彫刻で飾られた華やかな手水舎。
水が出るところには、2体の龍が絡み合っています。
また、足元の四隅には、獅子頭?と軍配団扇?を持っている小僧さまでしょうか?
手水舎の近くには人形塚。
本覚寺では物を大切にするという考え方から、10月に人形供養をおこなっています。
供養希望者は9月中に人形を本覚寺へ(供養代は有料)。
本覚寺の本堂
1923年(大正12年)に建立。
木造釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩の三尊像が安置されています。
いずれも南北朝時代に作られた鎌倉市指定の文化財です。
また、寺には江戸時代に寛政の改革を断行した老中・松平定信による「東身延」の額も。
本覚寺の日蓮御分骨堂と鐘楼
本堂右側にある日蓮御分骨堂には日蓮上人のお墓もあり、身延山から分骨された遺骨が安置されています。
日蓮御分骨堂の前にはしだれ桜と、赤い頭巾が目を引く可愛らしいしあわせ地蔵。
願い事をとなえながらしあわせ地蔵様の頭をなでると、願いがかなうと言われています。
鐘楼には、1410年(応永17年)銘の梵鐘。
日出上人が木更津八幡宮の別当寺で法論に勝ち、従者に持ち帰らせたと伝えられています。
本覚寺の夷堂と夷堂川
夷堂は、源頼朝が御所の裏鬼門に夷神を祀る夷三郎社が始まり。
また、1274年(文永11年)に佐渡配流から戻った日蓮聖人が身延山へ旅立つ前に滞在していたお堂で、辻説法などの拠点としていました。
鎌倉幕府滅亡の際に焼けてしまい、その跡に本覚寺が建立。
祭祀されていた恵比寿は、明治時代の神仏分離令により七面大明神・山王台権現を合祀し、すぐ近くの蛭子神社に。
神仏分離令撤回後、堂内に再勧請されました。
現在の夷堂は1981(昭和56)年に再建。
鎌倉江の島七福神、商売繁盛や縁結びの神様として祀られています。
再建されたことで夷神の祭も復活し、お正月の三が日に「初えびす」、1月10日の「本えびす」がおこなわれ、商売繁盛を願う参詣者で大にぎわい。
紅白の提灯が華やかに飾られ、福娘さんたちの姿も。
正月三が日と10日限定の授与される「福笹」は、笹に鯛や小判などが飾られる縁起物として人気です。
山門の前を流れる滑川は「夷堂川」とも呼ばれていました。
小町大路と滑川が交錯するところに掛かる夷堂橋は、本覚寺と妙本寺に挟まれた橋で、鎌倉十橋(かまくらじっきょう)の一つになっています。
ちなみに、「鎌倉十橋」とは鎌倉を流れる滑川などに架かる橋の中でも、重要な交通路として使われてきた橋や、伝説・伝承がある橋のこと。
江戸時代に観光用として「鎌倉十橋」といわれるようになりました。
ただ、残っているのは、夷堂橋の他、荏柄天神社の参道近くの「歌の橋」、御成小学校近くの「裁許橋(さいきょばし)」、大町四ツ角の近く「逆川橋(さかがわばし)」、JR北鎌倉駅近くの「十王堂橋(じゅうおうどうばし)」、江ノ電極楽寺駅から稲村ケ崎方面に向かう途中にある「針磨橋(はりすりばし)」、佐助川に架かる「琵琶橋(びわばし)」、小町大路にある「乱橋(みだればし)」です。
現存していない橋には、寿福寺の門前にあった「勝ノ橋」、横浜国大付属小学校入口交差点あたりあった「筋違橋(すじかえばし)」があり、その近くに碑がたっています。
本覚寺の御朱印とお守り
御朱印やお守りは、山門(仁王門)近くの寺務所にて頂けます。
たくさんあるお守りの中でも、恵比寿神を祀る本覚寺の縁起物として「にぎり福」が人気。
祀られているえびす神様は漆黒でスリムな姿。
お守りは優しい心を表した、ころんとしたかわいらしいフォルムで、手作りのため表情や色彩が様々。
自分に似ている表情を探す方が多いそうです。
裏には、「福」「愛」「健」「財」「学」のご利益が書かれています。
1日1回にぎってご利益を求めるお守りです。
常時頂ける御朱印は御首題を入れて4種類(日朝大上人、夷神、文殊菩薩、南無妙法蓮華経)。
もちろん、御朱印帳も多数あり。
また、夷堂にえびす様が鎌倉・江の島七福神の一神であることから、御朱印だけでなく七福神巡りの専用紙も用意されています。
さらに、鎌倉十三仏詣の一寺。
専用集印帳は、発願印が頂ける第一札所の明王院で拝受することができます。
もちろん専用の御朱印帳ではなくても大丈夫。
鎌倉十三仏は最高の先祖供養のお参りといわれており、十三仏を参拝をすることで十三王の審判から救済され後生は善處に生じると信仰されています。
鎌倉十三仏には、明王院・浄妙寺・本覚寺・報国寺・円応寺・浄智寺・海蔵寺・禅居院・浄光明寺・来迎寺・覚園寺・極楽寺・成就院」となっています。
本覚寺の詳細
本覚寺へのアクセス
- 各線:鎌倉駅より徒歩4分
本覚寺の主な行事・お祭り
- 1月:初えびす、本えびす
- 10月:人形供養
本覚寺近くのおすすめ神社・寺
妙本寺 | 四季折々の風景が美しい前撮り撮影でも人気の寺院。鎌倉の武将・比企一族の悲劇の地。 |
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蛇苦止堂 | 妙本寺の境内社。将軍・源頼家の側室で比企能員の娘・若狭局を祀る神社です。 |
大巧寺 | 「おんめさま」と呼ばれる安産・子育て祈願で有名なお寺。手入れされたお庭を歩くだけでも気持ち良いです。 |
蛭子神社 | 七面大明神・夷堂(本覚寺)・山王大権現(宝戒寺)を合祀。社殿は鶴岡八幡宮末社の今宮から譲り受けています。 |
常栄寺 | 通称「ぼたもち寺」と呼ばれる日蓮宗のお寺です。御朱印は「ぼたもちの和歌」で2種類あり。 |
八雲神社 | 疫病の流行から京都祇園社の祭神を勧請した厄除けで有名な神社。「祇園さま」と呼ばれています。 |
本覚寺近くのおすすめグルメ
鎌倉かつ亭 あら珠 | トンカツ専門店。テイクアウトのお弁当も人気。 |
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朝ごはん | 6時半から9時までの和定食の朝食専門店。 |
喫茶モア | 古風なヨーロピアン風喫茶店。リーズナブルなランチ。 |
カフェ久時 | 登録文化財で有名な湯浅物産館内にあるカフェ。こだわりの木炭焙煎珈琲をレトロ・モダンな店内で。 |