北鎌倉の明月院(読み方はめいげついん)は紫陽花で有名ですが、春はしだれ桜の名所にもなっています。
まさに、桜の穴場スポット!
数千本のあじさいが咲く風景は明月院ブルーと言われ、シーズン期間中は多くの人で賑わいますが、春の明月院も桜をはじめとする季節の花々が咲き誇り、爽やかな緑が境内を彩り、紫陽花シーズンとは違った見ごたえがあります。
また、4月8日のお釈迦様の誕生日には、本堂の丸窓「悟りの窓」のところに花御堂が設置され、誰でも甘茶がかけられます。
ちなみに、明月院は廃寺となった禅興寺の塔頭。
臨済宗の建長寺派に属している寺院で、正式名称は「福源山 明月院」です。
目次
・歴史とご本尊・ご利益
・入口
・中門
・宇宙ステーション
・本堂「方丈」
・丸窓「悟りの窓」
・六地蔵
・中庭園(風の小径)
・御朱印・お守り
・アクセス
・明月院境内詳細
・近くにある神社・寺
明月院の歴史とご本尊・ご利益
明月院は鎌倉三十三観音霊場第30番。
中興開山は密室守厳(みっしつしゅごん)。
中興開基は上杉憲方。
ご本尊の聖観音菩薩坐像は、煩悩や苦しみを取り去り心の清浄をもたらしてくれるご利益(御功徳)があると言われています。
明月院の始まりは、1159年(平治元年)、平治の乱で戦死した首藤(山ノ内)俊通の供養として、その息子・經俊が「明月庵」として創建したことからです。
1256年(康元元年)に第5代執権・北条時頼が出家のために最明寺をこの地に建立しますが、時頼の死後に廃絶。
第8代執権・時宗が最明寺跡に禅興寺を創建します。
1380年(康暦2・天授6)になると、鎌倉公方・足利氏満が関東管領・上杉憲方に禅興寺中興を命じ寺院を拡大。
塔頭も建て、明月庵を明月院と改めます。
禅興寺は関東十刹の一位になったときもありましたが、明治初年に廃寺。
筆頭支院の明月院だけが残り今に至ります。
明月院の入口
最寄駅JR線北鎌倉駅より円覚寺の前を通り、まっすぐ進んで左側に。
「明月院」と彫られた寺号標のある道を進んでいくと、やがて明月院の門が見えてきます。

近くには今は懐かしい電話ボックスがあり、ゴミステーションとの間に駐輪場スペース。
ちなみに、専用の駐車場はないようです。
この日の入場は正面の拝観口から。
もう一つの拝観口(茶々橋の先)はクローズ。
拝観料(入場料)は高校生以上で500円、小中学生で300円。
本堂後庭園は別途必要となります。
営業時間は開門9時、閉門16時、完全退出が16時15分。
ただ、年に数日だけ閉門されて拝観(入場)できない日や、紫陽花シーズンなぢ混雑する日は入場規制が行われたり、営業時間が変更されることもあるので事前に確認が必要。
ちなみに、飲食禁止、喫煙禁止、ペット禁止、写真の一脚・三脚使用禁止、草木の持ち帰り禁止、声高に談笑すること禁止、婚礼衣装やコスプレ禁止。
また、境内から天園ハイキングコースには行けません。
明月院は歴史ある禅宗寺院ですが、明月院の「月=月うさぎ」の連想からうさぎ寺とも呼ばれており、境内にはうさぎをモチーフにした石像が多数置かれています。
質実剛健な禅寺のなかでも、異なる魅力をもつ寺院です。
まずは、入口左側にある茶々橋にうさぎと亀がお出迎え。
橋に手をついていたり、家の中に入っていたりとその時々で姿が違うようです。
参拝した日は、お家に入っていました。
亀さんはケガをしているとの注意書きも。
明月院の中門
拝観口を通ると3方に分かれ道。
右は竹林庭園。
真ん中は本堂。
左は北条時頼廟です。
まずは、本堂に。
山門に続く表参道は、鎌倉でとれる特殊な石「鎌倉石」が使われています。
初夏には「明月院ブルー」と呼ばれる青一色に統一された紫陽花ロード「青の参道」に変わり、秋には紅葉、冬は蝋梅、春は梅と桜と年間を通して境内を彩ります。
「あじさい寺」の名にふさわしい風格がある有名な撮影スポット。
明月院があじさい寺として有名になったのは、戦後に紫陽花を挿し木して植え続けてきたことから。
戦争による物資不足から参道に使う杭が足りずに紫陽花を植えたのですが、これが意外と手入れが楽。
植え続けたらいつの間にか有名になった…と言う事のようです。
その先には年季が入った中門。
参道の周辺には桜の木が大ぶりな枝を広げ、一面ピンク色に染めあげています。

