紹介状を持って、初めて訪れる大学病院。
人生初です。
この時の気持ちを表現するのであれば、まさに「期待」の一言!
言葉が音として聞こえるのではなく、きちんと言葉として聞こえるのかもしれないとドキドキワクワクしていました。
慶応義塾大学病院で検査したのは、もう15年以上前になるので、細かいことは覚えていません。
ただ、あっちに行ったりこっちに行ったり…広い病院内を移動し、さまざまな検査をしたのだけは覚えています。
そして、めちゃくちゃ疲れたことも…。
検査以上に長かった待ち時間。
最後に別室に呼ばれました。
対面のソファーにテーブルという、 診察室とは違うその部屋は、患者さんが入るような部屋には思えませんでした。
この時に先生がどのように話してくれたのかは、あまり良く覚えていません。
ただ、自分の耳が手術しても良くはならない事、障がい者認定に著しく近い事を告げられたことだけは理解しました。
そして、聴神経の機能が低下しているので、言葉の聞き取りが悪くなっていると、ここで初めて原因が分かったのでした。
話を聞きながら、涙がぽろぽろ。
先生も「ショックですよね…」といった感じで、困ったような顔で話を淡々と続けていました。
まぁ、それしかできませんよね。
終わりに、
「定期検査は受けにきてくださいね」
と言われましたが、すでに自分の中では次の検査に来る気持ちはなし。
治る見込みがないと、このまま聞こえなくなる可能性が大と言われた状態では、検査をやって何の意味があるのかと自暴自棄になってしまってました。
この検査結果から、勤めていたホテルを退社する準備に取り掛かりはじめます。