明月院の宇宙ステーション
山門をくぐった右側には「ウサギの宇宙ステーション」と名付けられた大きなうさぎ小屋と休憩スペース。
月とうさぎのお話も紹介されています。
もちろん、本物のうさぎもいます。
ただ、気候や体調によっては屋内にいることもあり、参拝した日は姿が見られませんでした。
なぜ古刹にうさぎがいるのかというと、その理由は明月院の「月」にあやかってのことのようです。
こちらの休憩スペースでは、うさぎちゃんだけでなく桜も楽しめます。
明月院の本堂「方丈」
山門正面の道を進むと、左側に庫裡(寺務所)と本堂の「方丈」。
本堂は紫陽花にちなんで「紫陽殿 (しようでん)」と呼ばれており、堂内の欄間には紫陽花を意味する四枚の花びらを模しています。

方丈にはご本尊・聖観音菩薩像と北条時頼坐像が祀られており、参拝時に拝見することができます。
鎌倉末期の仏像・聖観音菩薩像(鎌倉市文化財)は、造立銘から1309年(延慶2年)作とされており、もともと材木座花ヶ谷にあった慈恩寺(今は廃寺)の本尊でした。
1520年(永正17年)に明月院に。
北条時頼塑像(県の重要文化財)は、本尊の左手の厨子の中に安置されています。
明月院の丸窓「悟りの窓」
本堂の丸窓(円窓)「悟りの窓」は写真スポットとして大人気。
悟りや真理、大宇宙などを円形で象徴的に表現しており、奥の後庭園が見えます。
特に初夏の紫陽花シーズンや秋の紅葉シーズンは混雑必須!
撮影するために長蛇の列ができるほどです。
お釈迦様の誕生日である「花まつり(降誕会)」では、ここに花御堂が設置され、誰でも甘茶をかけられるようにされています。
本堂の前には枯山水庭園。
春にはサツキやシダレザクラなど華やかな景色に囲まれ、初夏は緑とのコントラストが映え、秋から冬にかけての移り変わりも見ごたえあります。
明月院の六地蔵
本堂向かって左側、本堂後庭園の入口近くには六地蔵様。
日光地蔵(天道)、除蓋地蔵(人間道)、持地地蔵(修羅道)、宝印地蔵(畜生道)、宝珠地蔵(餓鬼道)、檀陀地蔵(地獄道)です。
六地蔵の右側には、本堂後庭園への入口があります。
花菖蒲と紫陽花、紅葉の季節だけの公開と思っていたのですが、参拝した日は募金(料金は300円程度)をすることで見学が可能でした。
※本堂後庭園の詳細はこちら
また、六地蔵の左側の小径は開山堂に繋がっています。
※開山堂の詳細はこちら
明月院の中庭園(風の小径)
枯山水庭園と六地蔵の間にある小径は、中庭園・北条時頼廟へと繋がっています。
春のこの時期は桜や季節の花で彩られ、新緑が気持ちよい空間です。
まっすぐ行く(渓谷道)と休憩スペース。
手前に、中庭園を散策できる風の小径。

桜や季節の花に彩られ、山門(中門)付近にある桜も良い眺めです。
表参道の隣になる中参道を下っていくと、お茶屋「月笑軒」と北条時頼廟に続く桂橋が見えてきます。
※北条時頼廟の詳細はこちら

明月院の御朱印・お守り
御朱印やお守りは、悟りの窓の隣に位置する寺務所で対応しています。
御朱印は、明月院のご本尊・聖観世音菩薩の御朱印。
御本尊と鎌倉三十三観音霊場の御朱印が同じため、御朱印は1種類のみとなっているようです。
お守りも各種揃っていて、なかでも明月院らしいといえば「宇宙まもり」といううさぎのお守りです。
ちなみに、御朱印の直書きは納経される方のみ(初穂料500円)。
それ以外は紙朱印になりますが、手書き(初穂料500円)と印刷(初穂料200円)とあります。
※初穂料は2025年4月のもの
明月院の詳細
明月院へのアクセス
- JR線:北鎌倉駅より徒歩9分
明月院境内詳細
本堂後庭園 | 「悟りの窓」の奥にある庭園。紫陽花・花菖蒲・紅葉シーズンは混雑。別途拝観料が必要です。 |
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開山堂 | 明月院を開山した密室守厳の木像を安置。周囲はやぐらに囲まれています。 |
竹林庭園 | 瞑想的な雰囲気がある小規模な竹林。 |
北条時頼廟 | 鎌倉幕府第五代執権・北条時頼の廟所。 |
明月院近くのおすすめ神社・寺
建長寺 | けんちん汁発祥のお寺。広い敷地内には多くの塔頭寺院と半僧坊大権現があります。 |
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半僧坊 | 建長寺の最奥にある、半僧坊大権現を祀る建長寺の鎮守。ハイキングコースにつながっています。 |
圓應寺(円応寺) | 鎌倉十三佛第5番札所の閻魔大王を本尊とするお寺。十王や奪衣婆、詫言地蔵も。 |
長寿寺 | 紅葉の名所。庭園からの眺めも最高です。拝観は期間限定。 |
浄智寺 | 鎌倉五山の一つ。鐘楼門に続く苔むした参道の石段や境内はフォトジェニック。 |
東慶寺 | 尼僧や女性の駆け込み寺として有名な仏教寺院。縁切寺とも呼ばれています。 |
円覚寺 | 鎌倉五山の由緒ある禅寺。山門や国宝の梵鐘、庭園、舎利殿と見どころ多数あり。 |